結果を出すリーダーはみな非情である 30代から鍛える意思決定力 (日経ビジネス人文庫)

著者 :
  • 日本経済新聞出版社
3.64
  • (4)
  • (7)
  • (10)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 104
レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532198411

作品紹介・あらすじ

・若いときから社長になったつもりで行動せよ
ダイヤモンド社から発行された同タイトル本(2012年10月発行)の文庫化。この本の主要メッセージは「30代から社長になったつもりで行動せよ」。冨山氏が産業再生機構に参画したのは40代前半のときであり、30代の思考・行動様式が飛躍の礎になったことは間違いない。

・「情緒的直感は人を殺す」
著者は企業再生の現場で、経営判断が情緒的直感によって行われたがためにつぶれた会社をたくさん見てきた。儲かっていないのに伝統的な事業を切り離せない、環境の変化に耐えられる給与構造に思い切って踏み込むことができないなど。これらの判断をすることは確かに経営者にとっては大きなストレスだ。しかし、ここで論理的な行動ができないがために、会社が倒産してしまっては元もこうもない。
一方で、本書は単なる「論理思考」の本ではない。論理で片付かない問題があるのも、著者はよく理解している。その場合には、「論理的に」情に訴え根負けを誘うのだ。一気に決着をつけてはならない。対話を通じて徐々にほとぼりを埋めていく。単なる「頭でっかち」の本ではなく、リアリズム感あふれるのも本書の特徴。

・今こそ求められる「合理的リーダー」
「過去に成功したから」が通用しない時代。異業種間競争が日常的になり、資本も人も簡単に国境を越える。今の時代、生き残れるのは「考えて考えて、考え抜く」リーダーなのだ。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 産業再生機構で、数々の修羅場を潜った著者だけに、反論の余地を与えない。

    冷酷なマキャベリズムのような題名に物怖じしてしまうが、組織である最適な組織判断をしがちな日本人のための処方箋である。

    組織運営を失敗した企業を課題解決した経験を生かし、時代変化に淘汰されないために、幹部候補生のための実戦的テキスト。
    未来・将来を見据えたマネージャーとして答えがない課題への答えを導くことへの重要性を説いたメッセージであり、組織人として読んで損はない。

    この著者は、理知的でテクニカルな作品が多い印象があったが、意外に熱血漢なお方であったんだと感じた点においても、異色作であった。

  • IGPIのCEOである富山和彦氏が、自身の実体験に基づいて語ったリーダー論。対象としては、課長などの中間管理職にあたる「ミドルリーダー」であり、現場からの情報と上からの情報を得られる立場としてどんなことを考えてどのように振る舞い組織を運営していくべきかについて解説している。

    今まで自分が手掛けてきた再生案件や、コンサルで行った仕事の経験を元に語っているので、非常に具体的であり、かなり実践的な内容だと思う。ただ、箇条書き的にリーダー論を語っていて体系だったものではないので、必要と思う部分を取りこんでいくのが良いと思われる。
    正直なところ、まだ社会人にすらなっていないので即役立てられる内容ではなかったが、ミドルリーダーやトップリーダーとしての心構えについては今まで漠然と考えていた大切なことがまとまっていたので非常に役に立った。
    リーダーに向かない人として、人の好き嫌いが強すぎる人や根回ししすぎてしまう人など様々な特徴を挙げていたが、特に僕が直していくべきは野党からの批判を恐れないことだろう。

  • 戦略的意思決定というのは、何を優先させるか、あるいは右か左のどちらに進むかという議論であり、
    何かを捨てなければならない。

    「捨てる」というのは、究極の優先順位づけの方法である。

  • ビジネスリーダーを目指すうえで大変参考になった。いま40代なので著者が意図するターゲットより少し上だが、若いつもりで真摯に参考にしたい。できれば、20代で読みたかった。

  • なるほどな。とは思うところが多い。実践できるかどうかは別にして。

  • 理想論ではなく、現実感を持って書かれていて腑に落ちた。
    現場の課長レベルがリーダーとして振る舞うべきという話。


    ・・・・・
    正しい改革案であれば、皆が賛同してくれるわけではない
    →利害調整力、多数派工作力、権力闘争力=実行力が必要

    課長クラスから自分が社長のつもりで行動し失敗から学ぶ

    リーダーに必要なもの
    合理的思考力

    決断するという作業は思い、ストレスがかかる。
    そういう訓練を、擬似的なものも含めて若いうちから積んでおくことは、将来、組織のトップに立ったとき必ず役に立つ

    中曽根総理
    →国鉄分割民営化
    若手が中心になり進めた

    日本はムラ社会のためトップダウンではなかなか変わらない
    →ミドルリーダーこそが日本型改革のエンジン

    上層構造では決められない難しい問題ほど、現場レベルで決められる場合が多い。

    新卒の同期が100人いれば、40になったおき、こいつは将来トップになる可能性がある、と言える人材は、おそらくひとりかふたり

    大阪市長や知事よりも、民間の社長の方がよほど権力者
    →民間社長は予算権限、損益責任、人事権全て持っているが、日本の自治体は3割自治、7割は国の金に頼っている。霞ヶ関にお伺いを立てないとならない中間管理職のようなもの

    官庁と大企業が頂点とする体制において、学歴と就職先と収入が、ワンセットで上の階級を形成していった
    →親の持ってる優位性が子供にそのまま優位となる
    →自分に有利なゲームをわざわざ不利に変えることはしない
    →貧困の連鎖、格差の固定化

    日本では、会社は実在的な共同体
    →会社が潰れることは、共同体を壊すこと

    幸福度などは、国家に決めてもらう類のものではない
    自分の頭の中の幸福観に他人を巻き込むようなことは、国家であっても個人であっても、決してするべきではない。
    性別、世代、社会の歴史、文化、宗教一人の人生の中でも次第に変わっていく価値観
    結婚、子供の誕生、家族の病気、親の老いと介護、ライフステージの変化の中で大事なことの優先順位は変化する

    企業にも人と同じように、寿命と年齢相応の役割がある
    →ソニーにアップルのようになれと言っても無理
    →大木が倒れれば、そこに光が差し込み新たな芽に日が当たる

    純粋な倫理的な命題、純粋に価値観や好き嫌いだけが問われている命題は、やたらめったらにあるものではない
    →一見そう見えても、論理的に考えられる問題かもしれないし、情の論理構造「情理」を、理解することで、論理的に正しい答えに近づける場合は少なくない

    原発
    →安全神話という、情緒的直感が人を殺した
    絶対〜の両極端は思考停止となるので、危険なものとなる、絶対はない、何かを使う以上安全に近づけるコントロール法をかんがえておかなければならない

    選択と集中は卑怯な言葉、本来は
    →捨象と集中
    捨てた後、残したものに集中する

    サンクコストsunk cost
    (埋没費用)
    →どんなに意思決定をしても、今更回収できないコストのこと
    →なかなか割り切れない
    →時間のサンクコスト、「サンクタイム」はもっと危険、執着してなかなか捨てきれない

    「タイタニック号の中で、パーティの席順にこだわっても仕方がない」
    →会社がどうせ沈むから、事業部や課の存続だけを必死で考えも仕方がない

    もともと日本の半導体メーカーはプロセス・エンジニアリング(工程全体としての歩留まり率をいち早くあげる能力)で差をつけてきた
    →しかし、ノウハウを含めた生産技術が製造装置そのものに移転していき、同じ製造装置を並べておけば、誰がやっても同じようなものが作れるようになった
    →勝負所は当時のタイミングと規模になる
    →意思決定のクオリティを問われるゲームに変わった
    →結果、韓国勢、中国勢に負けた

    航空会社のユナイテッド航空
    航空機メーカーのボーイング
    航空機用エンジンのプラットアンドホイットニー
    →もともと一つの会社だった
    →産業の草創期だから?
    →全てを内製化するのは効率が悪い
    →→水平分業化

    液晶パネルも同じ
    →画質を落とさず大型化を目指し日本は世界シェアを広げた
    →半導体と同じように、やがて製造技術の競争ではなく、当時の意思決定の競争に変わってしまった

    経営における勝ち負けとは?
    シェアではない
    →儲かるか儲からないか、のみ
    ・ノキア
    →圧倒的な携帯電話シェアを持っていたがスマホの波に乗り切れず、収益力低下→一気にシェア低下

    ■引き算の戦略的思考
    経済構造、市場環境、競争ポジションから考える
    →ただ、大抵はこれらが矛盾している
    どうするか?
    →何かを捨てる、しかない
    ・液晶パネルの高度化をやめて、アップルのように創造的なことをする
    →短期的に見れば外部から人を連れてきたり、スイッチングコストがかかる、日本ではなかなかない
    →サムスン、LGとのガチンコの勝負はやめて、超高画質、超薄型などにフォーカスする
    →→市場は小さくなる
    ・スイスの時計メーカーが、シチズン、セイコーにやられ、一個100万円、200万円のニッチマーケットに移ったように

    足し算の意思決定は簡単、でも、引き算の意思決定が出来ず、日本企業は負けてきた

    あれもこれも、ではなく、あれかこれか

    JAL再生の時、人員削減をしなければいけなかった時に、ベテランの整理士がいなくなると作業効率は下がるという話が上がった
    →前提条件を固定化しているから
    →ボーイング747(古い機体)は全て売る、捨てるという前提ならどうか?

    捨てる、というのは究極の優先順位づけの方法

    ■組織論とは
    人間という不可解な生き物、それを集団としていかにコントロールするか、どうやって動機付け、制御し、全体としてのパフォーマンスを最大化するか
    →サイエンスとして美しい体系なんて構成しようがない

    理論っぽいものがあるとすれば、人間は〜に行動する場合が多いという程度

    だから、古典的な文学書、哲学書、宗教書、歴史書なほうがはるかに示唆に富んでいる
    →マキャベリの君主論、シェークスピアの戯曲、は丸ごと組織論の教科書
    →時代を超えて読み継がれているものは人間の本質を突いているから

    ■評価について
    成果の能力をまぜてはいけない

    ゆるい勝ち戦を重ねて昇進した人がリーダーになっても勝てない
    大きな負けを小さな負けで済ませて、会社が負う傷を浅くしたとしたら大きな貢献

    リスクを思い切り分散しているということは
    その仕事に自分個人としてコミットしていないということ

    責任転嫁せず、会社や周りに与える被害を最小化するため、身を呈して最後まで頑張る、見事な負けっぷりをする人は将来、超有望

  • ミドルリーダーが一番楽しい、そんな風に読み取れた。
    ならば、俺はもっと仕事を楽しまないと、勿体無いなと。
    サンクタイム、トンボとアリの視点、善人は人を不幸にする、自分にしっくりくる内容盛りだくさんでした。

  • 30代の係長クラスから、常に自分が経営者の意識で仕事に取り組まないと、上司が悪い、部下が悪いと人のせいにばかりしてしまう。そのくせ、自分が管理職についたときには何も出来ない役立たずとなってしまう。自分の仕事を、経営者の視点で全体を俯瞰しながら取り組む必要あり。

  • 富山さんといえば、お役所組織に流通する文書の中に「G型」「L型」を提示したことで有名です。そのイメージなのか、上司がダメだししているような帯の写真。コワイです。
    でも内容は、早いうち(30代)から持つべき意識について具体的に書かれているので、参考にしやすくわかりやすくなっています。課長は平社員の時より逃げ場が多くなる面もあるので、そこに陥ればすぐに周囲を巻き込んでダメをまき散らす人になりかねません。わりと、そういう人はよくいるものなので、そうならないためにも参考になりました。

  • リーダーとしてときには、人にだけでなく自分にも非情にならなければならない。
    欧米ではCEOが絶対的であり上司が部下に忖度するようなことはしない。日本企業でそんなことをしたら立ちゆかない。取り入れることを整理しながら行わなければならない

全10件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

冨山 和彦(トヤマ カズヒコ)
株式会社経営共創基盤 代表取締役CEO
1960年東京都生まれ。東京大学法学部卒業、スタンフォード大学経営学修士(MBA)、司法試験合格。ボストン コンサルティング グループ、コーポレイト ディレクション代表取締役を経て、2003年に産業再生機構設立時に参画し、COOに就任。2007 年の解散後、IGPIを設立。パナソニック社外取締役、東京電力ホールディングス社外取締役、経済同友会副代表幹事。財務省財政制度等審議会委員、内閣府税制調査会特別委員、内閣官房まち・ひと・しごと創生会議有識者、内閣府総合科学技術・イノベーション会議基本計画専門調査会委員、金融庁スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議委員、経済産業省産業構造審議会新産業構造部会委員などを務める。主な著書に『会社は頭から腐る』(ダイヤモンド社)、『AI経営で会社は甦る』(文藝春秋)、『なぜローカル経済から日本は甦るのか』(PHP新書)などがある。


「2019年 『両利きの経営』 で使われていた紹介文から引用しています。」

冨山和彦の作品

結果を出すリーダーはみな非情である 30代から鍛える意思決定力 (日経ビジネス人文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする