非常時とジャーナリズム

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532261320

作品紹介・あらすじ

震災と原発事故が追い打ちをかけた不況と社会不安、度重なる首相交代と不毛な政争による政党不信、領土問題など外交上の軋轢…軍部が台頭した昭和前期と現在の世相は不吉に似ている。当時の抵抗の言論人4人と言論界最大の戦争協会者は私たちにいかなる言葉を遺したのか。

感想・レビュー・書評

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  • タイトルとイメージ違った。戦時中の5人の言論人列伝。

  • 明らかに東日本大震災への便乗本なのだが、私が「言論四天王」と勝手に
    名付けて敬愛しているふたりの言論人が取り上げられているので新刊で
    購入した。

    戦前及び戦中に日本が道を踏み誤ったことに警鐘を鳴らし、大衆に迎合せず、
    軍部に屈しなかった4人の言論人と軍部礼賛から戦後の軍部及び天皇批判に
    転じた徳富蘇峰を取り上げている。

    「小日本主義」を掲げ、愛児を戦争で失いながらも戦後は「靖国神社廃止の
    議」を記した石橋湛山。

    「関東防空大演習を嗤う」で在郷軍人会から不買運動を起こされ、信濃毎日
    新聞を退社に追い込まれ、それでも国家と闘い続けた桐生悠々。

    大手新聞社が軍部の御用新聞に変貌するなか、「新聞だけはリベラリズム
    でなくてはならぬ」と言い、軍部への憤りを記した「暗黒日記」を書いた
    清沢洌。

    五・一五事件をテロであると断じ、社を挙げて軍部の脅迫に屈しなかった
    福岡日日新聞の菊竹六皷。

    戦争礼賛の蘇峰を取り上げるのなら、この4人の代表的な論説・批評の
    全文を掲載した方がよかったのではないか。

    ジャーナリズムの在り方を問いたいのか、各人の評伝としたかったのか。
    少々中途半端な仕上がりではなるが、時代の流れに臆することなく
    発言をした言論人がいたことを知る入門書としてはいいかも。

    でも、六皷はなぁ。満州建国を肯定しているんだよなぁ。私としては他の
    3人と並べるには違和感があるんだよな。

    さて、肝心のジャーナリズム。先の大戦で提灯記事を書きまくった頃と、
    大して進歩していないんじゃないか。今回の福島原発事故が起きるまで、
    原発批判なんてやってなかったろうに。大手メディアに変革は望めない。

    散々持ち上げて、一旦事が起これば手のひらを返すんだもの。変わって
    ないよねぇ。はぁ…。

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著者プロフィール

1961年大阪生まれ。86年日本経済新聞社に入社。東京、大阪の社会部で警視庁、大阪府警、法務省などを担当。現在、編集委員(皇室、近現代史)。元宮内庁長官の「富田メモ」報道で2006年度新聞協会賞を受賞。著書に『非常時とジャーナリズム』(日経プレミアシリーズ)、『天皇と葬儀――日本人の死生観』(新潮選書)、『焦土からの再生――戦災復興はいかに成し得たか』(新潮社)、『熱風の日本史』(日本経済新聞出版社)、『忘れられた島々――「南洋群島」の現代史』(平凡社新書)、『昭和天皇は何と戦っていたのか――「実録」で読む87年の生涯』(小学館)、共著に『「東京裁判」を読む』『「BC級裁判」を読む』(ともに日経ビジネス人文庫)がある。

「2017年 『天皇の戦争宝庫』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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