- 本 ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532261344
感想・レビュー・書評
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東日本大震災の起きた年には、いろんな関連本が出た。
報道機関もそれぞれに出版しており、その多くはルポルタージュ的な、震災が起きたときの人々の行動やその後の避難生活、原発事故についての取材記事をまとめたような物が多い。
そうした中で、日経新聞は「らしさ」を発揮して、企業の行動についてエピソードを集めた、という感じ。NHKの同様の本がわりと「障害者等の社会的弱者」の焦点を当てたのと対象的。
製造業の物流網が寸断され、それをどうやって一丸となって乗り切ったか、という話が多いが、ちょっと専門的で理解しきれなかった。なんとなくわかったのは、こうした災害に備えて「在庫を多くする」のは不正解で、物流網を細い糸ではなく、複数の調達先を揃えるなど網を張り巡らせることが重要なんだということ。インターネットみたいなものかなと思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「東日本大震災、その時企業は」日本経済新聞社、日経プレミアシリーズ、2011.07.08
254p ¥914 C1234 (2018.03.24読了)(2013.06.28購入)
【目次】
はじめに
第1章 3・11、その時企業は
1⃣ 製造業の「根幹」がストップ
2⃣ 住宅・建設、被害把握を急ぐ
3⃣ 電子部品「再開見えない」
4⃣ 石油、流通復旧に全力
5⃣ IT各社、サポート総力戦
ほか
第2章 生かされた「備え」
1⃣ 日本IBM―4分後に遠隔会議、1時間で状況把握
2⃣ 新日本製鉄・住友金属工業―合併前に二人三脚始動
3⃣ 神戸製鋼所―今度は自分たちの番
4⃣ 石油元売り―油槽所2つを5社で融通
5⃣ メディパルHD―50㏄バイク22台で薬を届ける
ほか
第3章 「生命の基盤」を死守せよ!
1⃣ 通信各社、基地局電源を社員が搬入
2⃣ コンビニエンスストア―近隣も被災、広域調達へ
3⃣ グーグル日本法人―災害サイト、2時間で稼働
4⃣ 日立製作所―データセンター、自家発電で対応
5⃣ 日本航空・全日本空輸―臨時便で空路を守る
ほか
第4章 「ものづくり」は死なず
1⃣ ホンダ―栃木研究所の機能分散
2⃣ トヨタ自動車―部品調達に向け総力
3⃣ 中小企業―「納期守れ」、懸命の操業
4⃣ ルネサスエレクトロニクス―車の生命線、復旧へ総力戦
5⃣ アルパイン―対策を徹底、4月から100%稼働
ほか
第5章 分断された「鎖」をつなげ!
1⃣ 宅配便―再開優先、店で手渡し
2⃣ JR貨物―初の石油専用列車を運行
3⃣ 百貨店―競争超え「物資を回せ」
4⃣ IHI―電源回復に向け現場の知恵結集
5⃣ 商社―電力燃料確保に走る
ほか
おわりに
執筆者一覧
☆関連図書(既読)
「大震災のなかで」内橋克人編、岩波新書、2011.06.21
「前へ!-東日本大震災と戦った無名戦士たちの記録-」麻生幾著、新潮社、2011.08.10
「騙されたあなたにも責任がある」小出裕章著、幻冬舎、2012.04.10
「死の淵を見た男」門田隆将著、PHP研究所、2012.12.04
「紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている」佐々涼子著、早川書房、2014.06.25
(「BOOK」データベースより)amazon
破損した工場、店舗。機能不全に陥ったインフラ。寸断されたサプライチェーン―未曾有の災害に直面したとき、経営トップは、現場の社員は、どう判断し、どう動いたのか。震災後の混乱に立ち向かう企業の姿を、最前線の記者が徹底ルポ。“次”に備えるための知恵がここにある。 -
当然のことだが、民間企業が自社と下請け等の系列各社に対する震災対応の速さに感心した。そして、ライバル各社への垣根を超えた支援も見られ、日本も捨てたものではないと思う。この震災に、動きが遅いと言われる政府や地方自治体がどのような支援ができるか? 今後も動向を見ていく必要がある。サプライチェーンを支える工場が東北に集中していたことを震災により気付くことになったが、今後も東北地方の復興のため現地を生産拠点とした復興を願いたい。当然災害対策を十分に行うことは言わずもがなであるが。
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新書文庫
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全体的に表面的かつ断片的な、まさにオムニバスだけど、それでも、輸送をはじめとしたインフラを担う企業にはおおむね(親近感ゆえか?)ぐっと来た。エアライン、コンビニ・・・、そしてまた水ingの公共への熱意にも共感するし、IBMの備えも見事だし、何よりやはりグーグルのなした仕事は卓越。
一方で、だからといって(企業に比べて)国や役所が劣っているなどということはなく(しばしばその手の二項対立で物が語られるものだが…)、むしろ、間を狙ったり各者が性格を生かして手を取り合うことでこそシナジーは生まれる、と改めて思った。 -
自分の会社がどんな行動をとったのか?は知っていたが、他の企業がどんな行動をとっていたのか。を知らなかったので、読んでみた。
初動は、阪神や、中越で実際に被災した企業や、外資が早い印象を持つ。
マニュアル化された動きばかりでなく、現場をみて「やってみよう」で動いたことも多い。
色々なところで様々な動きがあったのだな。と、改めてわかった。
と、共に、国が一番遅い行動、一番頼りない行動をとっているように感じる。
そして、それは今でも言えることだと思う。
震災から一年七ヶ月がすぎ、首都圏に住む人たちの間には、すでに風化が始まってしまっている気がしてならない。
風化させてはいけないし、まだ終わっていないのに。
地震活動が終わっていない証拠に、本日2012/10/25 19時半すぎには震度5弱の余震が発生している。
まだまだこれから。
被災地の復興はまだまだこれから。
風化なんてさせてはならないと、改めて思った。
それと、国、しっかりしろよ!保身にばかり走ってるんじゃないよ!とも、思ったけど。 -
震災後の各大手企業トップのインタビューを集めたもの。震災直後に読めば新鮮で感動があったかもしれないが今読むと、聞いた話ばかりで、本当に難しいところがあまり触れられておらず、現場力の気合で乗り越えた、という話が多く、あまり参考にならない。
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2012/07/23
福島に行く事前知識として読んだ。
個々の企業については表面的やけど、マクロの動きとしてはよくわかる。
経営者の考え方にも触れられる。
特に良かったのは、ボスコンCEOと三菱ケミカル社長。 -
東日本大震災に際して企業がとった行動をまとめた本。
日経新聞のルポを再構成・再編集したもの。なので、震災直後の頃の生々しい雰囲気も文章中に現れています。元々が新聞記事なので、一つ一つの企業の話が短く、細かいところまでは描かれていませんが、企業がとった行動の大枠は把握可能です。
基本的に、上手い対応しか書かれていませんので、個々の企業の対応の是非をこの本だけで語ることはできません。ただ、やっぱり外資企業は立ち上がりが早いということは感じますね。グルーバルに拠点があり、海外拠点のサポートを受けやすいという側面は否定しませんが、それでも、やっぱり元々の危機管理の考え方が違うんでしょうね。
いま、3.11の経験を、確実に来る東海地震に活かせるかどうかが、問われているのだと思います。 -
震災から4ヶ月弱で出版された本。
2011年6月中旬までの日本経済新聞での連載記事をもとに再構成されている。
震災直後の各企業の対応が分かり、今、改めて読んでみると、危機に当たってのトップの判断、現場の行動を振り返ることが出来るため、いろいろと考えさせられる。
佐川急便のインタビューにあるように、初動期においては「とりあえずやってみろ。ダメなら戻ればいい」と、トップも現場も共通認識のもとに迅速さを第一に行動することの大切さを感じた。
著者プロフィール
日本経済新聞社の作品





