全員経営 ―自律分散イノベーション企業 成功の本質

  • 日本経済新聞出版社
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レビュー : 28
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532319847

作品紹介・あらすじ

JAL、ヤマト運輸、セブン&アイ、良品計画-V字回復・高収益企業の共通点は、社員1人ひとりの自律的思考にあった-。「ハイパフォーマンスを生む現場」を物語る。

感想・レビュー・書評

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  • 全員経営=当事者意識、自分は何のために仕事をするのか、実践知
    経営者の立場になる、顧客の立場になる

    日本企業がもう一度、強い競争力を発揮するために、いま、私たちが取り戻すべきは、すぐれた実践的知恵、すなわち実践知を社員一人ひとりに組み込む全員経営のあり方にほかなりません。そして、そらは日本企業が本来持つDNAであることを再確認すべきです。

    凡事の非凡化

    イノベーションは「さあ、これからやろう」と思い立って起こせるものではありません。日々の仕事という凡事の連続が蓄積していくなかで、あるとき、非連続が生まれ、凡事が非凡化する。それがイノベーションにほかなりません。

  • 22 社内SNS
    34 ミドルアップダウン
    73 10の知識を1にする
    73 見えてくるまで考え抜く
    166 率先して逃げることが皆の命を救う
    189 サムシングニュー テラモーターズ
    190 NATOな日本人=NotAction,Talk Only
    255 利益は経営のウンチ 伊那食品

  • ようやく読了。
    一言で表現したら日本的経営2.0かな?組織運営とか、経営ってやっぱりおもしろいなぁ。そして、まだまだと痛感。

  • ミドルアップダウンマネジメントで高名な野中郁次郎先生共著ということで期待して読んだ。
    解釈編より物語編の方が断然面白い。

  • 「失敗の本質」で有名な野中郁次郎の最新著書ということで、読んでみました。
    (すでに今年になって2冊出版されているようですが)

    まえがきから、この著書に込められた野中氏の問題意識がわかります。
    ”日本は(中略)あらゆるレベルで、世界に向けて柔軟に構想し、迅速に判断し、俊敏に行動していく組織能力が弱体化の傾向を見せていました。
    また、欧米流の分析的な経営手法に過剰適応するあまり、分析過多、計画過多、コンプライアンス過多に陥るという現象が日本企業から活力を奪い、組織能力の弱体化に拍車をかけていました。”
    このような問題意識のもと、彼が着目したのは近年成功した、もしくは復活を遂げたいくつかの日本企業、および組織の特徴から導き出した、
    ”一人一人が当事者意識を高め、実践的な知恵、すなわち、「実践知」を縦横無尽に発揮”する、『全員経営』という概念です。
    その代表的な企業・組織として紹介されるのは下記8つ。非常に多くの具体事例を列挙しながら、全員経営とは何か?そのための組織のあり方、仕事のやり方などについて、示唆を与えます。

    ・JAL
    ・ヤマト運輸
    ・セブン&ホールディングス
    ・小惑星探査機・はやぶさプロジェクト
    ・釜石の津波防災教育
    ・テラモーターズ
    ・良品計画
    ・ダイハツ ミライース
    (そのほか分量は少ないですが、最後の章で伊那食品工業、メガネ21、未来工業、三鷹光器、植松電機の5社についてもケーススタディがあります)

    確かに、上記のいずれも企業も、社員一人ひとりが会社のためを考え、自律的に行動したことによって顧客満足や業績を伸ばしたように読み取れます。
    これらの事象をベースに、著者によって概念化されたいくつかの視点が面白かったです。

    1. 「ミドルアップダウン」

    ビジョンや方向性を示すトップ、そして第一線の現場で実践するフロントに加え、これらの両者をつなぐミドルリーダーやミドルマネージャーが重要。ミドルがビジョン(トップ)と現実世界(フロント)の矛盾を統合していくことで新しいビジネスモデルが生み出される。

    → 現場感覚だけでは大局を見失うし、トップマネジメントだけでは抽象的すぎる故に、両者を仲介することができる能力を持ったミドルの存在の有無がキーということでしょう。

    2. 「SECIモデルのサイクル」
    
全員経営が実践されている企業では、(野中氏の提唱する)SECIモデルのサイクルが回っている。すなわち、暗黙知が形式知される組織となっており、知識創造がマネジメントされている

    → あらゆる階層が普段から情報や経験を伝え・蓄える仕組みづくりが行われているような、質の高いコミュニケーションができているかどうかがキーだと思います。しかしながら、あらゆる階層で忌憚のない意見を言い合えるというのは、相当難しいことだとは思います・・・。

    3. 「自己組織化するチーム」
    
組織やチーム内の管理−被管理の関係を超え、自分の役割と価値を理解し、自らを動機づけながら新たな知を生み出していく。自己組織化したチームは、主体的なコミットメントがメンバー各自の高質な経験に基づく深い暗黙知を触発する。
なお、自己組織化のためには、目標設定とストーリー作りが重要とのこと。目標設定はメンバーの誰もが「面白い」と共振、共感、共鳴するようなものであること。ストーリーは、色々な目標が有機的につながっており全体像が浮かぶ状態。各メンバーが、自分の立ち位置をストーリーに照らし合わせ、全体像の中でどのような意味、どのような価値を持つべきかを自覚できるようになる。

    → 良い目標が人を動かす、ということでしょうが、どんな目標が響くのか、というのはまさに十人十色。そこに関しては、後述する「コモンセンスの共有」ができているかどうかがキーなのだと思います。

    4. 「サイエンスよりアート」
    
知識創造には、サイエンス、すなわち客観性やデータによる形式知だけではなく、アート、すなわち経験則や主観的な暗黙知の両面が重要。
釜石の防災教育の事例では、ハザードマップを用いた避難のルール化ではなく、「想定は信じるな」「その状況下において最善を尽くせ」、そして「率先避難者たれ」という3つの原則が教え込まれたとのこと。特に3つ目の「率先避難者たれ」は、見方によっては他人を差し置いて自分だけが助かろうとする反倫理的な原則であるが、その本質は「自分が勇気を持って逃げれば、周囲も同調する。だから自分の命を守るということは、みんなの命を守るということ」。

    → ルールや知識だけではなく、「生き方」というアートの教育を行うことで、不確実性の高いカオスな状況において状況判断する力が身につくらしい。

    そして、全員経営実現の上で私が最も重要だと感じたメッセージは、その企業や組織が「何を大切にしているのか」という『コモンセンスの共有』です。社員一人ひとりが自由に行動するにしても、その企業や組織にとって「何が正しいのか」によって取るべき行動や得るべき成果は異なるはずだからです。『価値観の共有』と言っても良いかもしれません。
    また、コモンセンスは「存在論」を問うものであり、存在論が共有されているのであれば、ルールや規則で統制する必要もなくなる、と述べられています。オーバーコンプライアンスの状態にある日本の組織から再び活力を与えるためにも、コモンセンスの経営を実践すべきであると具申しています。
    一人の天才やカリスマ性に頼るのではなく、チームの有機的な結合により成果を出していく。全員経営は、まさに日本人が本来得意とするプレースタイルなのではないかと考えます。

  • 他にも多くの言葉があるけど一番気に入ったのは「指示待ち族は指示をするから生まれる」かな。この本は、成功企業の事例が紹介されているけど、お勉強好きでない人は、"経営講義" 部分を読み飛ばし、背景がグレーの事例部分と第7章の事例部分だけ読めばいいと思う。僕には "経営講義" 部分は難しくて読めなかったので、すっ飛ばした^^

  • ・ミドルマネジャーの「ミドルアップダウン・マネジメント」…いちばん難しい問題は、現場で実践知を発揮しながら、新しい価値や価値をもった概念を生み出し、そこからひとつのビジネスモデルを作り出して収益を結びつけること。その中で重要な役割を演じるのがミドルマネジャーやミドルリーダー。実践知にすぐれた人材の共通する「6つの能力」。
    1)「何がよいことなのか」という判断基準を持ち「よい目的」をつくる能力を持つ
    2)ありのままの現実のなかで本質を直観する能力を持つ
    3)場をタイムリーにつくる能力を持つ
    4)直観した本質を概念化し、物語として伝える能力を持つ
    5)あらゆる手段を駆使し概念を実現する政治力を持つ
    6)実践知を埋め込み組織化する能力を持つ

    ・人間が行う最も知的な営みである知識創造は、暗黙知と形式知が互いに作用しあい、相互変換し、それがスパイラルに循環していくなかで行われる。この知の循環運動が組織やチームで起きる場合、知識創造理論では次の4つのモードをたどる。
    1)個人はまわりの世界との相互作用のなかで暗黙知を組織的に共創する(=共同化)。
    2)次に暗黙知を形式知に変換する「表出化」。
    3)続いて、形式知化を組織内外の他の形式知と組み合わせ、一つの体系としての新たな形式知を作り出す「連結化」。
    4)こうして体系化された形式知は行動や実践を通して、新たな暗黙知としてメンバー全員に吸収され、体化されていく。つまり、形式知からまた暗黙知へと変換される(=内面化)。
    この知識変換の4つのモードを共同化(Socialization)、表出化(Externalization)、連結化(Combination)、内面化(Internalization)のそれぞれの頭文字をとってSECI(セキ)モデルと呼ぶ。この一連のプロセスが回ることで、知識は個人、集団、組織の間を循環し、より豊かに増幅されていく。と同時に知識が新しい価値として具現化されていく。これが組織的な知識創造の基本原理。

    ・「試す人になろう」(本田宗一郎氏の石碑)…人生は見たり、聞いたり、試したりの3つの知恵でまとまっているが、多くの人は見たり聞いたりばかりでいちばん重要な”試したり”をほとんどしない。ありふれたことだが失敗と成功は裏腹になっている。みんな失敗を恐れるから成功のチャンスも少ない。ものごとの大筋をつかんだら、まずは試してみる。失敗したら、成功するまで試せばいい。日本企業の再創造に向けた集合的実践知経営は、一人ひとりがこの言葉「試す人になろう」を胸に刻むことから始まるのだろう。

  • 2016/7/4-7/17

  • アウトプットにつなげないと。

  • 数多くの事例紹介とその解説がなされている。普遍的定理のようなものを導出するような内容ではなく、オムニバス形式でのケーススタディという体裁だが、さすがに野中氏共著だけあり、解説が丁寧で参考になる。

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著者プロフィール

野中 郁次郎(ノナカ イクジロウ)
一橋大学名誉教授
1935年東京都生まれ。58年早稲田大学政治経済学部卒業。富士電機製造勤務の後、カリフォルニア大学バークレー校経営大学院にてPh.D.取得。南山大学経営学部、防衛大学校、北陸先端科学技術大学院大学各教授、カリフォルニア大学バークレー校経営大学院ゼロックス知識学特別名誉教授を経て、現在、一橋大学名誉教授、早稲田大学特任教授、日本学士院会員。知識創造理論を世界に広めたナレッジマネジメントの権威。2017年カリフォルニア大学バークレー校ハース・ビジネススクールより「生涯功労賞」を受賞。主な著書に『組織と市場――組織の環境適合理論』(千倉書房)、『失敗の本質――日本軍の組織論的研究』(共著、ダイヤモンド社)、『知識創造経営のプリンシプル』(共著、東洋経済新報社)、『知的機動力の本質』(中央公論新社)、The Knowledge-Creating Company(共著、Oxford University Press)、Managing Flow(共著、Palgrave Macmillan)などがある。

「2018年 『野中郁次郎 ナレッジ・フォーラム講義録』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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