日本企業は何で食っていくのか

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
3.44
  • (5)
  • (34)
  • (25)
  • (6)
  • (3)
本棚登録 : 245
感想 : 47
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532262020

作品紹介・あらすじ

政権交代を契機に環境が好転換しつつある日本経済。だが油断してはならない。新たな成長源は、依然として明確ではないのだ!電力生産性、ピザ型グローバリゼーション、複雑性産業など、第一級の経営学者が、日本企業が挑むべき6つの突破口を明示する。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 日本のこれまでの経済の歩みと現状から、今後の日本がどうやって世界の舞台で食っていったらいいのか?を論じた一冊。

    まず最初はこれまでの日本経済のおさらい。オイルショックがあったりその結果どうなってこうなってバブルになってリーマン・ショックになって…と、ここ40年くらいのざっくりとした日本を取り巻く世界の経済の流れをおさらいしてくれている。これは正直勉強になった。色々な事実と、他の事実がどうつながっていて、次にどうなって…というダイナミックな流れを知りました。というか俺って無知ね。

    日本が食っていく方法としては、製造業をドーナッツ経済ではなくピザ型経済で、美味しいところは国内のに残して、特に中国あたりと仲良くしようってなぁそんな感じ。あとインフラ売っていこうみたいな。

    確かに今の日本はサービス業がGDPの大部分を占めているけれど、輸出して稼げるほどのサービスってあんまりなさそうで、やっぱり得意なものづくりを今風にアレンジして食っていくのが正しいのかなぁとか思ったりした。

    問題よりも近代日本の経済の経緯を読めたのが自分にはよかった。その辺勉強したいなぁとか思ったよ。

  • 少し古いこともあってか、あまりパッとするものはなかった。物理は一神教で化学は多神教という名フレーズを学べたので星ひとつ追加

  • 2011大震災→電力危機をテーマにした日本経済論 
    オイルショックの対応をピークに、危機対応力は低下 産業も弱体化
    1.変わる輸出先・変わらぬ輸出産業
    米国→中国・ASEAN
    自動車・電気機器・一般機械・化学製品・鉄鋼
    2.日本の組織病 平時対応・利害調整・中央志向
    本社の戦略策定能力の弱さ 部門間調整に終始 ホッチキス作業
    大きな絵を描けない 中くらいでも決断できない 小さくてもスピードがない
    稀少資源が縦割りで分散・重複してとてもGlobalで戦えない
    3.日本の経営者 劣性遺伝の法則 70%の法則 売り家と唐様で書く3代目
    良い顔つき①深い素朴さ②柔らかい強さ③大きな透明感「よき経営者の姿」
    4.日本企業は何で喰っていくのか
    ①電力生産性
    ②ピザ型Globalization ドーナツ型ではなく 中核技術の堅持
    ③複雑性産業
    ④インフラ
    ⑤中国と
    ⑥化学

  • 2008年のリーマンショックによる混乱に追い打ちを掛けるように発生した2011年の東日本大震災がもたらした日本の危機的な状況を、第二次大戦・バブル崩壊に続く「第3の敗戦」と位置付けるのは、一橋大学で名誉教授を務めた経営学者の伊丹氏。1971年の「ニクソンショック」による経済危機からちょうど40年、経済成長のみならず財政・貿易収支もマイナスという状況に加え、震災による壊滅的な被害と電力危機はまさに「国難」と呼ぶべきもの。2012年の政権交代を契機に好転しつつある日本経済だが、総人口の半分を占める6千万人にも上る労働者が今後「何で食っていくべきか」という問題への突破口を明示する。

  • ●震災を経て、時代が電力生産性を求めている。
    ●日本は複雑性産業を中心に。
    ●インフラの海外展開
    ●物理学は一神教の世界、科学は多神教の世界と言うのである。物理学は基本原理を理解すれば、後は理論でまかなえる。キャッチアップしやすい。それに比べて科学は多面的なノウハウの蓄積が必要。

  • <目次>
    第一章 第三の敗戦
    第二章 失われた四半世紀
    第三章 電力生産性が産業構造を決める
    第四章 ピザ型グローバリゼーションを目指す
    第五章 複雑性産業が日本のベース
    第六章 インフラ産業の日本、インフラとしての日本産業
    第七章 地政学的重心としての中国
    第八章 産業科学の重心として化学
    第九章 日本の内なる病
    終章  何で食っていくのか、食っていけるのか

    2013.07.02 東洋経済記事を読む。
    2013.09.23 読書開始
    2013.09.26 読了

  • これからの企業の事業展開のために、非常に示唆に富む内容だった。
    ・海外事業からの仕事の国内還流の3パターン?海外の工程の後の工程を国内に作る?海外の工程の前の工程を国内に作る?海外の市場へ供給する工程を国内に作る
    ・マザーの役割は、将来のための技術蓄積を現場で行うことと海外のオペレーションの管理や指導がきちんとできるようにすることである。グローバリゼーションの時代といえども、国内での大型投資の重要性を見落としてはならない
    ・シニア市場の特徴。多品種・少量・便利・割高
    ・不祥事などが起こるたびに対策がルール化され、それが地層のように累積していく。それが過剰なコンプライアンス体質、過剰な組織防衛反応となりかねない

  • 分かりやすい説明。
    化学は多神教、物理に比べに習得に時間がかかり、韓国や中国より日本の強みが発揮しやすい分野であるの説明は納得できる。
    日本企業は、
    ・電力生産性
    ・ピザ型グローバリゼーション
    ・複雑性産業
    ・インフラ
    ・中国とともに
    ・化学
    で食っていく。

  • 人に勧められて読んでみたのだが、ほとんど響かなかった。
    書いてあることが、あまりにまっとうすぎて、逆に平板に感じられたせいだろうか。
    もうすこし、毒がある方が、読み物としては面白いのかもしれない。

  • 2013年刊。著者は一橋大学商学部教授。◆サブプライム恐慌+フクシマ起因の電力不足。この障害に対し邦人企業がとるべき対応は?。かかる観点から本書は、国全体のマクロの観点から企業の有り方、期待される産業分野、取引相手を論じる。◆①製造工程への加功維持+組み合わせ多種のピザ型グローバリズム、②複雑系産業(典型は部品多数の自動車。他に食品加工・化学全般に注目)とインフラ構築型産業(水資源・火力送発電網・鉄道。本書未記載のゴミ処分や下水処理も含むか)、③中国とリスク分散目的の東南アジア(インド含まず。理由不明)。
    さらには、電力生産性の高い分野(化学と機械工業が中心。しかし、自家発電を可能にする鉄鋼なども含まれる)。ただし、電力生産性に関わる原発再稼働の問題はお茶を濁す(本音は再開賛成だが、情勢的に原発の依存拡大は無理との判断があるよう)。◆総じて、化学(薬学は当然だが、生物化学も含む可能性)、擦り合わせを要する分野(部品を複雑に構成する分野と製造工程に複雑な過程と組合せを要する分野)、加えて省電力でも高い生産性を挙げられるものの複合分野が期待の産業と考えているようだ。
    ◆しかし、問題点につき数字や具体的実像を挙げない点、特にフクシマによる電力危機による日本からの企業逃避が、マクロ面でどの程度日本のGDPに影響を与えたか、どれほどの不足がその問題を招来したかを示すことがない。これでは電力危機を言っても説得力がないのだ。ここは著者の立論の重要な前提条件で、こういう雑さが所々見受けられる。加え、電力生産性の議論においても、製造と無関係のサービス産業や家計電力消費を加味する等、著者の依って立つ論の前提が怪しい。◇また、これらがそもそも雇用や創業拡大に繋がるか。
    単に既存企業のベクトルチェンジに過ぎないとの疑問も。◇さらに必要とされる教育・人材育成の方法論が皆無など叙述に不満はある。◆加え、化学・薬学重視、インフラ産業重視ではそれほどの目新しさは感じない。結局、重商主義であって、貿易黒字→円高という失われた20年における合成の誤謬の繰り返しに堕する危険も。まして、内需拡大・サービス産業の生産性の高度化、高齢化社会の負面、人口減の問題には触れず。◆なお、本書は円高前提の論とも感じる。

全47件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

国際大学学長、一橋大学名誉教授
1969年一橋大学大学院商学研究科修士課程修了。72年カーネギーメロン大学経営大学院博士課程修了・PhD。その後一橋大学商学部で教鞭をとり、85年教授。この間スタンフォード大学客員准教授等を務め、東京理科大学大学院イノベーション研究科教授を経て2017年9月より現職。

「2019年 『激動の平成 日経 平成三部作』 で使われていた紹介文から引用しています。」

伊丹敬之の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×