読み出したら止まらない! 海外ミステリー マストリード100 (日経文芸文庫)

著者 :
  • 日本経済新聞出版
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本棚登録 : 210
レビュー : 21
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532280192

作品紹介・あらすじ

今もっとも信頼できる書評家が自信をもってお薦めする、海外ミステリー必読の100作品。ミステリー初心者からベテランファンまで納得の新ガイドブック登場!

感想・レビュー・書評

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  • 最近、この本はいつでも手が届くところに置かれている。

    居間の自分が座る定位置の右。
    そして寝る時には枕元のライトのすぐ側。
    文字通り、座右の書、枕頭の書である。

    杉江松恋さんは現在僕が最も信頼している書評家だ。
    僕はいい本面白い本(映画、音楽etc.)を選ぶ基準として、何人が絶賛しているかよりも、誰がお薦めしているかが重要だと思っているので、自分と波長があう書評家の方に出会えたのは本当にありがたい(そういう意味ではブクログのお仲間のみなさんにはいつも感謝しています)。

    この本にはその杉江松恋さんがお薦めする、いま読むべき海外ミステリが網羅されている。
    アントニイ・バークリー『毒入りチョコレート事件』から、デイヴィッド・ゴードン『二流小説家』まで、ここ百年間に書かれたミステリが年代を追って百冊。
    しかも「現在、書店で新刊として入手できるもの」という縛りで選書されているのが嬉しい(とはいえ2013年10月23日初版発行の本書に紹介されている、ジョン・スラデック『見えないグリーン』が、すでに品切れ入手困難となっているのが出版業界の恐ろしいところ)。

    読者や著名人多数の投票による「ランキング本」は数あれど、個人が選ぶミステリガイドというものは近年では少なくなっていたのではないだろうか。
    個人的にこの本は、内藤陳さんの『読まずに死ねるか!』や瀬戸川猛資さんの『夜明けの睡魔』に並ぶ名著だと思っている。

    まさに、スタンダップコメディアンのマシンガントークのように冒険小説を熱く語る陳さん。
    そして、人気の大学教授の講義を聴いているかのような語り口の瀬戸川さん。
    そのお二人に比べ、杉江松恋さんは抑えめの筆致でありながらも、ミステリ、いや小説に対する愛情と敬意が、行間からビシビシ伝わってくる。これは主役は作品であり、書評家はあくまでも裏方に徹しようとする松恋さんの美学であるような気がする。

    杉江松恋さんのビジュアルは「マッコイ」という男っぽい語感が示す通り、建設現場の親方かボクシングジムの会長を思わせるなかなかの強面。
    しかしひとたび文章を読めば、その細やかで丁寧な書評に魅了される。

    『マストリード100』のなかでは各本ごとに項目が分かれていて、「あらすじ」はさらっと簡潔に。「鑑賞術」では濃く短く読みどころを味わい深く(当然ネタバレなし)。
    そして「さらに興味を持った読者へ」では、関連した他作品を何冊か紹介。この項では毎回趣向を変えたテーマで他の作家の本も紹介してあるので楽しい。

    巻末には「第二部 さらに楽しい読書のすすめ」と称して、「新刊で購入できる」という縛りから泣く泣く選外へと漏れてしまった過去の名作たちを紹介。
    実はこっちの方が本編ではないかと思うほどの読みごたえ。
    絶版だとわかるとますます読みたくなるのが人間の性で、気になった何冊かはAmazonで購入してしまった。
    (1円で買ったものが最近1500円くらいになっていて驚いた。在庫数も減っていたので、みんなあわてて買ったのだろうか。)

    本の目利きによる、ミステリ、エンタテインメント、小説への愛(恋?)と、読者への優しさが詰まった最高のブックガイド。
    痒いところに手が届く『海外ミステリー マストリード100』
    この本こそマストリード。
    ぼろぼろになるまで読みたい。

    (2014年3月6日には、千街晶之さんによる「国内編」も出るらしいので、そちらもすごく楽しみにしている。)

  • ブクログでの情報により、海外、国内合わせて購入。
    これは面白そうだ!ただただ残念なのは一人で楽しむ本ではないなぁ~これを挟んで趣を同じくする同士と語り合えたら楽しいだろうな~

  • 購入しておいて面白そうな本を探すときにパラパラとめくっています。

  • 専門家の量とファンの熱。どメジャーもあるが知らない作品も多く、既読作も再読したくなる。個人的おすすめランキング、くらいまで突っ走ってくれても良い。
    ミステリブックガイドのようにテーマがある場合は、筆者一人の熱量と決め付けで押し切ってくれた方が読む方も感化されやすい。複数の識者が自分の担当分をお行儀良く紹介する構成だとあまり伝わってこない。

  • 推理小説の書評を中心に活動されている杉江松恋が自信を持ってお薦めする海外ミステリーのガイドブック。第一部では主に新刊として手に入るものばかりをピックアップした100冊。第二部ではミステリーの歴史上外せない作品や現在入手困難な作品が紹介されています。

    海外のミステリーに挑戦したいけど、何から手に取っていいのか分からない自分には有難い一冊。
    しかし、エラリイ・クイーン、カーター・ディクスンは思わぬ作品が選ばれているのですが、なぜ代表作よりそれが必読なのかよく分かりません。
    また、アントニイ・バークリーの『毒入りチョコレート事件』は、ベースとなる短編が存在するとか、バークリーという作家の特性とか書かれており、あらすじ以外では全く内容に触れていません。入門書にしてはやや不親切に感じてしまいます。

  • ちょっとこちら方面の作品をブラッシュアップしておきたい用事ができて、「何かいいものはないだろうか」ときょろきょろしているときに、グッドタイミングで発売されたので、思わず飛びついた本。

    編者・杉江松恋さんの「今読むべき!」と思われるミステリーで、現在新本で入手可能な作品が100作紹介されている。2部構成のうち、第1部は1作品3ページのコンパクトな作品レビューだが、その作品の読みどころ、その著者の作品、ジャンルをさらに読むためにつなげるポイントがピシリと的確に述べられている。だからといって変に親切なブックレビューではなくて、「残りは自分で読んで確かめなさい!」と、本編への橋渡しの役目をきちんと担えている本だと思う。だから、未読の作品にはそそられ、既読の作品には記憶を呼び起されと、同じ章を何回繰り返しても楽しめる。

    これだけ並べられて、自分の既読、あるいは名前と作品名が結びつく作家を挙げてみると、自分の読書のもとが結構ミステリーでできていることが再確認できてしまった本でもあった。しかもそれが定番の警察・探偵ものよりも、国際謀略やコン・ゲームたあどういうこったい(笑)。国際謀略ものの衰退はまあ、国際情勢の変化でしょうがないところがあるのは納得できるけれど、ウェストレイクやケンリック(章立てはないけど、名前が出てきて結構嬉しい)のような、くすっと可笑しいコン・ゲームがすっかりすたれてしまい、ダークなトラウマ犯罪もの、もしくはコージーミステリーにとって代わられてしまった感があるのがちょっとさびしい。主人公や犯人たちが大事件で右往左往しながらも、誰も不幸のどん底に沈むことがないユーモアは、「n倍返し」よりもずっと愛があって愉しいと思うんだけど。

    第2部は発展編ということで、入手しにくくなっているクラシック作品とその系譜について、過不足なく端的にまとめられており、短期間にいろいろ仕込まなければならなくなった身としてはとてもありがたく、面白く読ませていただいた。

    読み物にコストパフォーマンスを求めるものではないと思うものの、この内容でこの価格だったら、杉江さんは大幅に持ち出しではないのかと、要らぬ心配をしてしまう。ともあれ、「私の中のミステリー魂リターンズ」の強力なエンジン本となるような気がして、ひまさえあればぱらぱらめくっている。

  • マッコイの書評は各所で目にするし、参考にもしているから、一冊を通してってのは初体験だけど、安心して通読できた。オススメ作品も納得のラインナップで、手に取りたい作品がまた増えてしまった。日本のものと比し、既読作が圧倒的に少ないから、数作試してみて気に入った場合に、楽しみの余地がふんだんにあるってのも良い。まずはどれからいっとこう?

  • 同じような本を持っているが結構違う。名作と言われる作品は共通してるから被るはずなので敢えて外してるんだろう。しかし、これを選ぶか?というのもあったりしてかなり外し気味な気がする。これくらいしないとこういう本を読む人は全部知ってるし楽しめないだろうが。一度読んだだけでは覚え切れないし、手元に置いて少しづつ見て買ってみるのが良さそう。

  • ミステリーのガイド本。読者にこんな本がありますよと紹介してくれるのは良いのだが、内容が客観的すぎて、その本をどうしても読んでみたいという気にならなかった。
    同じガイド本でも「100冊の徹夜本」や『夜明けの睡魔』などは、読み物としての面白さがあった。

  • 海外ミステリー好きのちょっと軽めのバイブル的役割は出来るとと思います。
    昔の知らない作品を知ることが出来るし、既に読んだことのある作品をなぞるのは楽しかった。
    この1冊に掲載されている作品を読破している人もいるんだろうなぁ。。。。

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著者プロフィール

1968年東京都生まれ。慶應義塾大学卒業。国内外のミステリをはじめとする文芸書やノンフィクションなど、幅広いジャンルの書籍について書評・評論活動を展開。読書会、トークイベント、落語会などの主催も精力的にこなす。著作に『読み出したら止まらない! 海外ミステリー マストリード100』 (日経文芸文庫)、『路地裏の迷宮踏査』(東京創元社)、共著に『桃月庵白酒と落語十三夜』(桃月庵白酒氏との共著、KADOKAWA)がある。

「2017年 『ある日うっかりPTA』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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