「日本の経営」を創る: 社員を熱くする戦略と組織

  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (390ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532314224

感想・レビュー・書評

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  • 日本を代表する経営学者と事業再生&経営のプロによる対談をまとめた一冊。
    最低でも三枝氏の「V字回復の経営」を読了してから本書を読むべきと思う。特に第6章「人の心を動かす戦略」は読み応えがあった。

    以下、本書の要点と思える箇所or特に心に残ったフレーズを列挙する。

    企業が元気であり続けるためには、社員を機能別の狭い仕事に埋没させてはいけません。「創って、作って、売る」の機能をワンセットで持たせる組織を、なるべく小規模になるようにデザインして、その中で経営リーダーや社員が自律的に計画を組み、意思決定し、事業を推進できる組織を与えると、かなり大きな事業でも途端に元気になります(三)

    これからユニークな「日本の経営」を創っていくためには、私は抽象化というのをビジネスパーソンが自分自身である程度ちゃんとできるようになるという能力がものすごく大切だと思う。もちろんそれだけじゃダメで、具体化・解凍がないと現実はことが動かないから両方とも大切(伊)

    鮮明な戦略ストーリーで組織内の「戦略連鎖」をつないでみたら、その影響で機能組織をまたぐ「情報連鎖」や「時間連鎖」までが強烈にスピードアップし、その結果皆が熱くなっていき、目が輝き、「マインド連鎖」ができあがって、それが大変な事業成果として表れ、その成功体験によって「組織カルチャーのキンク(屈曲、突然変異的変化)」が生み出された(三)

    <シンプルなストーリーを作るための「一枚目、二枚目、三枚目」論>「一枚目」は、現実の問題点への強烈な反省論を単純化して書いたものです。現状の問題の本質はこれとこれだといって、その段階で構造をシンプル化するんです。原因がシンプル化されると、「二枚目」の戦略とか対策のストーリーが単純になってきます。「三枚目」は具体的に担当者と日付の入ったアクションプランです。〔中略〕この三枚全体をどう書くかが、経営の推進力を生むポイントだと私は思っているんですよ(三)

    改善をたくさん積み上げたら改革になるという考え方を、私は真っ向から否定しています(三)

    日本の集団の強さというのは、平均点が高いことだと思います。アメリカのように、信じられないくらいの天才がいるかと思えば、経営意識のないワーカーがたくさんいるというのとは異なります。日本では工場内でも何でも、みんなで一緒になってやる。これが日本に残っている最高の武器だと思っているんです(三)

    乱暴な人事、背伸び、ストレッチ、すべて組織や人が育つ源泉だと思います。もちろん無茶はいけない。しかし、無理をしなければ伸びない(伊)

    ※(三)は三枝氏、(伊)は伊丹氏の言葉。

  • 伊丹先生と三枝さん、理論と現場の達人同士の対談。非常に面白かったのでプロレス実況風に感想を書く。
    さぁ伊丹選手、斬れ味鋭い蹴り技で状況を分解し理論をつくっていく!お〜っと!三枝選手、得意の固め技で理論を組み合わせて現場に落とし込む!二人のファイトスタイルがスイングし、大スペクタクルが展開されている〜!!!

  • 学者肌の伊丹氏と実務畑の三枝氏の対談が良い塩梅にまとまっている。アメリカと日本の経営の違いや人についての考え方については示唆が多い。

  • 戦略は抽象的であるので、人を動かすには、「シンプル」であることと、実際の仕事のツールにまで落とし込んでいくことが必要である。(三枝氏)
    実際に改革を推進してきた三枝氏の話だけに、説得力があり細かくポイントを分けて解説されているのでわかりやすい。

  • 何度読んでもよい。
    具体と抽象のバランスが絶妙。

  • アメリカ流と日本流の経営の対比から、日本の優位性を明らかにし、実際に則して今後の日本経営に提言を行っている。非常に面白かった。

  • 経営に関わる学者と実務者の魅惑の対談。三枝匡さんのビジネス小説三部作を、すくなくとも「V字回復の経営」を読んでからの方が楽しめると思う。

    それにしても相当にハイレベルな会話。互いが対話しながら学びあい、引き出し合っている。この本の中で、「日本の経営」に関する「具体策」が提示されている訳ではない、というのはあとがきで伊丹氏も指摘しているが、エッセンスや、考え方、学ぶ姿勢、多くの気づきがある良著でした!

    ブログ
    http://shinojackie.blogspot.jp/2013/12/x.html

  • 組織論に興味のある私にとって、贅沢な時間。

  • ミスミグループ会長の三枝匡氏と、大学教授の伊丹敬之氏が、「日本の経営の在り方」について、対談を通じて具体と抽象を行ったり来たりしながら、本質に迫る本。アメリカ流経営と日本流経営の長所/短所を客観的になぞりながら、普遍的な経営論理というものは、情報の論理と感情の論理の組み合わせにある、と説く。

  • 社員を熱くする戦略と組織 ―
    http://www.nikkeibook.com/book_detail/31422/

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著者プロフィール

(株)ミスミグループ本社名誉会長・第2期創業者。一橋大学卒業、スタンフォード大学MBA。20代で三井系企業を経て、ボストン・コンサルティング・グループの国内採用第1号コンサルタント。32歳で日米合弁会社の常務、翌年社長就任。次いでベンチャー再生等二社の社長を歴任。41歳から事業再生専門家として16年間不振事業の再生に当たる。2002年、ミスミCEOに就任。同社を340人の商社からグローバル1万人超の国際企業に成長させ、2021年から現職。一橋大学大学院客員教授など歴任。著書4冊の累計100万部。

「2023年 『決定版 V字回復の経営 2年で会社を変えられますか? 「戦略プロフェッショナル・シリーズ」第2巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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