井深大 自由闊達にして愉快なる―私の履歴書 (日経ビジネス人文庫)
- 日本経済新聞出版 (2012年11月2日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532196554
作品紹介・あらすじ
トランジスタ、ダイオード、マイクロテレビ-革新的技術と製品化力で世界企業ソニーをつくりあげた井深大。「技術者たちが技術することに深い喜びを感じ、その社会的使命を自覚して思い切り働ける安定した職場をつくる」を目標に走り続けた半生記-日経連載「私の履歴書」、待望の文庫化。
感想・レビュー・書評
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井深の葬儀の際、江崎玲於奈は弔辞で以下の内容を述べた。
「温故知新、という言葉があるが、井深さんは違った。未来を考え、見ることで、現在を、明日を知るひとだった」
先を見ることに長けた方だったようだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ソニー創業者の一人井深氏の私の履歴書をベースにした自伝。
私の履歴書が新聞に出たタイミングでは、
まだウォークマンも出ていなかったようで、
ウォークマンに関する記載はなし。
ちょっと残念だけれど、私の履歴書って、
もう人生やり切った人の自伝かと(勝手に)思っていたので、
そこからもどんどん自分の興味を追求していく井深氏って
やっぱりすごいのね…と勝手に関心。。
特に、会社設立時から顧客志向だったところが
当時の時代背景を考えると、スゴイ。
この本を読みながら、無茶振りと恐るべき感性の持ち主である
井深氏に驚くと同時に、
この本だけではソニーがなぜ成功し(その後失敗したのか)
に対する答えを得るには不十分だなという感想。
松下幸之助のように経営の神様と言われながら、
女にだらしのないブラックな面があったのかどうか、
井深氏のブラックな面についても(もしあるのであれば)覗いてみたい。
そして、ソニー躍進のもう一人の貢献者、盛田氏についても。
ソニーはこの後ベンチャースピリットが失われていき、
経営危機に陥るのですが、その後、平井氏の手腕により復活。
井深氏も警笛は鳴らすものの、
巨大な組織を変革するまではいかず…って感じでしょうか。
※ソニー再生
https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4532324122#comment
※ソニー半導体の奇跡: お荷物集団の逆転劇
https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4492503277#comment
※小説 盛田昭夫学校(上)
https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4062763559#comment
何れにせよ、ソニーって面白い会社だなぁ。。 -
井深大の「私の履歴書」を集めた物と、その後の井深の足跡をまとめたもの。オマケでSONYの前身である東京通信研究所の設立趣意書もついてくる。
井深の文章はシンプルで読みやすく、ページの少なさもあいまってサクサクと読める。
SONYの歴史よりも井深自身の人生に焦点が当てられている。
そのためSONYの歴史に興味があるのであれば他の良書を当たるべきだが、本書では一人の創業者がハツラツと製品の開発に打ち込む姿を脳裏に描きながら読めるのが最大の魅力だ。
設立趣意書を読むと井深が真摯に技術を通して人をつなぎ、戦後の傷ついた日本を元気にしようとする意気込みが伝わってくる。
興味深いのはAppleの思想と非常に似通っている点だ。
両社の間には時代も違えば国も違うという大きな隔たりがある。
故スティーブ・ジョブズはAppleで仕事をするにあたってSONYを大いに参考に
したというが、それだけではないような気もする。
会社が大きく成長するための思想・姿勢にも普遍性があるのかもしれない。
現在、日本はエレクトロニクスを筆頭に創造性を失い、市場を創造したり感性を刺激するマーケティングができないために他国にも後塵を拝する様を呈している。
今一度、かつての偉大な創業者を振り返り、その真摯さを我々も学び直さないといけないところまで来ているのではないだろうか。 -
やはり井深さんはすごい人だと思った。この人がいなかったら今のソニーはなかったというのは大袈裟ではないだろう。何冊か読んでいたいたので、知っている内容もあり、☆3つとした。
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ソニー創業者、井深大氏の自叙伝。第一部は昭和37年12月に日経新聞で連載された『私の履歴書』であり、第二部は日経新聞編集者によるその後の井深大氏である。
<目次>
第一部 井深大 私の履歴書
第二部 その後の井深大
1 トリニトロン開発物語
2 卓越したプロジェクト・マネジメント
3 無邪気で、不器用でー素顔の井深大
4 技術者としての信念
5 衰えぬ探究心
<メモ>
・自分の欲しいものを作る−常に目標は明確
「ターゲット・ドリブン」(111)
「井深さんは、オレが欲しいものは世界中の人も欲しがるだろうという発想だった」
「アップルの創業者、故スティーブ・ジョブズはソニーを尊敬し、ビジネスマンとしては盛田さんにあこがれたが、開発の真髄は井深大の発想そのものだ。」(111-112)
知識や理屈より感性を育てよ(120)
・知識や理屈より感性を育てよ
「これは筋がいい」
「我々は欠点ばかり見て駄目だと思ったが、井深さんは不完全なところより、よい点を見て『素性がいい』と見抜いたのだろう。そこがすごい。」(122)
・トリニトロン・カラーテレビ完成
「トリニトロン」「キリスト教でいうトリニティ(神と子と聖霊の三位一体)とエレクト
ロン(電子管)の合成語」(125)
感性豊かなだけに、造語能力に冴えていた。(126)
・卓越したプロジェクト・マネジメント
いったん出来上がってしまうと、井深の関心は次に移って、途端にそっけなくなるのが常だった。(127)
「計画なんか作ると目的と手段が逆転してお役所仕事になる」(130)
NASAのアポロ計画や新幹線建設計画など内外の事例をよく勉強していた。(132)
「どんな人が参加するかでその成否が決まる。」
「組織を作りそこに人を当てはめるのは大きな誤りで、人に合う組織を作る。人間が主で組織は従である。あくまで人が中心だ」(133)
・東洋医学・幼児教育への傾倒。
2013.02.28 夜の読書会MAXで紹介、読書開始
2013.03.01 読了。 -
ビジョナリーカンパニーにも出てきた日本が誇るエクセランとカンパニー(だった?)を創業した井深大さんの一冊。
戦後直後のわりとめちゃくちゃな経営、そこからラジオ→テレビ→ウォークマンと世界に名だたるモノづくり会社に成長させていく。
今でも伝説となっている設立趣意書、設立の目的は圧巻ですね。
とても子供のような人格を持ちながらのまさに研究者といった人柄が読み取れました。
気になったのが初期のSONY(東京通信研究所)の株主構成ってどんな感じだったんだろうか。他の書籍漁ってみよう。 -
当時のソニーの立ち位置を想像しながら読む。
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ソニーを楽しんでいた方
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ソニーのユニークネスの源流に触れられた。新しいことをする、人々がまだ知らないライフスタイルを提案する、イノベーションそのものがソニーの存在理由。モノや技術ではなく、人にフォーカスしてるところはトヨタに通じるところがあるが、その"感性"が井深大そのものだと感じた。