結果を出すリーダーはみな非情である: 30代から鍛える意思決定力
- 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版 (2017年11月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (275ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532198411
作品紹介・あらすじ
・若いときから社長になったつもりで行動せよ
ダイヤモンド社から発行された同タイトル本(2012年10月発行)の文庫化。この本の主要メッセージは「30代から社長になったつもりで行動せよ」。冨山氏が産業再生機構に参画したのは40代前半のときであり、30代の思考・行動様式が飛躍の礎になったことは間違いない。
・「情緒的直感は人を殺す」
著者は企業再生の現場で、経営判断が情緒的直感によって行われたがためにつぶれた会社をたくさん見てきた。儲かっていないのに伝統的な事業を切り離せない、環境の変化に耐えられる給与構造に思い切って踏み込むことができないなど。これらの判断をすることは確かに経営者にとっては大きなストレスだ。しかし、ここで論理的な行動ができないがために、会社が倒産してしまっては元もこうもない。
一方で、本書は単なる「論理思考」の本ではない。論理で片付かない問題があるのも、著者はよく理解している。その場合には、「論理的に」情に訴え根負けを誘うのだ。一気に決着をつけてはならない。対話を通じて徐々にほとぼりを埋めていく。単なる「頭でっかち」の本ではなく、リアリズム感あふれるのも本書の特徴。
・今こそ求められる「合理的リーダー」
「過去に成功したから」が通用しない時代。異業種間競争が日常的になり、資本も人も簡単に国境を越える。今の時代、生き残れるのは「考えて考えて、考え抜く」リーダーなのだ。
感想・レビュー・書評
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20200201
冨山和彦氏の著作。ミドルリーダーが会社の上下の情報が集まる要所であり、この者が会社の事を考え行動できるかどうかで企業、ひいては日本の成長命運が変わってくる。
現場を見てきた人のリアルな発言である。会社内には色々な与党野党のダイナミズムがあり、それを理解し経営者目線で行動できる人に価値がある。
対立があるリアルな世界で、論理を突き詰め、情理も理解した合理的な判断が下せるような修行を積んでいきたい。
//MEMO//
IGPI用に富山氏の思考法を学ぶ。
二つ上の立場から物を見てきた富山氏の視座を置き方を参考にする。
また、産業再生というテーマで現場を見てきたケースを参考にする。
現場と管理のミドルリーダー
社長目線で経営を見ているか?
論理で考え合理的に判断する
与党で考え、野党の批判に図太くなる
人と自分の比較優位・比較劣位を見極め、しっかり周りに評価を伝える事。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今回の文庫化にあたって
まえがき
第1章 なぜ若いうちからリーダーシップが必要なのか
第2章 現実を直視する:日本と日本企業と「ニッポンの課長」の命運
第3章 論理的な思考力、合理的な判断力が不可欠である
第4章 コミュニケーションは情に訴え根負けを誘う
第5章 実戦で役立つ戦略・組織論を押さえる
第6章 評価し、評価されることの本質を知る
あとがき -
ビジネスリーダーを目指すうえで大変参考になった。いま40代なので著者が意図するターゲットより少し上だが、若いつもりで真摯に参考にしたい。できれば、20代で読みたかった。
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産業再生機構で、数々の修羅場を潜った著者だけに、反論の余地を与えない。
冷酷なマキャベリズムのような題名に物怖じしてしまうが、組織である最適な組織判断をしがちな日本人のための処方箋である。
組織運営を失敗した企業を課題解決した経験を生かし、時代変化に淘汰されないために、幹部候補生のための実戦的テキスト。
未来・将来を見据えたマネージャーとして答えがない課題への答えを導くことへの重要性を説いたメッセージであり、組織人として読んで損はない。
この著者は、理知的でテクニカルな作品が多い印象があったが、意外に熱血漢なお方であったんだと感じた点においても、異色作であった。 -
IGPIのCEOである富山和彦氏が、自身の実体験に基づいて語ったリーダー論。対象としては、課長などの中間管理職にあたる「ミドルリーダー」であり、現場からの情報と上からの情報を得られる立場としてどんなことを考えてどのように振る舞い組織を運営していくべきかについて解説している。
今まで自分が手掛けてきた再生案件や、コンサルで行った仕事の経験を元に語っているので、非常に具体的であり、かなり実践的な内容だと思う。ただ、箇条書き的にリーダー論を語っていて体系だったものではないので、必要と思う部分を取りこんでいくのが良いと思われる。
正直なところ、まだ社会人にすらなっていないので即役立てられる内容ではなかったが、ミドルリーダーやトップリーダーとしての心構えについては今まで漠然と考えていた大切なことがまとまっていたので非常に役に立った。
リーダーに向かない人として、人の好き嫌いが強すぎる人や根回ししすぎてしまう人など様々な特徴を挙げていたが、特に僕が直していくべきは野党からの批判を恐れないことだろう。 -
第1章 なぜ若いうちからリーダーシップが必要なのか
第2章 現実を直視する:日本と日本企業と「ニッポンの課長」の命運
第3章 リーダーシップの条件1 論理的な思考力、合理的な判断力が不可欠である
第4章 リーダーシップの条件2 コミュニケーションは情に訴え根負けを誘う
第5章 リーダーシップの条件3 実戦で役立つ戦略・組織論を押さえる
第6章 リーダーシップの条件4 評価し、評価されることの本質を知る -
マネジメントの本で、いわゆる日本企業に合った内容だと思いました。
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ミドルリーダーこそ、圧倒的当事者意識をもって、経営全体に向き合う、それがその人にとっても組織にとっても重要、は納得。その本質があるからこそ、情理に流されることなく意思決定する、という順番。
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ビジネスにおけるリーダーのあり方、成り方などを書いている一冊。個人的には自組織の主任が読むべき一冊に思う。
本書では課長などの中間管理職をミドルリーダーと称し、実質的に会社の変革を担えるポジションと説明をしている。そのミドルリーダーとしてどれだけ挑戦と挫折をするのかとストレスフルな環境に自分を追い込めるかで、トップマネジメントへの道が開くかどうかが決まる。
数点まとめる。
▼合理的思考力
リーダーに必要不可欠能力で外せないのは「合理的思考力」。但し、一朝一夕で身につくものではないから管理職になる前から日々のトレーニングが必要。
例えば近くで指示を受けた同僚、先輩へのミッションに対して自分ならどうするかと解決策を密かに思案したり、日々のニュースを題材に考えたりしてもいい。
▼ミドルリーダーの強み
上下から一次情報が集まるミドルリーダーの方が、目立たずに自由に動けるという強みがあり、ある意味で上司を盾に責任無く色々な経験が積める。ただいつも経営的目線を持って判断をするという意識をしておかないとトレーニングにはならない。
▼逃げ場の多い中間管理職の覚悟
組織において下の人ほど言い訳をしやすい。仕事がうまくいかない時は1番には、下っぱから「うちの課長がバカだから」「うちの部長が〃」「うちの役員が〃」と言えばいいのだが、トップマネジメント(リーダー)となると同じようにはいかない。トップに立つというのは、想像もつかないほどストレスがかかる為、ストレス耐性はかなり重要な素質でもある。また、ストレスの差を考える際に、社長・副社長の差と副社長・下っぱの差だと、前者の方が遥かに大きい。それだけトップに立ち判断をするということは難しい。
ストレスに対しては素質もあるがトレーニングもできる。常に意識して自分に負荷をかけ、ストレスフルな立場においてみるくらいの行動が必要である。
中間管理職はある意味、平社員より逃げ道が多い。部長のせいだけではなく部下のせいにもできる。その立場でどのように過ごせるのかがストレス耐性が向上するかどうかの分岐点。
▼上司も社長もチームメンバーとして使う
組織のヒエラルキーを絶対視するとそういう発想でしかプロジェクトを動かすことができなくなる。上司と意見が逆転したらどうしようなどと考えることや、部下だと思って油断するなどは愚かな行為である。例え部長だろうが社長だろうがプロジェクト達成に向けた自分の駒だと考える。