競争しない競争戦略: 消耗戦から脱する3つの選択

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532319946

作品紹介・あらすじ

棲み分けるか、共生するか。50社以上の成功例で実践的に解説。

感想・レビュー・書評

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  • 分かっている気でいるニッチや差別化戦略をきちんと学ぶことが出来る本。
    この本を読んでから色んな企業の方針を見ると理論を間違えて使っている企業が多いことに気付く。
    戦略の不一致は組織と企業に悲惨な結果を及ぼすだろう。

  • 他社と競争しないための戦略3つについてまとめた本。ニッチ戦略、不協和戦略、協調戦略があり、概論は抽象的でなかなか理解しずらいが、その後に具体的な企業をいくつか挙げて補足説明しており、分かりやすくなっている。今後のビジネスの方向性を決める上で参考にしたい内容であった。

  • ニッチ戦略を分類し、多数の事例紹介があるためとても参考になりました。

  • はじめの理論説明がやや重い。中盤の事例紹介は1件がコンパクトにまとめられており、読み進めやすかった。
    競争を避けるニッチ戦略にも多様な類型がある。
    1.5週間で読み切らずに一旦返却。

  • ◎要約
    ⚪︎競争するメリット・デメリット
    《メリット》
    ・企業の能力向上
    ・市場の成長
    ・組織の活性化
    ・ニーズの多様化への対応
    ・価格の低下
    《デメリット》
    ・顧客志向から競争志向に
    ・必要以上の価格の下落
    ・組織の疲弊

    ⚪︎競争しない3つの戦略
    ①ニッチ戦略
    リーダー企業に同質化されないように、技術を常に磨きつつ、かつ参入しないように市場規模をコントロールしながら成長する。
    ②不協和戦略
    リーダーの強みを弱みに転化させる要因を探し出し、先手を打って仕掛けていく。
    ③協調戦略
    相手企業のバリューチェーンの中に入り込んだり、自社のバリューチェーンの機能や製品を取り組むなど、他社に積極的に働きかけていく。

  • 以下メモ。
     
    「競争しない」ためには、業界のリーダー企業と「棲み分ける」か「共生すること」が必要である。その具体的な方法として、①ニッチ戦略、②不協和(ジレンマ)戦略、③協調戦略の3つを挙げ、各々について新たな戦略を考えるためのマトリクスを示した。
     
    まずニッチ戦略に関しては、ニッチを探し出すためのマトリクスを示し、10のニッチ戦略について解説した。
    次の不協和(ジレンマ)戦略とは、リーダー企業の組織内にジレンマを引き起こすことによって、リーダー企業が同質化戦略を仕掛けられない状況を作り出すことである。その戦略として4つのパターンがあることを示した。
    最後の協調戦略とは、他社のバリューチェーンの中に入り込んだり、自社のバリューチェーンの中に競合を引き込んだりすることにより、より強い企業と共生して、攻撃されない状況を作り出すことを指す。これにも4つのパターンがあることを示した。
     
    ■競争するメリットとデメリット
    ●(1)競争する5つのメリット
    ・競争するメリットとして、企業の面からは、①企業の能力向上、②市場の成長、③組織の活性化が挙げられ、顧客の面からは、④ニーズの多様化への対応、⑤価格の低下などが挙げられる。
    ●(2)競争する3つのデメリット
    ・①顧客志向から競争志向に
    ┗「競争志向が強くなりすぎると、顧客志向が犠牲になる」と言われている。その理由として、競合他社を中心に考えるあまり、顧客リレーションシップの維持がおろそかになる点が挙げられる。その結果、顧客価値を高める革新的方法を追求することなく終わってしまう。
    ・②必要以上の価値の下落
    ┗価格の低下は顧客にとっては望ましい。しかし、企業にとっては経験曲線によるコスト低下を上回る価格低下になると、利益を減らしていくことになってしまう。
    ┗その究極が、カットスロート・コンペティションと呼ばれるお互いに喉を切り裂き合うような競争であり、牛丼チェーンの価格競争や、お互いが相手のサイトを見ながら割引率を上げていった楽天対アマゾンのDVDの割引競争は記憶に新しい。
    ・(3)組織の疲弊
    ┗他社と同じことをするためには、常に他社の動向をウォッチしておかなくてはならない。また、同じような製品・サービスでシェアを奪っていくためには、保有資産やコスト構造が変わらないとすれば、他社より長時間働くか、利益を削って他社より安く販売するしかない。
     
    ■競争に関する他分野の教え
    ●①孫子の教え
    ・百戦百勝は一見最善に見えるかもしれないが、勝った方にも被害が出るため、戦わず勝つのが最善だというのである。企業の競争で言い換えれば、全面的な直接競争をすると、自社にも競争相手にも、マイナスのインパクトが大きいということである。
    ・予備校業界では、1980〜1990年代に代々木ゼミナール、河合塾、駿台予備学校の3大予備校が、人気講師の引き抜きなど仁義なき戦いを繰り広げたが、2014年に代ゼミはこの後遺症から、大幅なリストラを余儀なくされることになった。
    ・孫子は、①競合の方が弱い場合、②ほぼ対等な場合、③競合の方が強い場合に分けて、いくつかの戦略定石となる言葉を残している。
    ・第一に、競合の方が弱い、すなわち自社の方が強い場合は、業務提携を迫って競争を無くしたり、M&Aによって傘下に収めたりしてしまうことが望ましい。
    ・第二に、ほぼ対等である場合には、相手のエネルギーが小さい間に摘み取るか、相手が戦うエネルギーを自社に向けてきても、それをうまくかわすことを勧めている。
    ・そして第三に、競合の方が強い場合には、逃げるか、戦わない算段をして、生き残りを図ることを勧めている。例えば、強い者の協力者となって生き残りを図ることは、この戦略の1つである。
    ●②生物学(生態学)からの教え
    ・生物において、最も重要なことは「生き残る」ことである。生物は、異種の生物との「種間競争」と、同種の生物との「種内競争」の2つの競争に立ち向かわなくてはならない。前者の競争では、強い者が生き残り、弱い者は滅んでしまう。その結果、ナンバーワンしか生きられないというのが自然界の掟である。それにも関わらず、自然界には多種多様な生物が暮らしている。そこには「棲み分け」および「共生」があるからである。
    ・第一に、棲み分けによって棲んでいる世界が異なれば、共存は可能である。ある生物種が生息する範囲の環境を、生物学では「ニッチ」と呼んでいる。1つのニッチには、1つの生物種しか棲むことができない。ニッチという言葉は、ラテン語の「nidus(巣)」を語源としているが、昔は花瓶や偶像などを置くために造られた壁の「くぼみ」という意味で使われていた。
    ・そして、こうした概念がマーケティング分野に拡大され、コトラーはニッチを「より小規模で特定化されたセグメント」と定義した。また、ダルギッチとレーウは、ニッチ市場を
    「似通った特徴やニーズを持った個々のユーザーまたは小さなユーザー群で構成される小規模な市場」と定義した。
    ●③競争しないことと利益率の関係
    ・競争戦略とは、「企業が競争市場において全体的姿勢を明確にし、最大の投資リターンを目指して競争優位な地位に経営資源を投入し、展開する方法と方向の決定」と定義される。
    ・ポーターはどうすれば企業にとって高い収益性を得られる状態を作っていけるかという研究を行なった。そこでは、完全競争から遠い状態を作り上げるほど企業は高い収益性を享受でき、それを判断するために、①既存企業間の競争(業者間の敵対関係)、②売り手の交渉力、③買い手の交渉力、④新規参入の脅威、⑤代替品の脅威、という5つの競争要因を分析することを示した。すなわちポーターの競争戦略は、“競争しないこと“が企業の利益率に良い影響を与えることを示唆したのである。
    ・ただし、競争がまったくゼロになるということは現実にはあり得ず、本書における「競争しない」とは、「既存の業界リーダー企業とは戦わないこと」と定義する。逆に生業的な会社(例:街の個人商店)や、同じビジネスモデルの企業とは競争する場合もある。
     
    ■リーダー企業の戦略定石
    ・より実践的なリーダー企業の戦略定石としては、①周辺需要拡大、②同質化政策、③非価格対応、④最適シェア維持の4つを示した。
    ・経営資源が少ない下位企業からの攻撃に対して、リーダー企業が一番対応しやすいのが同質化政策である。特に日本企業は、それを得意にしてきた。
    ●①周辺需要拡大
    ・周辺需要拡大とは、市場のパイを拡大させることである。リーダー企業は競合企業に対して、量・質ともに優れた経営資源(生産力、マーケティング力、資金力等)を持っている。したがって、周辺に需要が拡大すると、その拡大した部分の需要が特許などにより参入を阻止されない限り、既存市場のシェア相当分は獲得可能である。
    ・例えば、これまで夜だけ歯磨きをしていた人が多いとすると、「朝も夜も歯磨きしましょう」というキャンペーンが上がれば、歯磨き粉の消費量は2倍になる。朝はライオン、夜はサンスターという人はめったにいないであろうから、リーダーのライオンは、拡大された需要に対して、既存のシェア分は確保できる。周辺需要拡大により、売上の増加とシェアの維持が同時に達成される。
    ●②同質化政策
    ・同質化政策とは、チャレンジャーがとってきた差別化戦略に対して、リーダーの持つ相対的に優位な経営資源によってそれらを模倣し、差別化効果を無にしてしまう政策である。
    ●③非価格対応
    ・非価格対応とは、下位企業の安売り競争に安易に応じないことである。全ての企業が揃って1割引きすれば、一番利益が減る額が大きいのはリーダー企業だからである。
    ●④最適シェア維持
    ・シェアを取りすぎると、独占禁止法などの問題により、かえってトータル・コストが高くなる場合もある。
     
    ■競争しない3つの戦略
    ・先に述べた孫子や生物学(生態学)の教訓を企業にあてはめると、資源の劣る企業が生き残っていくためには、より強い者と戦わない戦略をとるか、より強い者と共生を図るかという2つの選択肢がある。前者は「(競争しないで)分けよう」という「棲み分け」の発想であり、後者は「(競争しないで)和していこう」という「共生」の発想と言える。
    ●①棲み分け:ニッチ戦略、不協和戦略
    ・棲み分けが可能になるためには、リーダー企業が同質化できないことが必要である。そのためには、
    ┗①リーダー企業の持つ経営資源と、当該企業が仕掛ける市場とが不適合になる場合
    と、
    ┗②当該企業が仕掛ける競争のやり方と、リーダー企業の経営資源もしくは戦略が不適合になる場合
    の2つがあり得る。
    ・①の市場との不適合とは、リーダー企業の持つ経営資源から見て、当該企業が開拓した市場が規模的に小さすぎて、そこに参入するとリーダー企業の高い固定費により赤字になってしまう場合や、その市場を開拓するための経営資源が非常に特殊で、リーダーは相対的には豊富な経営資源を持っているが、その市場開拓のための資源を今から保有するのは割に合わないような場合などに発生する。一般的に「ニッチ戦略」と呼ばれている。
    ・②の競争のやり方との不適合とは、当該企業のとった戦略に同質化を仕掛けると、リーダー企業が保有する経営資源や、リーダー企業がこれまでとってきた戦略との間に不適合が生じるケースである。リーダー企業が持つ「資産」が、事業を進めるにあたって「負債」になってしまう戦略や、リーダー企業が進めてきた戦略と逆行するような戦略が、これに当たる。リーダー企業内にジレンマを起こすことが特徴であることから、「不協和(ジレンマ)戦略」と呼ぶことにする。
    ●②共生:協調戦略
    ・経営資源が劣る企業のもう1つの戦略として、より強い企業と共生し、攻撃されない状況を作り出す方法がある。リーダー企業にとって、当該企業に同質化を仕掛けたり、攻撃したりするよりも、当該企業と手を組む方が得になる場合、両者間に共生が成立する。こうした戦略を「協調戦略」と呼ぶ。
     
    【ニッチの誤解を解く】
    ●①「ニッチ=小さい売上」ではない
    ・ニッチ戦略は「事後的に」狙うものではない。あくまでも事前に狙いを定め、その通りの成果を収めた場合が、ニッチ戦略の成功であると言えよう。
    ・なお、ニッチ市場が生まれるのは、市場の発展初期の段階では大企業が見過ごしている市場、成熟市場では一定数の顧客が存在するが大手に支配されていない市場だと言われている。
     
    ●②差別化とニッチは別物
    ・一言で言えば「差別化はリーダーと戦う戦略であり、ニッチはリーダーとは戦わない戦略である」。差別化は、リーダーとの違いを強調することによって、リーダーのシェアを奪うのが目的である。リーダーの地位を狙うチャレンジャーの戦略定石は、差別化戦略である。一方、ニッチ戦略は、リーダーの地位を狙うのではなく、限られた市場において利益を上げていく戦略である。
    ・“違い“をリーダーのパイを奪う武器とするか、リーダーと戦わないバリアとするかが、両者の違いと言える。
     
    ●③集中戦略とニッチ
    ・集中戦略が成功すれば、業界の平均を上回る収益が得られる。ただし、「収益を取るか、売上を取るか」を迫られた場合、集中戦略においては売上を犠牲にしなくてはならない。
    ・一般には、コスト・リーダーシップは経営資源が業界で最大のリーダー企業が取れる戦略、差別化はリーダーの座を狙うチャレンジャー企業の戦略、そして集中がニッチ企業(ニッチャー)の戦略と言われている。
    ・ニッチ企業が大手企業を参入させないためには、①市場規模をあまり大きくしない、②利益率をあまり高くしない、③市場を急速に立ち上げないという戦略が求められる。この3つは、大手企業で求められていることのまったく逆と言える。
     
    ■「量」と「質」の軸から考えるニッチ戦略
    ・ニッチ企業は、参入障壁を高める質的コントロールと、市場規模の量的コントロールの2つが武器となる。
     
    ■10のニッチ戦略
    ・ニッチ戦略の3つのタイプごとに、10のニッチ戦略について紹介。
    ●質限定のニッチ戦略
    ・1.技術ニッチ
    ┗技術ニッチ戦略の場合、大手も追随できないようなハイレベルな技術を開発し続けることが重要。
    ・2.チャネルニッチ
    ┗チャネル・ニッチ戦略は、特定のセグメントに効率的に到達できるチャネルを早期に押さえれば、後から大手企業が大量の経営資源を持って追撃しようとしても、揺るがない状況をつくり出すことができる。こう考えると、組織化された団体を早期に押さえる戦略は有効である。
    ・3.特殊ニーズ・ニッチ
    ┗特殊ニーズ・ニッチとは、一般的ではない特殊なニーズに対応した技術・サービスにより、限定された市場を獲得する戦略である。
    ┗特殊ニーズ・ニッチに関しては、プロダクト・アウトの発想ではなかなか市場を獲得できない。その業界の現場ニーズをいかに捉えるかが、大手が入ってこられない参入障壁になる。そのためには、営業マンや技術者が現場を回るだけでなく、現場で働く従業員を自ら育成するなどの仕組みも必要であろう。そうした過程から、真のニーズが見つかることもある。
    ●量限定のニッチ戦略
    ・1.空間ニッチ
    ┗空間ニッチとは、限られたエリアだけを事業領域として資源集中することで、その地域に関しては、大手企業であってもシェアを取れない状況にしてしまう戦略である。
    ┗空間ニッチ戦略は、もともと規制などによって、限られた地域で事業を行ってきた地方銀行、放送局などのフラグメント(断片型)ビジネスでは常套手段である。
    ・2.時間ニッチ
    ┗時間ニッチとは、限られた時間だけに事業が集中するため、固定費の高い大企業は、需要の閑散期に固定費が回収できなくなることから、なかなかその事業に参入できなくなる戦略を指す。
    ┗時間ニッチ戦略は、長い間隔で行われるイベント(例:オリンピック、FIFAワールドカップ)、冠婚葬祭のような非日常イベント、節目だけに発生する需要(例:コンピューターの2000年問題、パソコンOSの切り替え)などで開拓できる可能性がある。
    ┗時間ニッチ戦略の事業化にあたっては、固定費として自ら持つ資源と、変動費化させる資源の工夫に、ノウハウが必要とされる。また、ピーク時だけ雇用される人的資源を、短時間で戦力にするノウハウも重要である。
    ・3.ボリュームニッチ
    ┗ボリューム・ニッチとは、リーダー企業が参入するには市場規模が小さすぎ、それゆえにリーダー企業が参入してこない結果、ニッチ企業が利益を享受できる市場である。
    ┗ボリューム・ニッチ戦略は、比較的見つけやすい。総合メーカーが手薄になっている分野を探していけば可能性はある。
    ・4.残存ニッチ
    ┗残存ニッチとは、製品ライフサイクルの衰退期に入って市場が縮小し、もはや利益が出なくなったため、大手企業が撤退していった結果、残った企業が、限られた規模の中で利益を追求する戦略を指す。ただし、残存者利益を享受するためには、「単に残存し続けているだけでなく、縮小する市場の中で、生き残るためのビジネスモデルを構築することが必要」と言われている。
    ┗残存市場は製品ライフサイクルが衰退期に入れば必ず生まれるものではない。衰退期でも「使い続けなくてはならない理由」がある場合に生まれる(例:そろばん、レコード、クローズドな基幹システム)
    ・5.限定量ニッチ
    ┗限定量ニッチとは、生産量・供給量を意図的に絞ることでプレミアム感を出し、利益を確保する戦略である。リーダー企業がやりにくいのは、仮に供給量を限定しても一定の固定費がかかるので、収益的には貢献しない可能性があることだ。
    ┗ボリューム・ニッチと限定量ニッチの違いは、前者は市場規模自体が小さいケースを言うのに対して、後者は事業的には量産が可能であるにも関わらず、あえて供給量をコントロールして市場規模を小さくとどめ、利益を獲得しようとするものである。
    ┗限定量ニッチを企てる場合、限定で需要をあおるだけでなく、どれだけ公平に購入希望者に製品・サービスを割り振るかという点も重要である。多くの場合、先着順、抽選という方法が取られるが、消費者に公平感がなくてはならない。また、限定品の転売リスクにも注意を払う必要がある。
    ●質・量限定のニッチ戦略
    ・1.カスタマイズ・ニッチ
    ┗カスタマイズ・ニッチとは、完全オーダーメイドに基づく製品・サービスを提供する戦略である。
    ・2.切替コスト・ニッチ
    ┗製品・サービスの規模が小さいだけでなく、当該市場に参入するための壁があったり、また既存顧客が後発企業の製品・サービスに切り替えてもらうコストが大きかったりする場合、リーダー企業は同質化をかけにくい。前者には認可や指定業者として承認をもらうコストがかかり、後者は既存製品・サービスを切り替えるための顧客の切替コスト(スイッチング・コスト)がかかる。こうした戦略を「切替コスト・ニッチ」と呼ぶ。
    ┗ユーザーの切替コストを高くするためには、第一に顧客の「慣れ」を獲得することである。慣れを早く勝ち取るためには、無償配布などで本体を早く普及させる方法がある。一度慣れてしまえば、より機能に勝れるものが後から出てきても、簡単にはスイッチされなくなる。

  • わたしが勤める会社はリーダー企業ではなく、これから新しい事業にも手を出そうとしている。
    そんな境遇にあって、もっと戦略を考えなければならないな、と強く考えさせられた一冊。

    特に覚えておきたいと思ったのは以下。
    ・リーダー企業がチャレンジャーに対して簡単に出来る対抗策は、同質化。差別化を無効化する。→同質化しづらいものをつくるべき。
    ・ニッチ市場も、規模が大きくなれば大手が参入してきてしまう。
    ・利益率は低めに見せる。大手は固定費が高いので利益率が低いものは手を出せない。
    ・大手の強みを弱みにしてしまうものをつくる(不協和戦戦略)
    ・大手のバリューチェーンに入り込むやり方もある(協調戦略)

  • 他社、特にリーダー企業とどう競争せずに、自社の成長を果たすか?
    「ニッチ戦略」「不協和戦略」「協調戦略」、それぞれに関して、
    非常に多くの企業の実例を挙げながら、実証する1冊。
    良くも悪くもビジネススクール教授の書いた本に感じる。
    もう少し例を少なくし、個々の事例を厚めにした方が個人的には良かった。
    但し、考え方は極めて体系立てて書かれており、理解しやすい内容。

  • 素直に事例が面白いと。

  • ニッチにもいろいろあり、取れる戦略がある。

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著者プロフィール

早稲田大学教授

「2016年 『経営戦略[第3版]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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