稼ぐ力を取り戻せ!―日本のモノづくり復活の処方箋

著者 :
  • 日本経済新聞出版
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本棚登録 : 202
レビュー : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532318895

作品紹介・あらすじ

技術や品質で圧倒的な強みを持ちながら、「モノづくり」という言葉に逃げ込み、苦戦する日本の製造業。「いいモノをつくれば売れる時代」が終わった今、目指すべき戦略とは何か?どうすれば稼ぐ力を取り戻せるのか?企業再生のスペシャリストが、日本企業が陥った5つの罠を暴き、稼ぐ企業へと変貌させる"復活と再成長のシナリオ"を提言する。

感想・レビュー・書評

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  • ダークサイドスキル(木村尚敬氏)を読んだ際に登場していた著書で読んでみた。7年前に書かれた本だが古さを感じさせない。寧ろその「古さを感じない」こと自体に危機感を持つべきかもしれない。それだけ日本企業の大半がこの7年でなんら変わっていない、変革を起こすことができていない、イノベーションを起こせていない、グローバル化も出来てないということかと。

    30歳から経営者としての意識を…のような主旨の文言には背中を押された。

    今年読んだ「両利きの組織をつくる」にも登場するウリケシェーデ氏が本書にも登場したのには驚いた。我々のような若手、中堅世代も読むべきだが、経営者にも危機感を持って頂くために是非読んでいて欲しいな…と思った。日産が好例として取り上げられていることには、どうしても違和感があるが…苦笑。

  • 2019年8月読了。
    関心したり会社で使えそうなワードがあるとページの端を折りながら読んでいるのですが、折ったページが多すぎる。文字化して残しておきたい雑感等を少々。

    36ページ
    LIB、DVDプレイヤー、DRAMメモリ、カーナビ、液晶パネルの世界市場の伸びと日本企業のシェアダウンのグラフ。圧倒的に存在感を消している日本企業。

    47ページ
    目先の効率性優先なら同質的な仲間同士の組織で、でもM&Aをやって大規模に組織を変容するならそうはいかず異質なものをどんどん取り込んで新たな価値を生み出さないとね、という話の後に次の文章。「少なくとも取締役会が日本人の男性ばかり、それも似たような学歴で同じような年代ばかりという状態からさっさと脱却しない限り、日本メーカーに明日は来ない。」
    →同質性の高い組織はどうも息苦しい。異分子が混ざり合っている方がよほど健全のように見える。

    51ページ
    「今、日本企業に求められているのは、経営やオペレーションをフルに海外の状況に合わせて発展できるか、という問い」

    55ページ
    アジアの成長を取り込んだ日本企業が生き残るという趣旨なんだけど、生き残る残らないを別にしてもアジア圏が成長していくことそれ自体がとても面白いし、自分も、是非その渦中にありたいと思う。

    72ページ
    「産業機械の分野では、日本企業の優位性はまだ崩れていない」、曰く現場に行って設備を立ち上げる時のスピードや据え付けの手際の良さが買われているとのこと。自社の何をお客さんが買ってくれているのか(製品そのものなのか、立ち上げの見事さなのか、アフターサービスの充実なのか)、考えているようで意外に考えていない。

    111ページ
    限界利益、管理可能利益、貢献利益、営業利益の図。何かに使えそう。

    151ページ
    コマツが如何に標準化を徹底したのかという話の紹介の中で、「会計でもERPのパッケージをそのまま使った。システムをオーダーメイドにすると、標準化できないからだ。」とある。システムとかはとかく現状に合わせてカスタムするのが正で、可能な限り使用開始前に色々な要素を盛り込むのが良いと考えていたが、そうではない。

    164ページ
    マーケティング⇔研究開発⇔製造部門、それぞれの橋渡しをする「⇔」の人が重要。この本では「翻訳者」と紹介されている。それぞれの部門の利益を主張しながら、別の工程との共存を図れる人、そういう役割を担える人が生き残る。

    181ページ
    「すり合わせ力」が日本企業の強みの源泉。

    236ページ
    会社トップの選び方:「内部昇格トップを選ぶなら、保守本流は避けたほうがいい。保守本流の人は、今のやり方に完璧にコミットしているので…」
    →保守本流が組織を率いてダメにした例は枚挙に暇がない。

  • 最近の「ものづくり」に対するノスタルジックな論調とは一線を隔てる冨山流の「ものづくり」再生論。トップダウンによる強力なリーダーシップが必要な市場を捨て、日本の得意なすりあわせ型のボトムアップが有効に作用する市場で勝負しようというのが本書の趣旨。その通りだと思う。家電各社がほぼ死体にもかかわらず、真っ当な構造改革ができず、マイクロマネージメント化をひたすら突き詰める状態は、まさにトップダウンができない証拠。さっさとこのような市場は明け渡して、すり合わせで勝負するのが日本のものづくりの生きる道だと思う。と書いて、ハタと気づいた。このような転換をするには、トップの強いリーダーシップが必要だ。

  • 日本の製造業を議論するために必読書と思う。色々な論点を整理する上でも良い。冨山さんの最近の著作の中でもっともお勧めかも。

  • さすが、冨山和彦という本。
    日本のメーカーに勤める人には一読をお勧めする。特に印象に残ったのは、以下の点

    ■モノを売る会社からサービスを売る会社へ

    ■見える化+標準化+つなぐ化 で変化に強くコストダウンの効き易い製品、マーケットの声を汲んだ製品にする

    ■再成長のモデル

    ■グローバル時代の会社の形

    付加価値づくりの為のモノづくりへの提言の書。

  • 形式的であったり、理論の押し付けだったりといった面はほとんどなく、ビジネスにおいて身近に生じている事案をズバズバ指摘されており、う〜ん、参りました。。。という感じだ。
    本当に参考になったし、わかってますよということもあったが、全体像として頭の整理もできた。

    あくまで個人的な要約となるが、大きく、「極める」と「グローバル化」の2点か。

    「極める」では、
    ・特にすり合わせ領域における徹底した標準化が一歩一歩着実に実行できるか否か
    ・単純な高品質ではなく、汎用品活用をベースとし、これら組み合わせたコンポーネントですり合わせ

    「グローバル化」では、
    ・現地に権限委譲、顧客と適切な距離を維持し、マーケットからの逆算でモノづくりを行うこと
    ・どのような使われ方をしているかといった情報を収集し、需要や製品の改良につなげる
    ・対顧客、対流通、対工事業者にとって気の利いた商品が提供できているか=競争上の大きな障壁となる

  • 企業再生で幾つもの成果を上げてきた経営共創基盤CEOの冨山氏には共感する部分も多く、以前より著書を読んだり講演を聞きに行ったりしてきた。
    本著は「日本のモノづくり復活の処方箋」との副題で著した日本製造業への提言の書である。

    述べてる内容は極めてオーソドックスで、第一章の「陥りがちな五つの罠」では様々なところで散々言われてきた内容を取り上げている。
    ・すり合わせの呪縛
    ・ボトムアップ型の決められない経営
    ・現状延長のモノづくり
    ・本国中心の大本営型オペレーション
    ・部門内タコツボ化
    耳が痛くなるほど聞かされてきた内容であり、日常の仕事の上でも悩まされる問題でもあり、新しい気付きは特になく納得する内容。

    サービス型モデルのビジネスにおける情報の非対称性の重要さに触れている部分は、ハッとさせられた。
    確かにその通りだと思う。
    いわゆる箱モノ製造業では、作るものがマネられてしまえばコスト競争に陥るしか無いが、アフターやモノの使い方のコンサルから価値を引き出そうとすれば、他にはマネの出来ない内容を提供できる。
    それこそが情報の非対称性、そのビジネスを提供している企業固有の経験からくるものとして成り立たせやすいはず。
    この観点はもっと意識していって良いはずだ。

    処方箋を提案している三つの章では、①見える化、②標準化、③つなぐ化の重要性を取り上げている。
    言っていることはよく理解できる。
    その通りだと思うのだが、実際に実行しようと思うとこれが本当に難しいというのが、自身の経験に照らしあわせても実感として理解できる。

    見える化:
    企業の利益、コストを「組織」「事業・製品」「顧客」「エリア」「時間」別に集計して、業績を分析できるようにすること。

    標準化:
    管理部門、設計プロセス、部品の標準化を進めて、部門の壁を乗り越えること。
    さらには企業をも越えた標準化を進めることで、下請けまで含めたバリューチェーンの最適化につなげることが出来る。

    つなぐ化:
    製品を企画から売出まで持っていくためのプロセスをつなぐためのプロデューサー的な役割を、個人あるいはチームに持たせること。
    如何にシーズとニーズをつなげるのかが肝要。

    そして最後に日本企業がモノづくりを復活させて再成長させるモデルとしての提案が以下。
    ①集団的な経験蓄積力で戦え
    日本の強みでもある摺り合わせ、即ち蓄積経験力の生きる「熱」と「エネルギー」の分野のモノづくりを活かせ
    ②「和魂洋才」でダントツ領域に集中せよ
    ③Small But Global NO.1を目指せ
    ④中小企業よ、「超」下請けを目指せ
    日本の強みでもある下請け企業が、その強さを活かして一企業ではなく幅広い企業の下請けとなること
    ⑤顧客密着力とクイック・レスポンスで戦え
    ⑥日本型モノづくりベンチャーを創出せよ

    どれも現実を的確に踏まえた提言であり、納得感が高い。

    斬新な分析や提言を唱えているわけでもなく、読んでいて高揚感が湧き上がる内容ではないのだが、現場の経験や事実に則った話であるために耳が痛かったり納得して共感できる部分が多い。
    実際に再生する企業の現場にどっぷりと入り込んで、立て直しに奔走してきた冨山氏ならではの日本再生論である。
    本書の主張をどれだけ遂行できるのか、が日本製造業の復活の道であることは間違いない。

  • 日本の製造業は、厳しい状況に置かれている。
    その原因と状況を打破する切り口を論じた一冊。

    日本製造業が厳しい状況に置かれている課題として
    以下の5つを挙げている。
     1 すり合わせの呪縛
     2 ボトムアップ型の決められない経営
     3 現状延長のモノづくり
     4 本国中心の大本営型オペレーション
     5 部門内タコツボ化

    又、課題を克服する処方箋として次の3点を解説。
    『見える化』、『標準化』、『つなぐ化』

    また日本製造業の根源的な強み弱みを挙げ、
    グローバルに何処で、また事業バリューチェーンの
    何処で稼ぐべきか、『集団知』、『経験値』、『すり合わせ』
    が生かせる分野で戦うなどの提案をしている。

    私が携わっている事業に直結し、大変参考になる内容
    であった。

  • 日本の製造業の抱える問題点とその打開策を論じている。
    複数の著者による合作であるためか、部分的に論調が異なっているところもあるが、全体的には日本の製造業の現状打開策について、多くの示唆を得ることができる。
    第一章では、日本の製造業の問題点を指摘している。ここでは「すり合わせへの過剰依存」「トップの意思決定能力の低下」「不連続なイノベーションへの対応力不足」「日本国内市場目線からの海外市場展開」「部門のタコツボ化」を指摘している。企業の中にいれば、多かれ少なかれ意識させられる問題である。
    第二章は、グローバルで戦うためのビジネスモデルについて、現状の問題点を示している。何故かこの章は前後の章との関連が薄い。
    第三章から第五章で、現状打開の処方箋として「見える化」「標準化」「つなぐ化」を挙げている。「見える化」では管理会計を活用することで、経営を見える化することを提案している。「標準化」では部品の標準化に加えて、業務プロセス、管理の標準化を勧めている。「つなぐ化」については主に問題の指摘に留まっていて、「処方箋」までは達していないように見える。この部分は、現在の経営手法として、ある意味「あたりまえ」のことをきちんとやりきることで、経営が改善されることを示していると言える(現状あたりまえのことが出来ていないと指摘している)。
    第六章では、モノづくりの成功モデルを示しているが、第一章では否定的に論じていた「すり合わせ」の力を活かして、グローバル市場で成功するモデルを提案している。
    第七章では、ここまでの提案を実行するための企業あるいは経営のあるべき形を示唆している。

  • 冨山氏からは会うたびに本をもらっていて、最近の本は全部読んでます。それにしてもまあ良くこれだけ量産できるものだと感心してます。昔の竹村健一氏みたいですね。
    冨山氏の話しはしょっ中直接聞いているので、大体理解の範囲内でしたが、この本の中では、日本企業のガバナンスに関する以下の記述が大変印象的でした。「日本におけるガバナンス論では、トップの暴走にどうブレーキをかけるかという米国流の議論をしていても、じつは、ほとんど意味がない。 暴走するほど権力が集中していないからだ。むしろ、日本企業の場合は、どうすればトップの権力を強くできるかという観点から、ガバナンスの議論をしなければ生産的とは言えない。外部取締役も結構だが、それはトップの権力を牽制するためというよりも、むしろ改革を進めるよう、合理的な意思決定を迅速果敢にやろうとしたときに、ムラ型共同体の中では孤立しがちなトップの応援団となることの方が重要だ。」・・・全く仰る通りだと思います。

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著者プロフィール

冨山 和彦(トヤマ カズヒコ)
株式会社経営共創基盤 代表取締役CEO
1960年東京都生まれ。東京大学法学部卒業、スタンフォード大学経営学修士(MBA)、司法試験合格。ボストン コンサルティング グループ、コーポレイト ディレクション代表取締役を経て、2003年に産業再生機構設立時に参画し、COOに就任。2007 年の解散後、IGPIを設立。パナソニック社外取締役、東京電力ホールディングス社外取締役、経済同友会副代表幹事。財務省財政制度等審議会委員、内閣府税制調査会特別委員、内閣官房まち・ひと・しごと創生会議有識者、内閣府総合科学技術・イノベーション会議基本計画専門調査会委員、金融庁スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議委員、経済産業省産業構造審議会新産業構造部会委員などを務める。主な著書に『会社は頭から腐る』(ダイヤモンド社)、『AI経営で会社は甦る』(文藝春秋)、『なぜローカル経済から日本は甦るのか』(PHP新書)などがある。


「2019年 『両利きの経営』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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