良い戦略、悪い戦略

制作 : 村井 章子 
  • 日本経済新聞出版社
4.06
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本棚登録 : 1319
レビュー : 141
  • Amazon.co.jp ・本 (410ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532318093

作品紹介・あらすじ

「実行」と直結しているか?「単純明快」で「単刀直入」か?戦略思考を大家が伝授。

感想・レビュー・書評

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  • 米国では相当有名な戦略論の大家らしいが、今までに二冊しか本を出してないらしく、しかも前作は三十年前なのでまったく名前を知らなかった。
    戦略に関して、極めて本質的なことを述べている良書である。

    悪い戦略の特徴として、
    1,空疎である
    2,重大な問題に取り組まない
    3,目標を戦略ととりちがえている
    4,まちがった戦略目標を掲げる
    としており、本文を読んでいくとハッと思い当たる部分もあるのが困る。

    反面、良い戦略についても示唆が豊富に示される。
    カーネル(核)となるのが、
    1,診断
    2,基本方針
    3,行動
    であるという。
    ただし基本方針そのものは戦略とはいえず、的確な診断があって初めて基本方針が生きてくる。

    米国の冷戦中の国家戦略立案の例は興味深い。
    ソ連のイデオロギーや権力の徹底的な分析をし、長期戦を確保すべきで交渉による和解の余地はないという診断を下した上で、封じ込め戦略を立案&実行したそうだ。

    ガースナーがIBMを建てなおした事例も、まさに事前の診断がものを言っている。
    社内やウォール街の判断では図体が大きくなりすぎたIBMは分社化すべきと云う意見だったが、状況を分析したガースナーは総合メーカーとしての総合的なスキルを活かせていないと診断し、その結果分社化は中断されてオーダーメイドのソリューション提供という新しい基本方針の本で復活を成し遂げている。

    戦略の要となる強みの源泉を解説する部も面白い。
    鎖構造の章で述べられている話などは、楠木教授の主張している良い戦略にはストーリーがあるという内容と同じだと思うし、戦略実行に使える強力な手段が近い目標を立てることであるという主張は納得感が大きい。
    そして最近の企業の中では出色な戦略行使をしてきたNVIDIAの例は、本書中多くの例の中でも焦眉のものであろう。
    いかにこの会社が戦略を駆使して成功を手繰り寄せてきたか、がそこまでの解説と相まってよく理解できる。

    本書の至る所にある戦略の説明の例示には、企業戦略に限らず古今東西の戦争や外交から的確な事例を数々と取り上げている。
    イラクを攻めた「砂漠の嵐」でシュワルツコフ大将が取った伝統的な包囲戦略、聖書にある巨人ゴリアテをダビデが破るときの一点集中戦略、カルタゴの名称ハンニバルがローマを完膚なきまでに破ったカンネの会戦など、他でも良く聞いてきた戦略なのでスッと事例が頭に入ってきて分かり易い。

    その他、色々と示唆に富む文章があるのだが、P320~321で筆者が技術畑出身の経営陣の述べた戦略と科学の捉え方に関する説明には唸ってしまった。

    他の戦略本のようにある考え方に基づいた新しい戦略を述べるという筋ではなく、戦略一般に対しての考え方を非常に適切に整理した本である。
    また各所に自身の普段の仕事の中での考え方を改めさせる示唆があり、振り返りにもとても役立てることができた。
    お薦めの戦略本である。

  • 戦略を如何に立てるべきか、正しい戦略とは何なのかを書いてる。経営者は読んで損はない内容。

    最後はちょっと冗長かな。

  • 板橋図書館で、実に32人待ちの予約を待って、ようやく読んだ本。
    たしかに面白かったけど、ちょっと不満もある。

    むろん、示唆深い。戦略の本質は自軍の強い部分を敵の弱い部分にぶつけることであり、それに尽きる。それを見ぬくために、本質(カーネル)を抑えつつ、単刀直入に把握すべきであり、文飾や穴埋め式チャートではないというのはそのとおりだ。

    あの穴埋め式チャートは、ほんとうにあほらしいと思うので、全く同意できる。

    その反面で、物足りないというか、イラッとする。
    それは、事前にどうやって分かるのかということだ。
    事後になって、それがカーネルだった、それが本質だった、それが準備が足りなかった、それは設計に欠陥があるから崩壊するというただそれだけのことだ(2008年の金融バブル崩壊に対してそういった)、と言われても、それはそうかもしれないけれどもさ! と思ってしまう。

    例えば第4章で、1990年代初頭のDECの戦略について述べている。
    「箱モノ」「チップ」「ソリューション」という三つの未来像に対して、困難な選択を避けていたという。たしかにそれはそのとおりだろう。
    だけれども、当時の彼らは、当時の彼らが持っていた材料から、どのように判断すればよかったのだ? 後付でもいいから、せめてそれを書くべきじゃないか?

    たぶんこの本は、歴史家の悩みに突入してしまっている。
    歴史的事象は、再現性があるのか? それとも一回性なのか?
    歴史学が常に直面するこの問題に対して、「エンジニア出身のストラテジスト」は、肝心な所でするっと逃げているように思う。

    こんなの決着の出る話ではないので、再現性がある! にせよ、1回性である! にせよ、断定的にご選択を下すほうが非誠実だろうとは思う。だから無理もないし、たぶんこの著書は、ストラテジストが読むべきもので、迷える子羊が読むものではないのだろう。
    分かるのだけどさ。
    分かるのだけどさ・・・・

  • 前半は戦略の立て方の一般論を示し、さまざまな分野で応用が可能な道筋を示す。翻って後半は事例の紹介に終始し、他分野においても学ぶべき教訓を導き出すことができない。まあ自分は企業経営に活かそうと思って本書を読んでいるわけではなく、そのようなスタンスで本書を読む読者は多いとは思えないので、自分の評価は一般的とはいえないだろう。企業経営という視点から読めば、後半の無軌道にも見える事例の羅列にも、意味を見出せるのだと思う。
    とはいえ、前半の戦略論一般の部分は素晴らしいし、後半にも他分野で使える考え方がないわけではない。例えば慣性とエントロピーの理論は、長く同じ状態でいるとなんとなく腐って行くという組織一般の構造を的確に指し示すものである。
    ビジネスマンは是非読んだらいいと思う。自分よりも豊かな水脈を発見するだろう。

  • 良い戦略の基本構造カーネルは、診断→方針→行動から成り立つ。一見当たり前のように思ったが、悪い戦略の事例をみるとカーネルをしっかり構築して進める事がとても難しいものなのだと痛感した。

  • 【未読】原価低減やサプライチェーンの施策を考える際に、この戦略であっているんだろうかと思うことは常にある。数年たったときに、あれは上手くいった、これは上手くいかなかったと思うことも常にあるけれど、長年やっていても法則性やセオリーに結びつかない。もし戦略の良い悪いを決めるような原則があるのならば読んでみたい。

  • 読了日:2017/12/25

    ・戦略は厳しい改革が必要な時に立てるものであり、業績が安定しているときは戦略を立てる必要がないというのはためになった
    ・良い戦略に則って行動できれば成功するわけではないといえるように感じた
    ・むしろ悪い戦略に陥っていないか診断するためには役立つと思う
    ・とても読みやすい

  • 戦略を行動に。
    事例が多いが、戦略視点で見るとビジネスより。
    目新しさがなかった。
    当時は少ない戦略論の話だったからかもしれない。

  • 戦略の立て方について解説している。
    現状分析が大切。相手の強みと弱みを見て、相手の弱みを自分の強みで攻める。
    戦略は何をしないかが大切。

  •  良い戦略の3要素:診断・基本方針・行動からはじまり、ケースも豊富。NVIDIAのケースは興味深い。良い戦略は策定された戦略の整合性や一環性だけでなく、その組織にとっての実行可能なものであるかが大事であるとのメッセージが伝わってきた。
     そう考えると、取り上げられている、悪い戦略の事例が極端すぎる。戦略の内容自体は良いが、結果に繋がらないという実務でありがちな悪い戦略にメスを入れてくれたら、完璧だと思った。

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