- 本 ・本 (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532263751
作品紹介・あらすじ
「他にやりたいことがあるので・・・」
「留学します」
「家庭の事情で」
――退職する社員が会社に本音を告げる事は少ない。
だからこそ、「優秀な若手が辞めてしまう」という悩みを持つ企業は、本質的な解決に至ることがなく、同じ事をくりかえす。
ただでさえ人手不足のいま、企業の競争力を大きく削ぐことになりかねない。
そこで本書では、
「入社当初からいずれ転職するつもりだった」
「将来が見えない、『こんな風になりたい』という先輩がいない」
「労働と給料が見合わない」・・・・・・
など、会社を辞めた若者の本音を聞き出しながら、
どうすれば、優秀な社員を定着させる事ができるか、リテンション(定着)マネジメントのポイントを説く。
感想・レビュー・書評
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タイトルの通り、若者がすぐに転職する理由を客観的に探るものです。
特に会社で人事労務を担当する、あるいは長年の勤務で評価者に値する立場の役職者は理解しておくべきことでしょう。
若者は決して根性が無いなどの感覚論ではなく、極めて打算的に動いていることを理解すべきだと感じさせられました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
リテンション(=定着)マネジメントを行う三者
①人事②経営トップ③管理職
★辞めそうで辞めなかった人のポイント
①働きがいがある
②会社の姿勢・方針に共感
③周りに相談する人がいた
★長く続けたい!と思う会社の魅力
①働きやすさ(WLB、福利厚生、ダイバーシティマネジメント)
②働きがい(雇用主への魅力、働いた結果への意味)
③組織の空気(同じ方向を向いているか)
※研修や教育制度などの人事制度も重要だが、組織文化(=社風)の影響が重要になる。
※極論、社員を『人』で見ているか、『コスト』として見ているか。
※チームで協力して邁進できる環境
※後輩重視、人に優しい、ボトムアップ重視、透明性←若手社員には有効と言える
・定期面談で『何がやりたいか』は重要
・給与額に対する納得感
・中途社員の定着施策は①定期的なフォロー②ミスマッチのない採用③配属先の環境
★リテンションのポイント
①採用後、RJP(現実的職務予告)を行う。つまり、入社までに情報量を多く与える(ネガティブ面も含めて)。
②適正配置。コミュニケーションや相談のパイプ
③(これはうちには合わんかな)同業他社よりも高い収入
④人事評価。特に、部下の評価を確実に公平に行うために管理職への研修が行われていることが重要。
⑤労働時間
⑥研修。量ではなく、対象を絞っての充実を求める。
⑦福利厚生
⑧キャリア形成支援。終身雇用が崩壊した今、ジョブロテやメンター、マルチタスクが有効。
⑨コミュニケーション促進。フォロー面談や1on1、
⑩退職管理。
11.人事施策をセットで行う。第一は『自由裁量を増進させる。第二は教育訓練。第三は報酬や表彰制度。
★生産性の前にリテンション!
★副業OK!
★働きがい(=結果に意味が見出せるか)と働きやすさ -
『なぜ、御社は若手が辞めるのか』
山本 寛 著
社員と雇用主側の両者の
1.調査結果
2.ヒアリング
で構成されています。
読者の会社を照らしあわせることで、事例への理解が深まります。
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同じような本は最近複数あるが、リテンションについては本書がよくまとまっていると感じた。
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印象的だったのは、入社後に思ったのと違う!と思うことで転職が増えること。キツイ仕事を募集時にありのままに見せる、社員座談会でざっくばらんに話してもらうことで、防げるらしい。そう思うと、霞ヶ関がパンフレットで「19時退社」をうたっているのは嘘で逆効果だし、NHKで霞ヶ関のリアルが報じられることで、霞ヶ関には覚悟のある学生が集まる?(事実、コロナ後に入省した若手は覚悟がキマってるらしい)
優秀な人のリテンション高めるには、成果によって給料に差をつけることが必要そう -
なぜ離職するのか。
どうすれば辞めない会社を作れるか。
社員を定着させるために、どう考えていけばいいかをわかりやすく解説してあった。
これを読んだ後に、自分の会社でどういう対策をして行くべきかが見えてくる。 -
若手の離職問題だけでなく、パートタイム・アルバイトにも通じる。職場風土改善や組織風土改革が根っこか。
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〇会社が選ばれる時代に…就活中も、就職後も。会社の自衛策に、将来偉くなった時の蓄積に。
センセーショナルなタイトルで驚かれた方もいるだろう。
しかし本書は努めて冷静に、若手職員への「リテンション」(引き留め)について語っている。
若手が退職する理由は、本書を簡単にまとめるとすれば、
・若手のやりたいことと会社のやらせたいことが合わない
・若手が聞いてほしいこと・不満に思っていることが拾い上げられていない
ということがあげられるのだろうと思う。
つまりは、会社と若手社員とのコミュニケーションがなっていないのだ。
やめるとやめないとは紙一重だと思うが、その紙一重に、上司や同僚、その他のコミュニケーションが役に立ち、社員の引き留めに一役買っているのである。
もちろんその引き留めは強引なものではなく、辞めることを決めていればなぜ辞めるのかを聞き取ったり、辞めたいと思わせる前に面談の回数を重ねる、集合研修で同期同僚どうしの連帯感を高める、などの工夫が存在している。
小規模事業者にとってはメンター・メンティ制度など大々的に実施するのは困難かもしれないが、小規模事業者であればあるほど、コミュニケーションを密に取れる良い点もある。
自分の会社について「どうせうちの会社は」とあきらめる前に、彼らが気にかけられてうれしいこと、仕事を長く続けライフプランが描けるように夢を見せたり、そういう背中を我々自身が見せ続けることも重要なファクターの一つだろう。 -
リテンションという考え方は初めて知った。企業がどのように離職率を下げないようにアプローチしているか、具体例が挙がっていて内容は確かに、と思う点も多かった。
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退職にかかわる企業の損失と、適切な人材引き留め策=リテンション・マネジメントの本です。
人材が定着しやすい社風や組織風土を形成することを目的に、辞める理由と企業側の定着施策がズレていないか退職者の本音を知ること、辞められては困る=引き留めるべき社員を見極め重点的に対策を行うなど、「リテンション・マネジメント」の全体像を紹介し、退職を経営課題とすべきだという問題提起をしています。
引き留め側目線の内容ですが、上司・先輩・人事・経営者と様々な立場があるなか、読み手としてどの立場で読めばよいのか、目線が安定せずモヤモヤとすること、企業や従業員への調査やアンケート結果のデータやコメントが数多く紹介されているけれど、調査規模が不明だったり、どんな企業の事例なのかわからなかったりと、どこまで自分ゴトとして(または他人事として)捉えていいか判断しにくいなど、全体的に中途半端な読了感で、タイトルで期待するような爽快な解が得られる内容ではありません。
そもそも、誰もが納得する解があるわけもないのですが、、、
とはいえ、リテンション・マネジメントの全容をひとまず把握する、というのには好適な本です。
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