フラット化する世界 中 普及版: 経済の大転換と人間の未来

  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532316341

作品紹介・あらすじ

世界の仕組みは大きく変わった。新しい通信テクノロジーの出現によって、地球上のあらゆる場所にいる人間との共同作業が可能になり、インドや中国へのアウトソーシングが始まった。ブログやGoogleはインターネットに接続する個人にグローバルな競争力を与え、ウォルマートやUPSは人々の想像力を超えた新ビジネスを展開している。いまや、個人の働き方、企業のビジネスモデル、さらには国家のシステムが猛烈な勢いで変わろうとしているのだ。この劇的な大変化こそ、「世界のフラット化」である。この激流のなかで、先進国と新興国の個人はどう生き残っていけばいいのか。米国で大ベストセラーを記録した名著の普及版。

感想・レビュー・書評

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  • フラット化によって生じるデメリットと、その解決の糸口について書かれていました。

    【中国人に仕事をとられるというのは本当?】

    簡単な仕事なら、途上国の人たちにやらせた方がずっといいので、先進国で同じ仕事をする人は、職を失ってしまいます。でも、これは一時的なことであると筆者は言っています。こんな例を使って説明していました。

    例えば世界がアメリカと中国の2つの国しかないとして、アメリカ人100人、そのうち知的労働者が80人、中国人1000人、そのうち知的労働者がアメリカ同様80人だったとしたら、計160人の競争はもちろん激しくなって、アメリカ人の知的労働者は自分の仕事を中国人にとられるかもしれません。でも、今まで100人の人間を相手にしていたのが、フラット化によって市場が大きくなり、1100人になります。すると、結果アメリカ人も中国人も得をするということです。

    イタリアのアパレル会社では、工場は低コストの地域に移動し、ポジションを失う人が居ましたが、インターネットや流通の分野では必要な人員が増えたそうです。

    【これからの世の中を生き残れる人】

    機械に出来る仕事はどんどんと人間の手を離れて行きます。そこで人間が出来る仕事とは何かについても語っています。例えばマドンナや脳外科医などの「超」専門的な仕事、地元のレストランのコックさんや美容師さんなどの地域に根ざした仕事、環境問題に立ち向かう人、そして説明し、調整する人。例えば別の国に言って、ビジネスの方法を現地の人に説明する人など。

    自由経済によって自分の賃金は低くなるかもしれないけれど、「新しい味のコーヒーを飲みたい」という人間の好奇心は止まらないという内容が印象に残りました。

    下巻が楽しみです。

  • 日本の学力低下が「ゆとり教育」のせいにされているが、原因は「ゆとり」そのものでなく、「ゆとり」を選ぶ指導者たちの考えや基礎軽視の流れにあるのだな、と考えながら読んだ。教育すべきが数学や科学なのか、あるいは論理なのかは、ちょっとピンときていないけど、テクノロジーとデザインなどを組み合わせて教育するという考えには賛同できる。また、「終身雇用制」から「雇用される能力」への変化という考えにぐさりときた。表面的な学習に終始し、わかったつもりになっているのではないか?

  • 2000年代初頭の中国、インド経済の勃興が思い起こされる。

  • 上巻に同じく、情勢に敏感な人なら気づいている状況だが、色々と取材しており面白い。グローバリゼーション批判に対してここまで擁護の立場を明確にしているのも(いささか極端ではあるけど)、現実感のない学者とは一線を画していて面白い。

  • 経済の大転換と人間の未来/
    The World Is Flat: A Brief History of the Twenty-first Century ―
    http://www.nikkeibook.com/book_detail/31634/

  • 上巻は、フラット化によるメリットばかりを並べ立てている印象だったが中巻に入り、その問題点も含めて議論されるようになってきて面白い。開国か鎖国か、の答えは開国しかないのか?下巻も楽しみ。

  • 主に第二部のアメリカがグローバリゼーションにどう対応していくべきが中巻の大半を占めているが、一番最初の第4章の内容がすばらしい。
    デルはどこの会社であるか?
    一昔前ならアメリカとすぐさまこたえれただろう。
    しかし、製造地、消費地、資本の基などが多国籍である企業の国を中心とするアイデンティティーをどこに置くのかが難しくなっている。
    ユニクロが中国などで製造、さらに販売までも行っている事に旧世代の人々は批判する。「日本から職を奪っている」と。
    しかしグローバル化が進む中、企業が生き残っていくためにはもっとも安い労働力をつかって、もっとも需要がある市場に投入すべきなのである。
    ユニクロはもはや日本企業ではない。
    日本企業などあと10年したらなくなるのかもしれない。
    本書を読んでそう思った。

    第二部はアメリカがどう生き残っていくべきかを説明していたが、日本の場合も当てはまることが多々あると感じた。
    デジタル化の時代、理系の人材育成はアメリカだけでなく日本の発展にも絶対必要なことであろう。
    教育はイノベーションを生む。イノベーションは雇用を生むので、日本の利益になるのだ。
    さらに、ミドルクラスの労働者は今以上に勉強を怠らずに、努力をし続けなくては、生き残れないと言う言葉が心にひびいた。
    インド人中国人との激しい競争生き残るためにさらに勉強していこうと思う。

  • 今まで考えもしなかったような仕事がどんどん生まれる。進化するってそういう事だよね。それにしても・・・。

  • 著者がアメリカ人なので、アメリカ目線で話は進むのだが、日本の状況にあてはまることも少なくない。内容は良いのだが、言いたいことが少々散漫な気がする。

  • 今の日本、会社、そして自分自身がおかれている状況を深く考えさせられる内容だった。

    この世界を生きていくために必要なバリューは何なのか。世界中の国々や人々が得ようとしているスキルは何なのか。

    基礎的な学力(特に数学、語学)をしっかりと身につけて、良く本を読み、常に努力し続け、自分や会社や国の成長を考えるような人になる必要があると感じた。

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著者プロフィール

ニューヨーク・タイムズ コラムニスト
1953年ミネソタ州生まれ。ブランダイス大学を首席で卒業後、オックスフォード大学で修士号を取得(現代中東研究)。UPI通信に入社し、79年から81年までベイルート特派員。その後ニューヨーク・タイムズ社に移り、ベイルートとエルサレムの両支局長を歴任。その間、ピュリツァー賞を2度受賞。89年に帰国。95年からニューヨーク・タイムズ紙の外交問題コラムニスト。02年にテロ問題に関する執筆活動により3度目のピュリツァー賞。

「2021年 『遅刻してくれて、ありがとう(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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