ゴーンさんが学んだ日本的経営

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532196042

感想・レビュー・書評

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  • 2011年に刊行された、ゴーンが日産着任してからの経営手法をまとめた本。タイトルでは日本式経営を学んだ、とあるが、その内容は希薄。
    ゴーンが徹底的に行ったのは、いわゆるコストカットと合理化、利益を求め、かつ多様性のある組織体の構築だった。
    まず最初に行ったのが財務会計視点でのコアとなる事業以外の投資を廃止、そしてサプライヤーへの価格戦争、調達と販売のグローバル化。また年功序列からコミットメント、つまり結果を求める組織への変革。多様性では女性、外国人役員の増加を試みている。
    やはりルノーとの提携が非常に意味をなしていた、というのが読んでいてよく分かる。これにより提携開発、共通フレームによるコスト削減が実現でき、かつグローバル化も進んだのだろう
    また、この本ではトヨタとの比較もされている。確かに当時のトヨタは品質面での問題が米国でニュースに取り上げられるなどパワーダウンしていた時期もある。震災の影響が日産ではグローバル生産できる体制でもあったので、ダメージが少なかったという点もあるので、ちょっと「ゴーン、すごいでしょ」的なノリになっているのが気になるが。。。
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    ・問題は時間をかけて対処するのでも、過小評価するのでもなく、「速やかに対応」が必要。それが品質向上へつながる
    ・日本でハイブリッドが主流となっていたが、世界の需要は1%未満
    ・全ての好機をものにすることはできない。現実的に見て、その一部をつかみに行かなければならない。必要なのは柔軟性
    ・利益へのコミットメントが組織の疲弊を生んだため、品質向上へシフト。危機的状態では瞬発力が求められるが、安定期では異なるアプローチが必要となる
    ・戦略の明確化、組織プロセスの見える化、経営と従業員の双方向コミュニケーション
    ・日本の工場生産者は個人で見ると非常に高い技術を持っている。だがフランスでは技術習得度が低い人や女性でも活躍できる作業環境がある。
    ・一般家庭での車購入には女性の意見が60%反映されるが、女性視点が企業に抜けている
    ・グローバル組織とは優秀な人材をグローバルに発掘すること。日本人の扱いやすい外国人を採用するのではない
    ・異なった考え、意見を取り入れることが出来る組織が必要
    ・コミットメントの重み。ゴーンは着任時、「今年度に黒字化しなければ辞める宣言」をしている
    ・経営は徹底したトップダウンでもボトムアップでもなく、バランスが重要。優先順位が求められる

  • 2011年刊行。

     著者曰く、西欧流経営手法を基礎に日本流経営を加味した結果、日産は利益拡充を果たした。かような観点から1999年からの日産ゴーン改革を肯定的に素描する。

     しかし、深読みすれば、①部品サプライヤーのコスト削減、②調達部品の9割を現地化し、日本への逆輸入を果たした車の存在、③新興国内の工場でも日本のそれと同様の効率性・生産性を持ち、差が縮まってきていること等から、国内製造業で求められる従業員像や下請・従業員への皺寄せを想定しうる。
     日本国内だけで就業先を探すのは、本当に厳しく困難な時代であることを痛感させられる。

  • タイトルは「ゴーンさんが学んだ」とありますが、内容はカルロス・ゴーンが進めた日産改革と、トヨタ自動車を例とする日本的経営が主。もちろん日産改革を進めるにあたって、カルロス・ゴーンが日本的経営の良さを認めた部分もあり、それは紹介されていますが。

  • 日産の経営がいかに変革され、今があるかを知るには、簡潔に事実が述べられていて良い本だと思います。
    特に系列解体に関しては、コストカットというワードで収まりきらない、その背景を改めて理解することができました。

  • 1999年の就任以降、ゴーンが行ってきた改革と日産の動向を追いながら、
    今後日本企業に求められることが何であるのか?について書かれた本。

    ゴーンの取り組み自体は数多くの本で書かれており、目新しさはないが、
    日産復活の事実だけに留めず、後半でトヨタとの比較を行いながら、
    国際化やアライアンスのあるべき姿の方向性を指し示しているのは面白い。

    日産が今後の日本企業のロールモデルになると言い切れるとは思わないが、
    殊グローバル化については、本書で書かれている要素は当てはまると思える。

  • 思い出深い本

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