話す技術・聞く技術: ハーバードネゴシエーション・プロジェクト 交渉で最高の成果を引き出す「3つの会話

  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (429ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532318420

作品紹介・あらすじ

部下に解雇を通知する、悪い人事評価のフィードバックをする、見積書以上に費用が膨らむことをクライアントに説明する-日常生活にあふれるむずかしい会話や交渉を、上手に乗り切る会話術を伝授。

感想・レビュー・書評

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  • 人と話をする上で、「感情的」になるな、といろんな面で注意をしてきたが、この本ではむしろ「感情」を大切にしろ、と言っている。ただし、=感情的に話す、ではない。自分が口に出して言わずとも心の中で感じたり思ったりしている感情や、不満を、相手に伝えると、会話の流れが変わってくるのだと思った。「なおかつ」の思いを伝えることも。相手の話を好奇心を持って真摯に聞くことで、また流れも変わるのだと知った。「どちらが正しくて、どちらが間違っているのか」の会話に執着しがちだが、そんなことをしていても意味がないことも分かった。

  • 私と夫の食事の仕方に関するわだかまりを解くきっかけをもらった本


    私たち夫婦のお互いの理想の食事の仕方。
    夫はゲームをしてリラックスしながら食事がしたい。
    私は家族で笑ったり、今日どんなことを感じながら過ごしたか?を話したり、美味しいねと言いながら家族団欒の時間を過ごしたい。

    このわだかまりを解くにはお互いのルーツから知る必要があるらしい。
    私は幼い頃、母が作ってくれた食事を妹と二人で食べることが多かった。母は私たちと一緒に食事することは無かった。
    大人になり、食事を囲みみんなでワイワイ楽しく話しながら食べるホームパーティーに参加することがあった。
    その時間は私にとって幸せを感じる食事の時間だった。
    ヨーロッパではそのような食事スタイルがよく見られる光景だと知ったのも影響しているように感じる。

    一方、夫はどのような幼少期の食事の時間を過ごし、それがどのように今の食事スタイルと繋がっているのか?


    この本は、次のことを私に教えてくれた

    過去の経験が私たちの思考や言動をつくる。
    自分を正当化せず、自分のルーツを分析し私の感情はどこからきているのかを明確にし、相手のルーツにも好奇心を持って知っていく。
    結論を断定せず二人で探求していく姿勢で会話を進める。

    生活の重要な時間がお互いに心地いい時間になるように♡明日話してみよう。

  • 正直、読み通せなかった…。
    まとまりがなく、実用性も乏しく、読み始めてそれに気づいたので後は拾い読み。

    20年以上前に刊行され、10年くらい前に追補されたそうだが、例示やその取り扱いが古い。話し合うテーマが子どもへの体罰だったり(「子どもをぶつのは、とにかくぜったいに間違っている」こうした断言は、あなたの友人にとって非難がましく、あるいは無遠慮に聞こえるだろう。だそうだ)、相手の話をとても聞ける状況ではなくなるケースがルームメイトがバイセクシュアルであることを知ったことだったり(まあそういう人もいるでしょうけど…)。
    ここから学べるのは、恐らくこの本が当時も保守的で人権意識に欠けていたわけではなく、この10年くらいの間に、子どもの教育やマイノリティに関する意識が高まったのだろうということ。だから、この点だけをもって本作を低評価にはできない。

    だが一方で、普遍性のある著作なら、そうした古めかしさにもかかわらず読む価値が感じられるものだと思う。本作にはそれがあまりない。

    相手ばかりを責めてはいけない(が、その事例の一つがセクハラって…)、とか、人は世界を違った見方で見るし違った解釈をする、というのは尤もだけど目新しい意見ではないし、感情をめぐる会話をし始めたら(特に仕事の場で)話はかえってこじれる、という一般論の方が、本作の主張より有効だと思う。

  • 原本を知らないので何とも言えないのですが、翻訳がおかしなところが多々あるような気がします。
    やけにわかりにくい記述や間違っていると思われる箇所が散見されます。

    それはさておき、この本は、交渉だけでなく、会話全般に関して述べられた本だといえると思います。
    著者(たち)の主張としては、相手の結論を受け入れるだけでなく、その背景にある感情に共感することやロジックを理解することが大切で、かつ、それらを相手に伝えることが大切、ということですね。

    同時に、自分の結論やロジックは唯一のものではないことや、自分の感情も大切。
    そして何より、相手を理解しようとする粘り強さが大切。

    どこまで実践できるかはわかりませんが、せっかくこの本を読んだからには、少しでも実践できるよう、がんばります。

  • ☆2(付箋12枚/P429→割合2.80%)

    コミュニケーションの本は、カウンセリングの考え方が多かれ少なかれ含まれていてハッとする事が多い。話すときの自分の心のあり方、聞く時のあり方、それぞれに本当にありたいと思うような自然体でいるというのは難しいものなのだろう。最初のコミュニケーションは、無力な自分と強大な親との間で始まるものだから。

    ***以下抜き書き**
    ・わたしたちが変えられるのは、こうした問題にたいするみずからの反応の仕方である。人はふつう、こちらは知らなくとも相手が知っているかもしれない情報を探ろうとはせず、自分は状況を理解し説明するために必要なことをすべて知っていると思いこむ。自分の感情を前向きにコントロールしようとせず、それを隠そうとするか、あるいはあとで後悔するようなかたちでさらけだしてしまう。きわめて危い状態にさらされそうな自分(あるいは相手)のアイデンティティの問題を掘り下げようとせず、まるで自分自身とは無関係なことのように会話を進めていき、不安の源にあるものをけっしてつかもうとしない。

    ・むずかしい話し合いとはただ感情をともなうというばかりでなく、本質的に感情をめぐるものなのだ。感情はむずかしい会話につきもののわずらわしい副産物ではなく、対立関係の主要な一部である。感情について語ろうとせずにむずかしい会話に取り組むのは、音楽ぬきでオペラを上演するようなものだ。話の筋はわかっても、ポイントは逃してしまう。

    ・皮肉な、またいたって人間らしいことだが、相手が悪い意図をもっていると決めつけがちな傾向とはうらはらに、人は自分自身にたいしてはまったく違った扱いをする。たとえばあなたの夫がクリーニングの品をとってくるのを忘れれば、彼は無責任だということになる。あなたが航空券を予約するのを忘れれば、わたしは働き過ぎでストレスがかかっていたのよということになる。部局の同僚がおなじ職場の人たちの前であなたの仕事ぶりを批判すれば、その同僚はあなたに恥をかかせようとしたということになる。おなじ会議であなたがだれかに何事か提案すれば、わたしはよかれと思ってそうしたのにということになる。
    自分が行為を行う側にあるときを振り返ってみれば、人には総じてだれかを悩ませたり攻撃したり、冷たくあしらったりする意図などないことがわかる。自分自身の心配にかまけるあまり、別のだれかに衝撃をあたえているなどとは気づかないことも多い。ところが行為を受けとめる側になると、そのストーリーはたやすく悪い意図と悪い人格をめぐるものに落ち込んでいく。

    ・自分の意図をあきらかにすることだけに集中していると、結果として相手が言おうとしていることの重要な一部を聞き逃してしまうという問題が生じる。「なぜわたしを傷つけようとするのか?」と相手が言うとき、その人はほんとうは二つの別々のメッセージを伝えようとしているのだ。第一のメッセージは「あなたの意図がどういうものかはわかっている」、第二のメッセージは「わたしは傷ついた」である。非難される側に立ったとき、日とは第一のメッセージにばかり焦点を当て、第二のメッセージは無視する。なぜか?自分を守らなくてはならないと感じるからだ。

    ・“責め”は多くの困難な会話のなかで、きわだった論点となる。おもてに出てこようと出てこまいと、会話はだれが責められるべきかという疑問を中心に展開する。この関係のなかで悪い人間はだれか?ミスをしたのはだれか?謝るべきなのはだれか?腹を立てて当然なのはだれか?
    “責め”に焦点を当てることは、考え方としてはまずい。話しづらい問題だからではない。それが関係にひびを入れ、苦痛と不安をひきおこしかねないからでもない。論じ合うのがむずかしく、悪い副作用をおよぼしかねないけれど、それでもやはり伝えることが大事だという問題はいくらもある。
    “責め”に焦点を当てることがまずいのは、わたしたちが問題のほんとうの原因になっているものが何かを知り、それを修正するための行動を起こすときのさまたげになるからである。そしてまた、“責め”は往々にして的外れで、アンフェアなものだからだ。だれかに責めを追わせたいという衝動はまさしく、自分と相手とのあいだに争点をひきおこした誤解と、自分が責められることへの恐れにもとづいている。また、人はしばしば、自分の傷ついた感情を直接口にするかわりに相手を責めるが、これもよいことではない。

    ・ネルソン・マンデラは自伝『自由への長い道』のなかで、そうした例を紹介している。圧倒的な被害にあってきた人々でさえ、自分たちの加担を理解しようとすることができるのだ。それをある白人のアフリカーナ―から学んだときのことを、マンデラはこう書いている。
    ―アンドレ・ジェファー師はアフリカにあるオランダ改革派教会の司祭だった…彼は乾いたユーモアの持主で、よく好んでわたしたちをからかった。「いいかね」と彼は言ったものだ。「この国の白人は黒人よりもむずかしい役割を狙っているんだ。何か問題が起こるたびに、われわれ(白人)がその解決策を見つけなくてはならない。しかしきみたち黒人が問題を抱えるとき、おるでもきみたちには言い訳がある。ただこう言えばいいんだ、“インガビルング”と」…これはコーサ族の言葉で「白人のせいだ」という意味である。
    彼が言っていたのは、わたしたちはあらゆるトラブルの責めを白人に負わせることができる、ということだった。わたしたちがおのれ自身の内面を見つめ、みずからの行為に責任をもたねばならないというのが、彼のメッセージなのだ―この考えにわたしはもろ手をあげて賛同する。

    ・やがてこの現状についてトビーとエンアンが率直に語り合ったとき、ふたりは問題のありかを知った。自分たちの過去の経験から生まれた、コミュニケーションや関係をめぐるたがいに相容れない態度が原因だったのだ。トビーの母親には飲酒癖があり、それは彼の子供時代を通じてどんどん悪くなっていった。家族のなかでそのことを進んで話そうとするのは彼ひとりだった。彼の父親と姉妹たちは心理学でいう否定の状態におちいり、何もまずいことはないというようにふるまい、彼の母親の常軌を逸した行動を無視していた。そのうちよくなるだろうという希望に無意識のうちにしがみついていたのだが、そうはならなかった。おそらくその結果なのだろう、彼は問題があればすぐに話をもちだして取り組むことが、エンアンとの関係を健全に保つのに不可欠だという強い意識を抱いていた。
    エンアンの家庭はまるで違っていた。彼女の弟は精神に障害があり、一家の生活は彼の予定と要求を中心にまわっていた。エンアンは弟が大好きだったけれど、ときには彼をめぐる心配、危機、世話といったたえまのない感情の揺れ動きからの息抜きが必要だった。そのうちエンアンは、潜在的な問題にあまり急いで反応しないことを覚え、感情的に激しやすい家族のあいだに必要な距離をつくりだそうとした。ふたりの意見の不一致をめぐるトビーの反応は、注意深くはぐくまれたこの距離感を脅かすものなのだ。

    ・あなたのガールフレンドが、金曜日の夜の食事に行けなくなったと電話で伝えてくる。土曜日ならだいじょうぶなんだけど、と彼女は言う。友達が町に来ていて、金曜日に映画を見にいきたがっているの。あなたは、「いいとも、きみがそのほうがよければ」と答えるが、しかし土曜日はあなたのほうの都合が悪い。野球の試合を見にいく予定があったのだ。それでも、ガールフレンドに会えるほうがいいとあなたは思い、せっかくの野球のチケットをむだにする。
    こうした状況であなたは、別のだれかの感情を自分自身の感情よりも優先させている。そのことに意味はあるのだろうか?あなたのお父さんの不満や兄弟の心のやすらぎは、あなたの感情よりも大事なのか?友人と映画を見たいというガールフレンドの気持ちは、野球の試合を見たいというあなたの気持ちよりも大事なのか?向こうが自分の感情や好みを伝えているのに、なぜあなたは自分のそれをひとりで処理しようというのか?
    あなたが自分の感情を無視してまで人の感情を尊重する理由はいくつかある。あなたは、自分の幸せより人の幸せを優先するべきだという暗黙のルールに従っているのだ。あなたの友人や愛する人や同僚が思いどおりにことを運べなければ、彼らは機嫌が悪くなり、あなたはその結果に対処しなくてはならなくなる。たしかにそうかもしれないが、しかしそれはあなたにとってアンフェアである。彼らの怒りがあなたの怒りよりもよかったり悪かったりするわけではないのだ。「そうはいっても、波風を立てるのはらくなことじゃない」とあなたは思う。「向こうがわたしに腹を立てるのはいやだ」
    そう考えるとき、あなたは自分自身の感情や利益を過小評価している。友人や隣人、上司はそれを見てとり、あなたをくみしやすい相手と見はじめるだろう。あなた自身の感情よりも相手の感情ばかりを気にかけるのは、相手にこちらの感情を無視するよう教えているのとおなじだ。あなたがその論点をもちださない理由のひとつに、相手との関係を危険にさらしたくないということがある。しかし逆にその論点をもちださずにいることによって、あなたが感じる憤りはしだいに大きくなり、徐々に関係をむしばんでいくだろう。

    ・ブラッドと彼の母親は、ブラッドの職探しのことでしばしばもめていた。母親はしじゅう電話をかけてきては、履歴書を送れ、面接に行けと息子をせっついた。ブラッドのほうはあまり関心がなかった。そのつど母親を追いはらい、あるいは話題を変えようとしていた。
    あるときブラッドはその問題を友人に話した。するとその女性の友人は、いつまでもひきこもっていないで、自分がどう感じているかを母親に話すべきだとアドバイスした。「それでどうなるっていうんだい?」とブラッドはきいた。「ぼくが感じてるのは怒りだけだおふくろにはとにかく頭にくる」それでも友人はゆずらず、怒りのほかに何を感じているかを考えてみるように強く言った。ブラッドは友人の勤めを受け入れ、その夜、職探しについて、母親について、自分自身について感じていることのリストをつくった。
    彼は茫然とした。職探しについては絶望感にとらわれ、混乱と恐ろしさを感じていた。職探しを先延ばしにしているのは、不安をごまかそうとする彼なりのやり方だった。母親にたいしての感情はもっと複雑だった。いっぽうではたしかに、母親のたえまのない干渉をひどく迷惑に思っていた。他方では、それは愛情と気遣いの表れだとも感じていて、彼にとってはとてもありがたいことだった。
    自分自身については、おもに恥ずかしさを覚えた。きっと母親をがっかりさせているだろうと思い、少なくともいままでは、自分の能力と大学での教育をむだにしていると感じていた。だが恥ずかしさを覚えるいっぽうで、プライドも感じていた。彼の友人の何人かは管理者教育に職を得ていて、ブラッドもその進路を選択することはできた。しかしそれは彼の希望ではなかったので、もっと自分に合ったものを探すことに決め、そのためにかかってくる重圧は進んで受け入れていた。職探しのあいだは半端仕事で生計を立て、母親には一セントたりとねだったことはなかった。
    人は多くの状況で、ひとつの強い感情に圧倒されて、自分の感情の複雑さが見えなくなってしまう。そんなふうに見えなくなる感情には、不満や落胆、嫉妬、罪悪感もあれば、愛情や感謝の気持ちもある。そうした多様な感情の存在を知るだけでも、あなたにとっては目から鱗が落ちるような経験となるだろう。

    ・じっさいに満たされないのは、責めを負わせられないからではなく、感情を伝えられないからなのだ。責めを負わせたいという衝動は、感情をまったくぬきにした状態で加担のシステムを探るときに生じる。相手にたいしてもどうしても「認めろ!これはきみのせいなんだ!」と言わずにいられないのは、自分が伝えられない感情を抑えつけていることの証拠なのだ。加担をめぐる会話にときどきついてまわる物足りなさを、責めを負わせるための刺激ではなく、隠れた感情をもっと深く探るための刺激にしなくてはならない。いったんそうした感情を相手に伝えると(「わたしが加担したことはこうで、わたしの見るところあなたが加担したことはこうで、それからもっと重要なのは、わたしが最後に見捨てられたように感じたことだ」)、責めを負わせたいという衝動は弱くなる。

    ・アンドルーがダグおじさんの家を訪ねてきている。ダグが電話に出ていると、アンドルーがおじさんのズボンをひっぱってこう言う。「ねえダグおじさん、ぼく外に出たい」
    「いまはだめだよ、アンドルー、おじさんは電話中だから」ダグは言う。
    アンドルーはゆずらない。「でもダグおじさん、ぼく外に出たい!」
    「いまはだめなんだよ、アンドルー!」
    「だって外に出たいんだ!」
    おなじやりとりが何度かくりかえされたあと、ダグは別の方法を試してみる。「なあ、アンドルー、ほんとうに外に出たいんだね」
    「うん」アンドルーは言う。そしてそれ以上何も言わずに離れていくと、ひとりで遊びはじめる。つまりアンドルーは、おじさんがわかっていることをたしかめたかっただけなのだ。ただ自分の言っていることを聞いてくれているかどうかを知りたかったのである。

    ・人は困難な話し合いでしばしば、心からよかれと思いながら、感情を認めることなく一足飛びに問題の解決に向おうとするが、これは重大な手落ちである。「きみは働きすぎだよ」と夫があなたに言う。「このところちっともきみの顔を見られない」たしかにそのとおりだとあなたは気づき、そして言う。「そうね、来月は仕事の負担がずいぶん軽くなるの。だから毎晩六時までには家に帰るようにするわ」しかし夫は満足したようには見えず、あなたはもっと言うべきことがあっただろうかと首をかしげる。
    だがあなたの夫のぐちは、数学の問題ではない。あなたは問題を“解いた”と思うかもしれないが、夫からのおもてに現れない質問にはまだ手がつけられていない。彼は自分の感情を認めてもらいたいのだ。「この何か月か、あなたはおもしろくなかったのね」あるいは「あなたは見捨てられたように感じてるみたいね」のほうが適切な返答である。問題の解決は重要だが、それにはしばらく待たなくてはならない。

  • ◼︎第二版への序文
    会話=話す・聞く は、非常に難しい。
    この技術は、ビジネスでもプライベートでも、役に立つ。
    「人々が対立関係をより効率的に処理することを学べるか。互いに異なり対立する見方は、うまく効果的に扱いすれば、かつてない競争力を生み、急速な学習と革新の原動力となる」
    ◼︎はじめに
    (ネガティブな事、難しいことは)なぜ言いにくいのか?→話すか?避けるか?というジレンマに落ちるから→しかし、どんな、方法をとっても相手にダメージを与える→この本はそんな状況をより建設的な方向に向かう道を示す。そして、どんな会話でも以前ほど不安を感じることなく効果的に話せるようになる。自信が増し誠実さと自尊心をより強くもてるようになる。また、人との関係を強める。→これは、チャンスでもある!
    ◼︎第一部 「どうしてうまく伝わらないのか?」
    ▼第一章 三つの会話
    話し合いが難しくなる三つのパターン
    ①何があったかをめぐる会話
    誰が何を言い何をしたか?誰が正しく、誰が何を意図し誰が責められるべきか?
    (対処法)
    1.事実はこうだという思い込みから離れることで自分の正しさを証明する。自分と相手の両面からの認識・解釈・判断を理解し、会話の目的・本質に目を向ける。
    2.勝手に相手の意図を憶測しない。意図は複雑であり、思い込みに走るのは危険。
    3.責めても何も生まれないし、学ぶこともない。賢明な行動は、⑴自分にはなぜその問題を予想できなかったのか振り返る⑵それを繰り返さないためにはどうすればいいか考える
    ②感情をめぐる会話
    自分の感じ方は正当か?その感情を認めるべきか否定すべきか?率直に言うべきか言わざるべきか?相手の感情は?相手が怒ったり傷ついてないか?
    (対処法)感情を避けてはいけない。感情を理解し語りコントロールすることは難しい。簡単に処理する方法はない。←明確な答えは書かれていない…
    ③アイデンティティをめぐる会話
    会話の状況が何を示しているか?何を意味するか?自分の有能さか無能さか、自分が善か悪か、自分が愛されるか愛されないか?
    (対処法)この会話は三つの中で最も難しい。バランスや集中力、自信をうしなったり、逃げ出したくなる。そんなとには、この会話は難しいと知るだけで役立つ。←明確な答えは書かれていない…

    【学ぼうとする会話が重要】学ぼうとする会話とは、起こったことを相手の見方から理解し、自分の見方を説明し、互いの感情を分かち合い理解し、問題を先に進める方法を一緒に考えること。1/5

    ◼︎第二部「失敗も誤解も避けられる」
    ▼第二章
    意見の不一致を論争しても役に立たない。論争は、何も生み出さない。とりあえず、やるべきは相手の話を聞くこと。論争において、自分と相手のストーリーは衝突する。でも、それは仕方ない。各々のストーリーは、各々にとっては理にかなっている。このような場合、相手のストーリーをよく理解し相手の結論がそのストーリーの中で理にかなっていることを知る。そして自分のストーリーのなかで自分のストーリーが理にかなっていることも相手に理解させる。これは、解決に繋がらなくとも、良い一歩となる。
    そもそもなぜ、人によってストーリーが異なるのか?→同じものを見たり聞いたりしても、人によって得る情報やその解釈が異なるから
    ※人の解釈は、過去の経験に影響される。また、異なる暗黙のルールを適用する(ルールの衝突を避けるには相手にはっきりとルールを提示する)。

    自分のストーリーの正しさに対しては、ある程度の謙虚さが必要(自分は、自分の都合の良い解釈を当てはめ自分が正しいと思い込むため)

  • プライベートから仕事まで、すべての「会話」にフォーカスし分解し類別して、どうすれば「難しい会話」をこなすかの指針になる本。
    こじれやすい会話を「何があったかの会話」「感情の会話」「アイデンティティの会話」の3分類して、それぞれどのようにクリアしていけば良いかを実例とあわせて解説する。以下インサイト
    - 感情を否定しない
    - 会話の内容を事実・意図・影響に分ける
    - 相手の意図を勝手に決めつけず、事実と影響を語る
    - 常に学びのスタンス
    - 第三者の視点を持つ
    - 責めではなく加担

    仕事で人間関係にプレッシャーを感じている人、自分の意思をうまく伝えられず引っ込み思案な人、他人の言葉に傷つきやすいと自覚のある人が読んでこれらを心がけると、ラクになるのでは(経験談)。

  • 堅いタイトルから想像するよりは、ビジネス向けというものでは無く、
    生活のほぼすべての人間関係を円滑にし、
    ストレスを無くすための気持ちの持ち方として、
    たいへんためになる本。

    途中から間延びしている感じがしたが、
    それでも、最初の方読んだだけでも
    当たり前のことを書いているだけなんだけど、
    目から鱗の素晴らしい説得力があった。

  • 「ハーバード」の名が入っていることで、昨今の教養ブームに乗っかろうとしてるように見えるかもしれないが、内容は大変誠実なもので、実際に役立つし、万人におすすめできる。

  • 要点を3つの会話にまとめつつも、単なるノウハウ本には終わらない結構内容ぎっしりな本。
    やり方を紹介しつつも、「それでも解決しないときがある」と言い切ってくれるのはこのやり方とは別な可能性を示す、という意味でもいいと思う。

    ハーバードの人って雲の上の存在に見えるけど、普通の人と同じような会話の悩みも持つんだなぁとちょっと親近感もかんじてみたり。

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著者プロフィール

ダグラス・ストーン
 ハーバード・ロースクール講師。トライアド・コンサルティング・グループ創設者。シティグループ、ホンダ、ジョンソン・エンド・ジョンソン、シェル、ターナー・ブロードキャスティング・システムといった企業をはじめ、ジャーナリスト、教育者、医師、外交官、政治家のコンサルティングも行う。クライアントはアメリカだけにとどまらず、南アフリカ共和国、カシミール、中東にも及び、世界保健機関や国際連合エイズ計画にも協力した。ホワイトハウスで上級政治任用官の研修を行った経験もあり、サンパウロで開催された世界交渉会議では基調講演を行った。寄稿したメディアは「ニューヨーク・タイムズ」紙、「リアル・シンプル」誌、「ハーバード・ビジネス・レビュー」誌など多岐にわたり、さまざまなテレビ番組やラジオ番組に出演している。ハーバード・ロースクールを卒業し、卒業後はハーバード・ネゴシエーション・プロジェクトの副ディレクターを務めた。

「2016年 『ハーバード あなたを成長させるフィードバックの授業』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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