ていねいなのに伝わらない「話せばわかる」症候群
- 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版 (2013年1月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532196707
感想・レビュー・書評
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先日読んだ、平田オリザ氏の著書「わかりあえないことから」と重なる部分も多かった。
グローバル時代を生きる私たち日本人にとって、必要な「対話」とは何かを語っている。
単にグローバル時代といっても、経済の問題や移民の問題、そして日本人同士でも異なる価値観を持っており、その中でどのように関わっていくかを考える本。
面白かったのは、「話せばわかる」に隠された矛盾。この言葉は、内容がよければ伝え方は問題ではない、という意味が含められている。しかし、大学院レベルの話で考えれば、内容が良いとはオリジナリティがあると言うこと。つまり、今まで誰も考えが及ばなかったことである。誰も思いつかなかった事はむしろ、他の人には理解されにくいものなのではないだろうか。この事から、話せばわかるという考えに潜む矛盾がある。
日本人は、察しの文化。なんでもかんでも、論理的に説明しようとする西洋的な考えには興ざめしてしまう部分も間違いなくある。しかし、その価値観のみにこだわって生きていくことはもはや難しい。
人と人は完全にわかりあうことはできない、という前提があるからこそ、互いの共通点を探す努力が必要なのだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆
https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB11396163 -
価値観の違う相手と対話を続けるだけの精神の基礎体力、
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2008年の段階から、高等教育の今に繋がるような指摘をされている対談集。
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・「ここ、わたしたちみんなでこだわっていたけど意味がなかったね」「その時間をもっと練習にあてればよかった」「これ、じゃんけんで決めてもよかったね」「ここはもう少し話し合ったほうがよかったかな」
・歴史的にスタンダードをつくらないできてしまったという日本語の現実があるわけですから。
・これからの社会のキーフレーズは「『協調性から社交性へ』です」 -
何かの講演を聞いたことがあるオリザ氏の本ということで、ふと手に取って読んでみた。
“「ほんとうの自分」 なんてどこにもない” というペルソナの話のくだり、そう、まさしく講演で聴いて衝撃をウケタところでもあるし、あぁ、それでいいんだ、とまたしても安心してしまった。
確かに、都会の受験社会にもまれてそだってきた我々にとってみれば、ほんとうに救いのような言葉だったし、
・・・むしろ逆に、どれだけ我々が、そんな演じさせられてる感を思わなければいけない社会になっているのか。。。
本全体の内容としては、それよりももっと色々書いてあった笑
まぁ、なんというか、日本、このままじゃぁやばいよね、と。
今までの、企業でずっと内部事情だけで働いてた人と、
我々若者の考えるギャップ、それを的確に代弁してくれているようなコトもしばしば。。
ただ、あとは今後の日本に、どれだけ、変わっていける覚悟があるか!
・・・そんなことを考えさせられるような内容でした。。 -
これからの世界は「多文化共生」であることは間違いない.
ではその世界で、全く異なった文化や価値観を持った相手とどのようにコミュニケーションを取っていくかが大事になる.
そのコミュニケーション方法とは、今までの日本文化で美徳とされてきた「協調」では無く、「社交性」であるとのこと.
単一の価値観ではこれからの時代を生きていくことは難しいことが繰り返し述べられている.
価値観の異なった相手とじっくりコミュニケーションを取っていくための「精神的体力」が要求される.それでも通じない相手が存在するということを自覚しておくことも大切である.
片方は自分の土俵、もう片方は相手の土俵で戦い、全てを相手側の土俵に入れないことが、自主性を保ちながらコミュニケーションを取っていくことに大事なことである.
表現やコミュニケーションのプロとして平田オリザの著書はいつも大変勉強になる.北川達夫の意見も平田オリザ同様かなり鋭いものが多かった.
これからの「グローバル社会」「多様化した価値観のある社会」だけれども「同調圧力のあるムラ社会」、で生きていくためのコミュニケーションや自己表現を考えていく上で、大事な要素がたくさん詰まった本だと思います. -
なるほど…と思わされた箇所が何カ所か。
これは、ざっと読むにはもったいない本だな。でも今日、返さなきゃ(> <) -
多様化する価値観のなかでは従来からの日本の文化である協調性から分かり合えない前提で他者との共有も見つけていく社交性が重要になるとして、フインランドの教育と演劇教育から日本の教育を語る。
中高年男性は上から目線で言論を封殺するとあった。気を付けているつもりだが結構やっているのだと思う。社内でもコミュニケーションの場を多様化させるなど様々な工夫を凝らしていきたい。対談形式でとても読みやすく多くの気付きが得られた好著です。