孫子・戦略・クラウゼヴィッツ: その活用の方程式

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (329ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532197834

作品紹介・あらすじ

すべての戦略には使うべき状況がある。ビジネスやスポーツ、人生の勝負時、受験やファイナンス…いまに生きるわれわれが、そこで真に活かせる戦略とは何か-。東洋戦略論のバイブル『孫子』と、西欧戦略論の雄『戦争論』を対比しつつ、古典の叡智を現代に活かす方程式を紹介する。

感想・レビュー・書評

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  •   戦略本として有名な『孫子』と『クラウゼヴィッツ』を比較して、両者の長所と短所を見ていく。前者は、何よりも相手の実力、知力などといった基本的な情報を優先的に考える。そのため、頭脳と謀略を駆使して、できる限り敵に軍事力を行使させないように仕向ける。それに対して後者は、戦闘の最前線での状況を重視する。つまり、相手の出方や戦況が常に変化することから、伝達された情報を信用しない。
     また、上記2冊で決定的に異なる要因として、短期決戦と不敗の2つだと著者は指摘する。『孫子』の場合、消耗戦を極力避けるために、以上の二つを駆使して勝利する。一方、『戦争論』では、まず重要な部分を押さえるために努力する。別の言い方をすると、前者は知力を尽くして相手を弱らせるのに対して、後者は直接行動で相手を崩す戦法である。
     それ以外にも、両者が想定する敵の数とやり直し具合についても異なり、『孫子』では、一対一を、『戦争論』では多数を想定した戦略を前提に進める。
     最後に、両者ともに共通する事項だが、そもそも戦略とは、実際に現実で揉まれながら、各々の強みと弱みを身につけなければならない。現在直面する問題に真摯に向き合い、掘り下げることで、はじめて戦略の有効性が見えてくる。

  • 戦略の大家である孫子とクラウセヴィッツに関する比較論。

    時代背景として、孫子は春秋戦国時代という群雄割拠の時代の中で、いかにして自国を強大にしていくかという観点で書かれている。

    対戦相手は国境を接する複数国で、戦争の長期化や負戦が国の崩壊につながるため、勝てない戦は避けること、詭道を用いて相手を分断したり、混乱させたりと、確実に勝てる場合に行うことを指南している。

    一方、クラウゼヴィッツはナポレオンが台頭する時代に描かれた作品で、ナショナリズム萌芽もありながら、国家対国家の1対1の戦争を想定している。

    また何度か同じ相手と戦うことを念頭に、軍人目線で書かれており、相互作用・両極性・偶然性などを考慮した戦い方について描かれている。

    とはいえ、野球のペナントレースのように、同じ相手と複数回戦うことが決まっているような環境では取るべき戦略も異なる。

    戦略論はいくつもあるものの、負けに対する許容度(一度きりなのか、複数回戦うのか)、相手の数(1vs1 or 多数)によって、採用すべきものが異なる。

    これを理解して適切な戦略を選んでいきたい。

  • 孫子の兵法とクラウゼヴィッツの『戦争論』の解説と比較、それをビジネスにどう生かすか、ていう感じ、なのかなあ?
    比較っていってもね、時代が全然違う(前5世紀/19世紀)=時代背景、社会の仕組みが違い過ぎるだろ、と突っ込みたい。
    でも『戦争論』の内容が分かり易くまとまってるのがよかった。
    上巻の数十ページで脱落した私にはね。(;´∀`ゞ

    肝心のビジネスにどう生かすか、の部分だけど…あんまり孫子も戦争論も関係なくね?
    別の例のほうがたくさん使われてて、それで十分分かり易かったような。
    まあ面白かったからいいんだけどさ。うーん。

  • いったん逃げたり強い者の傘下に収まることは、それが即、負けを意味するわけではない。やり直したり、復活する機会さえうまく確保しておければ、常に最後の勝者になる道が残されているのだ。自分が劣勢なのに、無理に戦って全滅してしまうようなやり方を、孫子はとらなかった。現実に柔軟に対処しながら、最後に笑う方法を考えるのが、孫子にとっての合理的な戦略だったのだ。
    ⇒逃げることは悪ではない!

  • 〈戦略書に限らず、「古典」を読む意味とは、まさにここにある。〉

  • 東西で名高い二人の戦略家。言っていることは一見かなり違うが、一定のフィルターを通して見ると、整合的なメッセージを伝えようとしているのではないか、という視点を提供してくれる。

  • 「孫子」とクラウゼビッツの「戦争論」を比較しながら、状況に応じて取るべき戦略について解説した本。「孫子」「戦争論」の概要がわかりやすいだけでなく、時代背景や具体的な戦争の例も用いながらの解説がとてもわかりやすい。
    複数の敵に囲まれて負ければ滅亡というときに用いるべきは孫子の兵法。1対1で強力な敵に長期間対する必要があるときはクラウゼビッツ。人間関係にも応用できそうだ。

  • 孫子とクラウゼウィッツを比較しつつ、それぞれの戦略を用いる前提条件をまとめている。スポーツや将棋などの事例を使って分かりやすい工夫がされているが、スッと腹に落ちない読後感。

  • いかに出し抜くかという、所謂孫子の兵法の解釈本とは一味違う。孫子とクラウゼヴィッツの対比から新たな戦略論の解釈を導き出している。引用も豊富かつ多彩でとても面白い。「未来を切り開くための道具としての戦略」というフレーズがとても気に入った。

  • メタ戦略論
    繰り返しよんで理解

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著者プロフィール

1965年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。現在は、作家として『孫子』『論語』『韓非子』『老子』『荘子』などの中国古典や、渋沢栄一など近代の実業家についての著作を刊行するかたわら、グロービス経営大学院アルムナイスクールにおいて教鞭をとる。2018年4~9月トロント大学倫理研究センター客員研究員。主な著訳書に『現代語訳 論語と算盤』(渋沢栄一著、ちくま新書)、『孫子・戦略・クラウゼヴィッツ』(日経ビジネス人文庫)、『最高の戦略教科書 孫子』『組織サバイバルの教科書 韓非子』(以上、日本経済新聞出版社)、『中国古典 名著の読みどころ、使いどころ』(PHP研究所)、『アミオ訳 孫子[漢文・和訳完全対照版]』(監訳・注解、ちくま学芸文庫) など。

「2020年 『『論語』がわかれば日本がわかる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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