フラット化する世界 下: 経済の大転換と人間の未来

  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
3.57
  • (59)
  • (83)
  • (180)
  • (8)
  • (2)
本棚登録 : 789
感想 : 76
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (425ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532312800

作品紹介・あらすじ

「世界のフラット化」によって仕事を奪われないために、先進国の人々は何をすべきなのか?子供たちの世代がインドや中国との競争に勝ち抜くには、どんな教育や社会システムを作る必要があるのか?企業はどう対処すべきなのか?本書後半では、フラット化という重大な試練を乗り越えるための具体的な方法を論じる。そして、フラット化がもつ真の可能性が明らかになる。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • トーマスフリードマン著、伏見威蕃訳「フラット化する世界(下)」日本経済新聞社(2006)
    * フラット化が進む中、どのような人々が無敵の民となるのだろうか?脳外科医や研究者などの「かけがえのない、もしくは特化した」人々である。また「地元に密着」して碇を下ろしている人々もこれに当てはまる。特定の場所で仕事をしていたり、特殊な地場の知識が関連していたり、顧客、クライアント、患者、同僚と直接の個人的な結びつきや相互交流があったりするためだ。
    * ノーベル賞を受賞した物理学者にどうやって科学者になったかたずねると、家に帰ると母親が授業のことを毎日質問したと返ってきた。何を習ったかに興味があったのではなく、「きょうはいい質問をしたの?」とつねにきいた。「いい質問をすることで、私は科学者になった」
    * フラットな世界では、IQ(知能指数)もじゅうようだが、CQ(好奇心指数)とPQ(熱意パッション指数)が最も大きな意味を持つだろうと考える。
    * 世界のフラット化は異社会、異文化が直にい触れ合う機会が激増する。

  • 世界がフラット化した状況や要因を記述した上巻に続く下巻です。

    下巻では、上巻に輪をかけてますますアメリカ中心になっていきます。もちろん、アメリカのジャーナリストが基本的にはアメリカ国内の読者に向けて書いているので当たり前なんですが、ちょっと不満なところです。そういう意味では下巻よりも上巻の方が、自分の興味に合う情報が多く含まれていました。この下巻の辺りを読んだ後は、J.E.スティグリッツ氏の『世界を不幸にしたグローバリズムの正体』などでも再読してバランスを取った方がいいのかもしれません。イスラム諸国やメキシコに対してかなり厳しいのは、白黒をあまりにもはっきり付けたがるアメリカのジャーナリズムのよくない面なんですかね。

    フラット化のもたらす環境と認識を共有すれば、インド、中国、アフリカ、アラブの人がみな幸せになる、というような論の進め方を、ビルゲイツの慈善活動の話などを交えてしているところでは、最近読んだJ.ダイヤモンド氏の『文明崩壊』を思い出して、「60億人の先進的な生活を支える資源が絶対的に不足するのでは...」と考えながら読んでいました。すると、そのまま『文明崩壊』を引用して、エネルギー問題についても触れていたので、ちょっとうれしくなりました。ただし、この点に関しては根拠なく楽観的な部分がある上、文脈上でも扱いがまだまだ軽いような感があります ("グリーン"な考え方が重要だとは強調されていますが)。少し長めのスパンで考えると、この問題は『フラット化する世界』では非常に重い課題になってくるように思います。

    他に印象に残った点は、新ミドルクラスに必要な人材を挙げた箇所です。要するに今後も先進国にいて給料の高い仕事に就きたければ、グローバルな基準で通用する"まとめ役"、"合成役"、"説明役"、"梃子入れ役"、"適応者"、などの今後必要とされる能力のいずれかを持たないと世界の他の地域の誰かに取って換わられてしまうぞ、ということらしいです。日本には日本語の壁が存在するので、自分の職を他国の人に取られてしまうかもという危機感はアメリカ人の方が切実に感じ始めているのかもしれません。それでも、先進国としての日本にも当然当てはまるところなんだろうなあ、とだんだんミドル層になりつつある身として色々思うところありました。少なくとも年齢や経験によって生まれる能力差異がフラット化している領域が多くなり、いわゆるITリテラシーによる若年層のアドバンテージによって容易に埋められていくのではないかと思うと漠とした不安が生まれてきます。早速、本の中で紹介されていた『ハイコンセプト』(大前研一訳)を買ってきました。

    中国やインドが、アメリカ(日本)の後を付いて行こうとしているのではなく、アメリカ(日本)に追い付き、さらに追い越そうとしている、という指摘は重要ですね。

    星4つ。

  • 物性研の所内者、柏地区共通事務センター職員の方のみ借りることができます。
    東大OPACには登録されていません。

    貸出:物性研図書室にある借用証へ記入してください
    返却:物性研図書室へ返却してください

  • 船橋ブックオフ

  • ・フラットな世界でのばすことができる最初の、そして最も重要な能力は「学ぶ方法を学ぶ」という能力だ。
    ・ゲームのルールは変わりつつある。巨人になる必要はない。ニッチを見つければいい。テクノロジーのお陰で、大企業とも競争できる。

  • フラット化する世界に対応するには教育が大切であるが、
    効果はすぐ出ない。長期的な施策が必要。
    またこの問題は個人が対応すべき問題でもある。
    フラット化は避けられない流れであるから
    壁を作り周りの環境を拒絶するのではなく、
    自分の内面を掘り進める事が大事である。
    マクドナルドが出店している国同士では大きな紛争が無いとは面白い指摘。
    それ程マクドナルドはよく調査しているのだろう。

  • 世界はフラット化してきている。
    グローバルサプライヤーチェーンに組み込まれてしまうと戦争のようなおおごとは起こせなくなる。
    思想の面ではなく経済の面から戦争を見る視点も大事である。その考えが経済音痴の私にはあまりないことを実感。
    北朝鮮を組み込ませるにはやはり金王朝が倒れるしかないのかなと思った。

  • おすすめ資料 第12回世界経済はいかに変容したか(2007.2.16)
     
    ユビキタスコンピューティングの発達は場所を選ばないビジネス社会を実現しました。
    例えばあるアメリカ企業では夜間にインドに仕事をアウトソーシングし、それを翌朝に受け取って休むことなく活動しています。
    作者はそのように境目がなく、狭くなった地球を(丸くない)フラット化した世界と呼び、フラット化に至った経緯を丁寧にひもといています。
     
    ベルリンの壁が崩壊して世界が自由市場指向となり、中国のWTO加盟がさらにその競争の場を広げました。
    2000年問題への対応はアウトソーシングを促進し、その中でインドが脚光を浴びるようになりました。
    また企業のあり方のみならず個人の生活の変化もフラット化を後押ししています。
    現代ほど個人が知識にアクセスするのに差別のない時代はかってありませんでした。
    このようにこの図書は世界の経済社会の動きを広い視野で俯瞰できるものになっています。
     
    ご紹介したのは第一部(上巻)の内容ですが、第二部(下巻)ではフラット化した社会で生き延びるための方策が示されています。

  • 面白かったが、大作で読破するのに時間がかかった。
    グローバル化、ボーダレス化の先にあるのがフラット化か。
    表面だけ眺めると、よくあるインド・中国のオフショアビジネスの台頭がテーマという感じもするが、実際はもっと奥が深い。
    このパラダイムシフトが起こっても米国は大丈夫で、困ったことになるのは日本だけなのか・・・
    本筋とは異なる(実はこれが本筋だったりするのだが)が、筆者が購入したDellのノートPCの製造に関わるサプライチェーン上の400にも及ぶサプライヤのどの部品を組み合わせ、どう配送されたかまで把握できるところにちょっと衝撃のようなものを受けた。

  • あらゆる国境がなくなったフラット化された現代に生きる我々に対して、
    その新しい世界のポイントを論じる内容の下巻。

    その内容はより深く、そしてより壮大になっている。
    特に戦争を防ぐ手段としてのサプライチェーンという考え方は、
    自分にとって新しいものであったが、極めて納得感が高く、
    国際関係を築く新たなる礎たり得るものであった。

    アメリカ国民に対して、警鐘を鳴らしている本書であるが、
    フラット化した世界の良い点、悪い点をキチンと理解した上で、
    如何に自分事として考えることができるかがポイントであると思う。

全76件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

ニューヨーク・タイムズ コラムニスト
1953年ミネソタ州生まれ。ブランダイス大学を首席で卒業後、オックスフォード大学で修士号を取得(現代中東研究)。UPI通信に入社し、79年から81年までベイルート特派員。その後ニューヨーク・タイムズ社に移り、ベイルートとエルサレムの両支局長を歴任。その間、ピュリツァー賞を2度受賞。89年に帰国。95年からニューヨーク・タイムズ紙の外交問題コラムニスト。02年にテロ問題に関する執筆活動により3度目のピュリツァー賞。

「2021年 『遅刻してくれて、ありがとう(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

トーマス・フリードマンの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
小川 浩
トニー・ブザン
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×