Who Gets What: マッチメイキングとマーケットデザインの経済学
- 日経BPM(日本経済新聞出版本部) (2018年9月5日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (379ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532198732
作品紹介・あらすじ
進学、就活、婚活、臓器移植……
マーケットデザインが社会を変える
☆進学、就職活動、婚活(カップリング)、そして臓器移植……。世の中には、価格だけでは需要と供給を調整できない「市場」がある。そして、この「市場」において、お互いに相手から選ばれなければ得られないものを、どうやって手に入れるのかを表す言葉が「マッチング(組み合わせ)」だ。
☆最適なマッチングは、市場にまかせているだけでは、必ずしも効率的に成立しない。そこで、どのようなルールを市場に導入すれば最適なマッチングが効率的に実現するのかを研究し、市場を設計するのが、マーケットデザインと呼ばれる新しい経済学だ。
☆本書の著者、アルビン・ロスはマッチングとマーケットデザインの研究で先進的な成果を挙げ、2012年のノーベル経済学賞を受賞した。本書は、世の中の仕組みを大きく変える理論を、一般読者向けにわかりやすく(数式などは使わず)、そして面白く、研究者自身が解説する話題作。
☆臓器提供者と患者、研修医と病院など、著者の研究がさまざまな分野で現実に適用され、私たちの日々の生活を変えつつある。ロス教授の語り口は抽象的な理論に終始することなく、マーケットデザインをいかに適用すればよいのかにまで踏み込み、知的な読者の好奇心を強く喚起する。
【解説】小島武仁 スタンフォード大学経済学部准教授
感想・レビュー・書評
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「メカニズムデザインで勝つ」関連本。
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誰が何を手に入れるかを決定する要因が価格だけではない時、市場では必ずマッチングが行われる。
⇒現職においても、価格は勝負にはなっていない。価格がポイントになっているのは、普段のネットでの購買活動くらいか?それは、コモディティ市場である。
マッチングにおいては、「優秀さ」と「どれだけ関心をもっているか」の2つのシグナルが重要となる。
⇒採用活動においても同等。人から返事がもらえるかどうかも同様。他がいるなかで、選ばれるための要素がある。
デザインのせいで市場が十分な厚みをもてなかったり、安全でなかったり、混雑に対処できない場合には、手を加えて改善できる機会がある
⇒自分が携わっているマッチング事業においては、これらが担保されていることが強みとなる。
コミュニケーションが安価で容易になればなるほど、その情報有用性が低下するのは、マーケットデザインのパラドックスだ。
⇒ファクト+その方に対しての情報編集(共感を踏まえる)が重要さを増す時代。
「現実に意味のあること、大きなテーマをやったほうが良いよ」ロス教授から小島武仁へのアドバイス
⇒1つの現象ではなく、大局的に考えられるようになりたい。科学するのはここに意味がある。大きなテーマに取りくもう! -
ぜんぜんしらなかった僕のセンサーは抜け穴
もう少し数理的な説明が欲しかったけど導入としてはよいか
因果推論
ゲーム理論
そして
マーケットデザイン
が
AIと浮かれている凡人との差をつけてくれるね -
マーケットデザインの一般向け入門書で、とても分かりやすい。臓器提供や就職活動の実例に沿って説明されるので、なぜ自然に委ねるマッチメイキングが難しく、マーケットデザインが重要なのかが肌感覚として分かるのも良かった。最後の、自由市場とマーケットデザインの折り合いについての整理は味わい深い。「個々の市場がどのようなルールを必要としているかを理解しなくてはならない」とか。