不格好経営: チームDeNAの挑戦
- 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版 (2013年6月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532318956
感想・レビュー・書評
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人に薦められて読んだ。南場さんをはじめとするDeNAの方々はやっぱり賢いのだと思うけど、それだけでやっていけるほど経営は甘くないのだなぁと思う。行動を起こすタイミングが大切なこと、その好機を逃さないための敏捷さ、行動力に驚き。経営にもテクニックなどがあるのだとは思うけど、結局核になっているのは会社を成長させようという情熱や熱意、人との信頼関係などという汗臭いものなのだと感じた。また、経営術だけでなく、どういう人間が会社に求められているのかを知れたのも、この本の良いところ。
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DeNAがどう成長していったかがよくわかった。こういったベンチャー企業を上場企業に成長させた経営者の本を多く読むと共通している内容を見出せるのも興味深かった。経営のエッセンスが所々にあるので、その手のことで悩んだら読み返してみようと思う。
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☆3(付箋11枚/P264→割合4.17%)
面白かった。DeNAのことはそれ程多く書かれていなくて、本当に“チームDeNA”を書いている印象。
成功の方法は同じようにやってもうまくいくとは限らないから、失敗したことをきちんとたっぷり書いたそう。
元、マッキンゼーのコンサルなのでとっても厳しいお父さんの次に怖いと思ったのが、大前研一さんだそうです(^^
ただ、起業したい人がコンサルやるのは、タイガー・ウッズになりたい人がレッスンプロを目指すくらいトンチンカンだそうで、うん、そうかも知れない。
南場さんの人格というか、成長も素敵。
旦那さんが癌になって、生まれて初めて家族モードに切り替わって。
“病はこれまで経験したことのない苦しみや悲しみを突きつけた。
けれども、いくつかの大事な拾い物をした気がする。
私は人に喜びを伝えるのは下手なほうではないが、「今年も家族で桜が見られてよかった」という喜びは、なかなか伝えるのが難しい。
同じ桜なのに、こんな気持ちで見ることができ、また、だからこそ開花が待ち遠しくわくわくできることは、私の人生に新しい彩りを添えた。蝉の声もそう。満月も。自然には、人間や企業のすったもんだに惑わされず、きっちり刻むリズムがある。”
文章も読みやすくて、お勧めです(^^
***抜き書きは以下**
・信國さん(当時リクルートのウェブサービスリーダー)はじっくり時間をかけて吟味した後、3つの指摘をした。
1、インターネットサービスをつくったことがないのに、よくここまでできたね、の褒め言葉。まあこれは次の2点が耳に入りやすくするための枕詞のようなもの。
2、ユーザーの理解度を高く評価しすぎている。つまり複雑すぎる。
3、ユーザーから見た場面のみを考えられていて、バックエンドがない。オークションに不適切なものが出品されたらどうやって削除するのか、クレームメールが来たときにどうやって対応するのか、そういった裏側の設計が表側と同等に重要だが、そこの設計が抜け落ちている。
・パニック状態、というのは人生2回目だった。
マッキンゼーの1年目。朝9時からクライアントの社長へのプレゼンだというのに、9時半に秘書の電話で飛び起きたことがある。資料は朝4時までかかってひとりで製本したため、全部私が持っていた。一刻でも早く資料だけでも届けるべきところ、パニックした私はあろうことか母に電話し、「第四銀行、第四銀行、新潟に帰って第四銀行に転職するってお父さんに言ってください」と(特に第四銀行さんにとって)意味不明なことを繰り返し、あっ、と我に返ってマンションを飛び出した。
このときの経験で、パニックは人間の能力を極端に下げることを身をもって知ったが、今回のパニックはそれをはるかに超えていた。
・わが社は声の大きいユーザーに左右されないように、サービス改良の指針としてリピート率や離脱率などの数字を最も重視することを徹底しているが、インターネットサービスの黎明期、ノウハウが確立していないこの時代に、ユーザーと徹底的に対話することでサービス業の本質を手探りでつかんでいったことは、その後のDeNAの姿勢の基礎となった気がする。
・社長という立場は一瞬にしてものをつくり出すことはできないが、一瞬にして破壊することはできるので、気をつけなければならない。管理部門を中心に1年がかりで積み上げた地道な作業を私が台無しにしてしまわないように気を引き締めた。
・当社が身を置く業界はとても競争が激しいために、マスコミからもよく競合に対する意識を尋ねられる。けれども、真の競合は「ユーザーの嗜好のうつろいのスピード」だと私は認識している。それより半歩先に適切に動かなければならないのだ。このときは遅れ、そして方向を誤った。
現状のアバターが飽きられたなら、新しいアバターを導入しよう。2次元が飽きられたなら3次元だ。動かないアバターの次は動くアバターだ、と新しいアバターの開発を急いだのだ。
成功のモデルは壊される前に壊さなければならない。しかし企業は往々にして成功の復讐にある。我々は、アバターという勝ちパターンにこだわり、新しいトレンドを見失っていた。
・病はこれまで経験したことのない苦しみや悲しみを突きつけた。けれども、いくつかの大事な拾い物をした気がする。私は人に喜びを伝えるのは下手なほうではないが、「今年も家族で桜が見られてよかった」という喜びは、なかなか伝えるのが難しい。同じ桜なのに、こんな気持ちで見ることができ、また、だからこそ開花が待ち遠しくわくわくできることは、私の人生に新しい彩りを添えた。蝉の声もそう。満月も。自然には、人間や企業のすったもんだに惑わされず、きっちり刻むリズムがある。
・こう言うと、経営コンサルタントという職業を評価していないと受け取られることがあるが、そうではない。経営コンサルタントは経営者に助言するプロフェッショナルであり、高度な研鑽が必要な、とても奥深い職業だ。コンサルタントになるなら、その道の一流のプロとなるよう、努力し、とことん極めてほしい。また、コンサルティングを「虚業」と言う人がいるが、価値を認め対価を払って利用する企業が存在する以上、実需を伴う実業である。私が言っているのは、事業リーダーになりたいからまずコンサルタントになって勉強する、というのがトンチンカンだということにすぎない。ゴルフでタイガー・ウッズのようなトーナメントプロになりたいから、まずはレッスンプロになろう、というのと同じくらいトンチンカンだ。
・よく学生から、優秀な人の特徴や、性格上の共通点は何かと問われる。そんなことを訊いてどうするのだろうかとも思うが、実際、この質問は考え出すと面白い。
最初は個性がバラバラなので、共通点は考えられないなどと答えていた。実際ひとつのパターンは見出しにくい。ただ、自分が接したすごい人たちを思い浮かべると、なんとなく「素直だけど頑固」「頑固だけど素直」ということは共通しているように感じる。
たとえば新規事業が行き詰まっているとき、誰々に会って話を聞いたらどうか、××という他国のサービスを使い込んでみたらどうか、などというアクションに関するアドバイスをすると、必ず素直に、徹底的にやる。ところが、ターゲットユーザー層をずらしたほうがよいのではとか、機能を思い切って半分に減らしてみたらなど、結論に関するアドバイスをしても心底納得するのに時間がかかる。
・南場さんについていきます、と言われたら、全力で断る。
…DeNAでは、「誰が言ったかではなく何を言ったか」という表現を用いて、「人」ではなく「コト」に意識を集中するように声を掛け合っている。
・たくさんの失敗をしながらも、何度も挑戦の機会を与えてくださったことに何よりも感謝しています。「与えてくださった」という言葉を使いましたが、「失敗してへこんでいるときに、鉄球のような次の“挑戦の機会”を平気で投げつけてくる」という表現の方が正しそうです。優しいのか厳しいのかわからない、DeNAのそんなところが大好きでした。これからは、自分自身で挑戦の機会を探しに行かねばなりません。
先日、大学時代の知人たちに「退職して文筆業に専念する」と伝えると、皆から「お前、大丈夫か?」と言われましたが、笑って聞き流しました。7年前、DeNAに就職することが決まったことを告げた時も、彼らは同じように言っていました。「お前、大丈夫か?」「将来をちゃんと考えているか?」と。
“選択”に正しいも誤りもなく、選択が正しかったものにする行動があるかどうかだけだと信じています。この考え方は、DeNAで学んだ多くのことのうちのひとつです。
・「…46億年の地球の歴史のなかでDeNAの歴史はまだたったの数年だ。
これからこの会社がどんなに長生きしようとも、
地球や宇宙の時間のなかではほんの瞬間の存在になる。
けれどもなにか宇宙に引っ掻きキズみたいな証を残したい。
私たちの大きな夢とてんでバラバラの個性で、
DeNAが生まれる前とその後では、きっと違う時代になる。」
私たちは夢に近づけただろうか。これからもっと近づけるだろうか。 -
時代の寵児、DeNAの社長が急成長企業の歴史と秘密を語る本。マッキンゼー出身の敏腕コンサルトだった人でも実際社長をするとこんなにも失敗続きなのかと思うほどの失敗談を書いているので、参考にもなるし勇気も出る。ソーシャルゲームという俄かに胡散臭い企業がどのように、なぜ、どう発展したのかを知るいい教科書になる。
【以下メモ】
最初に一言褒める。そうすることで相手は自分の発言を聞きやすくなる。
調整ではなく決めるのがトップの仕事。
困難に比例して成功の喜びはある。困難からの立ち上がりを見せることが喜び。
DeNAで理想とされる人物
→誰よりも働く、人を責めない、人格を認める、スター社員に嬉々とする、トラブルにも嬉々とする。そして、俺は聞いていない、バイパスするな、などと言う言葉も概念も一切ない。とにかく一歩でも、ちょっとでも前に進むことしか考えていない。
成功のモデルは壊される前に壊さなければならない。しかし、企業は往々にして成功の復習にあう。
『私生活の貧乏は貴重な体験としてプラス思考で真摯に処されたし。間違ってもお金のことで公私混同しない事。生き甲斐は処した困難の大きさに比例する。』
◎、◯、△などの評価付けの様な、意思決定のプロセスを論理的に行うことは悪いことではない。でもそのプロセスを皆とシェアして、決定の迷いを見せることがチームの突破力を弱めることがある。決定したプランを実行チーム全員に話すときは、これしかないという信念を前面に出したほうがいい
事業リーダーにとって、「正しい選択肢を選ぶ」ことは重要だが、それと同等以上に「選んだ選択肢を正しくする」ということが重要となる。リーダーに求められるのは決めるときも、実行するときも胆力。 -
読むのは、二度目だと思うけど、改めて、De NA面白いなあ、南場さん面白いなあと実感しました。
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DeNA創業者の南場智子さんの本。上手くいったことがないと言われるように多くの失敗を繰り返しながら変化の激しいIT業界で生き残り成長させたのは、反省と人を信じること、やりとげない想いがあったからかなと感じた。人を動かす想いは何よりも得難いものですごく大切なものと感じさせてくれた。そういう想いを見つける為、これからも色々と学んでいこうと思った。
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DeNA創業者の南場さんの自伝(?)。
紆余曲折あっての今のDeNAなのだと学んだ。
一方で、今までに経営者の体験を綴った書籍を読むことが少なく、味わい方を確立できていないがゆえに、さらっと流し読みしてしまった感覚もある。
ただ楽しむのか、何か学びを得るのか、今後はもう少し目的を持ってから読み進めたい。 -
今になって読むと時代が違うようにも感じたが、
何かを生み出すということはこういうことなのだ、今の自分の環境は恵まれているのだ、と感じた。
・人の成長によって、組織の成長はもたらされる
・オーナーシップを持たせ任せることで、成長、成果につながる -
単純に文章が面白い。
これまでの波乱万丈な会社経営が手に取るようにわかりやすく読み込めた。
でもこれのどこが不格好なのか共感できなかった。
優秀な経営者がうまく荒波を乗り越えて世渡りしてきただけに感じた。 -
・選択に正しいも誤りもなく、選択を正しかったものにする行動があるかどうかだけだ。