不動産格差

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532263409

作品紹介・あらすじ

日本の不動産は「格差の時代」に入りました。我が国では、空き家が大幅増加、すでに1,000万戸の大台に乗っていると見られ、2033年には2,000万戸を突破、空き家率は30%に上るという予測もあります。

著者は、このような環境変化の中で、不動産市場は大きく3極分化するとみます。「価値維持あるいは上昇する 10-15%」「徐々に価値を下げ続ける 70%」「無価値あるいはマイナス価値に向かう 15-20%」です。

すなわち、9割近くの不動産は徐々にまたは大きく下落していくのです。

こうした大きな見通しのなか、不動産の見極め方、付き合い方、マンション・戸建て・中古の物件種別ごとの対処方法を紹介します。本書は2014年に刊行した『これから3年 不動産とどう付き合うか』を全面改訂したものです。


・同じ市町村でも駅からの距離、地盤の質などによって明暗がわかれる。
・とりわけマンションは利便性がすべてであり、駅近物件以外は手を出すべきではない。
・これまで一軒家の価値は建てた瞬間から資産価値ゼロに向かって下がっていったが、これからは住宅市場データベースの整備によって、手入れ次第で価値を維持できる時代になる。

感想・レビュー・書評

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  • 図書館本。不動産関係実用書三冊目。言ってることは大体同じ。ただこの本は、人集めに成功している自治体の取り組みが紹介されてて面白かった。

  • かなり参考になった。
    空き家リスクを定性的に考えるための情報が盛りだくさんだった。
    生産緑地制度、居住誘導地域、沿線格差、災害可能性、駅距離7分、相続の資金移動、自動車中心社会から鉄道中心社会へ、省エネの義務は2020頃から

  • 不動産はエージェンシー問題が激しいよなあと再認識
    売り手ー書いて
    仲介ー借りて/買い手 だけでなく
    行政ー不動産業者/家主も
    (個人的な欲で不動産立てる→インフラ整備などの社会コストの増大,空き家問題)

    ==============
    不動産の未来予測本 

    2050年の人口体動
    →人口一極集中は以前続く,人口が増加する地域はごくわずか.
    →人口減少が見込まれているところでも,それが緩やかそうなところを見繕う&2050年よりも早い出口戦略を立てる.”人口が減るから敬遠”をつく
    →仮に自分の居住用でローンを組んで不動産を買う場合,その土地を買う方が良いのかどうかは見ておいた方がいいな


    供給を無視した新築建築,相続税対策という本来の用途から逸脱したものもある(ここは最近税制にメスが入ったみたいだけど)
    →堅実な需要のある物件を見極め中古物件で買う.

    東京一等地のマンション価格は日経平均と連動しているらしい.
    →日経平均と給与が必ずしも連動しないサラリーマンには辛いねえ

    ・自治体の行く末の二分化(国全体or各地域で活かすところ,捨てるところ)

    ・コンパクトシティ化(その自治体の中で生かすところ,切り捨てるところ)
     災害リスクが高いところはまず外される
     「表層地盤増殖率」

    ・不動産の実寿命
     [物理的寿命]
     木造22年,RC37年より実際は長い.ちゃんとメンテすれば.これらの数字は減価償却,つまり建物部分の経費化で使う数字に過ぎない
     [社会的寿命]
     昔流行った間取り,リッチ,設備などが今も価値を持つとは限らない,逆も然り
     
    ・不動産関連の様々な指数・情報
     「東証住宅価格指数」「不動産取引価格土地総合情報システム」「
     不動産に関するデータベースは未整理,不正確,曖昧 不動産テックで今後変わる?

    ・不動産価値の評価は情報が揃っていることが大事.単なる駅からの距離,築年数などだけでは見られない時代が来る
    「竣工図書」は必ず入手

    ・中古物件:
     ー新築物件を誰かが勝った瞬間に「中古扱い」
     ー整備が届いているもの,届いてないもの全部玉石混交でひとまとめ→質の良し悪しを見抜く心眼が今後重要.定期メンテの実施有無,改修履歴
     ーマンションの場合は建物全体の状態が健全か,管理組合は回っているか.→「ホームインスペクション」活用

    ・デザイナーズ物件:
     利便性,メンテ性など犠牲.手出ししない

    ・見えないところは手を抜かれやすい
     断熱材,上下水道,etc

    ・申込時点ではキャンセル可能.申込と契約は別
     「仮契約」なんてものは存在しない

  • お金

  • 1992年に生産緑地法が改正され、東京23区、首都圏などの政令指定都市において、固定資産税が農地並みに軽減される生産緑地制度が適用された。この適用期限が2022年に迎えて、全国で1万4000ha弱の住宅用地が放出される。

    人間の平均寿命推計と同様の手法を用いると、木造住宅の平均寿命は65年、マンションは68〜150年。

    ホームインスペクションの費用は、30坪の一戸建てで5〜7万円。3〜4時間でできる。

    建築基準法は1981年6月に施行された。1983年以降に完成していれば、新耐震基準で建てられていると考えてよい。

    水道の配管は30年経ったら交換時期。金属系の配管は錆びて赤水が出る。

    中古住宅の申込みの際に、数万〜10万円程度の申込金を預けるのが一般的。契約に至らなかった場合は、返金される。

  • 人口減少の日本、9割の不動産は下がっていく。自治体ごと、また同じ自治体の中でも居住誘導地域になるかどうかで、価値が変わる。

    多くの人は損するとか儲けるとかより、安心して住んでいたいだけだと思うのだけれど、それで人生の資産の大部分が左右されてしまうというのは、何だかなぁです。

  • 不動産の今後の流れが大体分かった。自分の見立てと同じで、逆に少し物足りない内容に感じた。読んで損はない内容です。

  • たぶんこの本の言う通りなんだろうけれど。すでに売れるものばかりではなくなっているのが2017.

  • 20170908-0913ちょっと業務にも関係するかな、と思って。自宅の価値についてはあまり気にしないことにするww
    ・日本の中古住宅市場は適切な価格形成がなされていなかった(レモンの市場)。
    ・新築物件の作りすぎ

  • これが現実なのかもしれないが、心情的には寂しい。一局集中を回避して地産地消の不動産が出てきてほしい。

  • ■書名

    書名:不動産格差
    著者:長嶋 修

    ■概要

    ・日経平均と都心の中古マンション価格は連動している。
    ・世界でも住宅価格が大きく上がるのはフィリピンだけ。
    ・空き家急増の理由は「新築のつくり過ぎ」。
    ・住宅選びの要諦は「1にも2にも3にも立地」。
    ・沿線ごとの人口増減率に大きな差。
    ・「立地適正化計画」によって、住宅地の選別が始まる。
    ・同じ世田谷区でもエリアによって、天と地の差が開く。
    ・住人の高齢化でマンション管理組合の運営が困難に。
    ・9割のマンションは建て替えできない。
    (amazon.co.jpより引用)

    ■気になった点

    なし

  • 不動産業に努めているが、非常に勉強になる内容。
    ・株価と東京の都心部の不動産の動きが連動する。
    ・街のコンパクト化を見据えた物件選び
    ・地域の災害対応力の下調べ
    ・ホームインスペクションの重要性
    ・耐震性の定義
    ・中古マンションのリノベーションの注意点
    ・登記簿面積と実面積が違う事がある。
    ・申し込みには法的拘束がない
    ・管理規約の閲覧
    ・ホームステージング
    など、お客さんの為になる内容がたくさん記載されてました。

  •  詳細なレビューはこちらです↓
    http://maemuki-blog.com/?p=11710

  • 【相対欲】
    中古物件は正確に評価されていない。
    建築からある期間を過ぎた中古物件は築年数だけをとらえて、正確に評価されていません。これは、逆にお買い得商品を生み出しているとも言えます。
    特に基礎のつくりがしっかりしているものは買い得だと言えます。
    (ブックオフの古本評価額に似ています)

    ただ、不動産は購入側への情報が少なすぎます。
    一品生産のため、一つひとつそこまで評価することは時間的にむずかしいのかもしれませんが、本当は評価ランクをつけるべきだと思います。(一般的にはそれが公平といえる・・・)
    しかし、そうするといわゆる「掘り出しもの」はなくなってしまうので、個人的にはさびしくなりますが。。。

    また、空き家率がどんどん上がっていく中で、不動産価格はあまり変化していないように感じます。
    なぜそう感じるのか考えてみたのですが、求める物件の考え方も変わってきていることに気づきました。

    以前は、駅から徒歩17分のこの地域でこれぐらいの家でと思っていたのですが、人の欲は変化するもので、徒歩10分のこちらの方がいいように思えてくるのです。あんな駅から遠いところは欲しくないと思ってきているのです。
    つまり、同じ物件であれば、実際価格は下がっているのですが、欲しいと思う条件の方が上がっており、結局価格だけを見ると「あまり変化していない」と感じることがわかりました。

    これは大学と同じで、少子化により全員が大学に入学できる時代になったのに、受験勉強は以前と変わらずあるいは以前よりハードになったと感じるのと同じです。
    昔、一生懸命勉強して入学していた偏差値の低い大学へ、今はだれも行きたがらないのです。みんな偏差値の高い大学を目指すのです。大学は変わっていないのに、人の相対的欲望が変化してしまっているのです。

    まあ、いろいろ書きましたが、私自身、持ち家vs賃貸の結論を出していない状況です(笑)

  • 今世紀になる直前(1998)に現在住んでいるマンションを中古でしたが購入しました。色々と条件を考える中で、拘ったのは、ある程度広めのリビングと、駅から近いことでした。普通電車しか止まらない駅ですが、駅から4分というのは、毎日の通勤のたびに良かったなと思っています。

    郵便受けにはマンション価格をしらせるチラシが今でも入ってきます。急行の停車する隣駅で大規模なマンション建築が相次いだこともあり、今では購入した価格の7割程度でしょうか、もっと下がっているかもしれません。また同じニュータウンでありながら、エレベータのない5階の物件は、さらに安くなっている様です。

    さてこの本ではマンションだけでなく一軒家についても触れられていますが、本の帯に書かれてあった「マンションは駅7分以内しか買うな」というコピーに目が留まり、手にすることになりました。今のマンションに住むまで、徒歩20分以上だった私には、平日は毎日歩くことになる駅までの距離の長短は、非常に重要であると理解できます。駅から近いと、最寄り駅に着いた瞬間に家に戻ってきた気持ちになれますが、20分以上(もしくはバス利用)の場合には、やっと帰路半ばという感覚です。これは駅近に引っ越してきて初めて実感したことでした。

    現在は人口が減るだけだけでなく、今までは増えていた世帯数までが減少に転じていると聞いています。それでいながら新築マンションは増え続けています。今後、中古住宅は、特にそれまで我慢して住んでいた人たちは、いっせいに便利な場所か、新築に住み替えることになるでしょう。空き家対策についてもこの本では書かれています、地方に両親の住む私にとっては近い将来に考えなければならない問題でもあり、この本を読んで色々と考える機会を与えてくれた良い本でした。

    以下は気になったポイントです。

    ・都市間は勿論、同じ自治体であっても格差が広がり始めるのがこれからの特徴である(p5)

    ・日経平均と都心マンション価格は連動する、1)株高によって景気見通しに対する安心感が醸成される、2)株を保有している親が、利益確定して子供にマンション購入資金を贈与しやすくなる、3)株売却によって頭金を捻出できる(p19)

    ・首都高速中央環状線が2015年に全線開通、6割程度の完成割合の「東京外郭環状道路」、首都圏中央連絡自動車道、といった3つの環状道路を、2020年までに9割の完成を目指している(p27)

    ・不動産はどんなものでも持っていれば資産、という時代は終わった。さらには、ただ所有しているだけでは固定資産税や維持管理費用のかかる「負債」である(p31)

    ・日本の住宅価格は2040年には、2010年比較で46%低下するとしている、3000万円の物件が、1620万円となる計算。理由としては、総人口の減少・老齢人口依存比率の上昇である。つまり、少子化・高齢化によって若年層の社会保障負担が増し、実質所得が減少、住宅を購入・借りたりする力が減退するから(p35)

    ・米国も以前に(1980代後半)に、米国住宅価格は今後25年間で47%下落するとされたが、移民受け入れ策採用などにより、その通りとならなかった(p36)

    ・地域別に見た、相続発生にともなう家計金融資産残高の変化によれば、東京(12%アップ)、大阪(4%アップ)以外は、すべて減少(p39)

    ・空き家率が30%を超えると、都市環境は悪化して居住快適性が著しく低下する、ベルリン壁が崩壊したとき東ドイツでは空き家率が30%を越えて地域の荒廃が問題となった(p40)

    ・全国の市街地には96万戸、東京都には26万戸の住宅用地が眠っていて、これらの多くは東京五輪後の2022年に一斉に市場放出される1974年交付の、生産緑地法では、1992年に改正されて固定資産税が農地並みに軽減された「生産緑地制度」が適用され、この期限は2022年まで(p50)

    ・空き家問題や街の過疎化は、都市部から30-40キロ圏内のベッドタウンが深刻になる。相模原市、横須賀市、藤沢市、さいたま市、川越市、戸田市、志木市、春日部市、流山市、松戸市、柏市では、この問題の対応に乗り出している(p62)

    ・住宅の寿命は、設計・施工・点検、メンテナンス、の三拍子がそろったときに長持ちする(p81)

    ・マンションを選ぶとは、どのコミュニティに入るか、ということ。コミュニティに入ったら、ただ恩恵を受けるだけではなく、一員としてコミットする必要がある(p125)

    ・建て替えを前提とするので話が難しくなる、アメリカ・ドイツ・フランスでは、区分所有権を解消して建物を解体、土地を売却して終り(p128)

    ・高級マンションの代名詞のような、外壁総タイル張りは、国(オーストラリア、スイスなど)では、法律で禁止されている。タイルの浮きが酷くて、塗装仕上げに変更した管理組合もある(p137)

    2017年6月11日作成

  • 不動産まわりの論点の整理に読了。購入というのは目的ではなく手段というのがよく分かるので、家を買う気マンマンの奥様や親世代に薦めてみるというのもアリ。笑

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著者プロフィール

さくら事務所代表取締役会長。不動産コンサルタント。
1967年生まれ。広告代理店を経て不動産デベロッパーの支店長・不動産売買業務を経験後、業界初の個人向け不動産コンサルティングを行う消費者エージェント企業、さくら事務所を設立。

「2020年 『災害に強い住宅選び』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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