株主に文句を言わせない! バフェットに学ぶ価値創造経営

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  • 日本経済新聞出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532321062

作品紹介・あらすじ

◆いま注目すべきは経営者としてのバフェット
永続的に価値を生むバフェット流の真髄は、DCFモデルを活用した価値創造バリュードライバーの見極めにある。経営資源の配分から財務戦略まで、いま求められる経営の在り方を、バフェットから学ぶ。

◆投資は不確実だが、経営には成功法側があり、バフェットはそれを実践している
「ビジネスの経験が投資に役立ち、投資の経験がビジネスに役立っている」――バフェットは、株の銘柄選びの達人として世界中に知られている。ただ、彼が投資会社のバークシャー・ハサウェイを40年間、年率25%で成長させてきた理由はこれだけではない。資本の使い方や事業の見極め、経営者(事業部門トップ)の育成など、彼の事業を掘り下げていくと、賢く経営するための単純なモデルを見出すことができる。

◆企業価値の永続的な創造による成長を実現する
「投資」と「経営」の二刀流で成功しているバフェットの実践するモデル。そこにある揺るぎない原則とは何か。
それは、ROEでも、EV/EBITDAでもない、古典的なDCFモデルの活用である。多くの企業がこの手法を採用することで、利益を上げることができる。バフェットは投資家として成功した要因を経営にも活かすこと、つまり、投資家に不可欠な企業価値評価の視点を経営における価値創造に活かすことで、経営者としても成功したのだ。
もの言う株主の台頭により、いま企業経営において最も重要なテーマとなった「企業価値の永続的な創造」と「成長の持続」は、どうすれば達成できるのか? 本書は、ファイナンス理論に精通し、同時に、ROEほか企業の価値を計る指標が経営にもたらすリスクに警鐘を鳴らし続けてきた筆者が、そのヒントをバフェット流から探り出すもの。

感想・レビュー・書評

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  • バフェットの経営は、無配、IR部門がない、200億ドルの手元資金を保有する事を方針としている。

    バークシャーハサウェイの株価の過去50年の平均リターンは20.8%。S&P500は9.7%。当該期間の合計リターンは159万8,284%。S&P500は、1万1,355%。

    2015年日本の上場企業の手元資金は過去最高の109兆円。実質無借金の企業比率は56.1%。

    内部留保した1ドルにつき、1ドル以上の市場価値を生み出している状況では、株主還元は大株主であろうと少数株主であろうと株主の経済的利害に反する。

    会社の経営、姿勢、見通しを理解する投資家に株主になってもらう事。その為に言葉ではなく、行動に留意する。経営者の行動により、株主の種類が決定される。企業が株主を選別する事が、ポスト株式持合い時代に求められている。

    お互いの信頼に基づく株式持ち合いは戦後の日本経済発展の一つの要因。

    バフェットが重視するのは、一株当たりの内在価値の成長。

    株価と一株当たりの内在価値に乖離があったとしても、長期的には両者は合致する。

    株価マルティプルでは株価予測はできても、企業価値を創造する為のヒントは得られない。投資家として見るべきは、価格ではなく価値。

    株主資本コスト=リスクフリーレート+β(株価指数との連動性。1より大きければ株価指数より価格変動が大きい)×市場リスクプレミアム(一般的に4-6%)

    WACC=負債比率×(負債コスト×(1-実効税率))+株主資本比率×株主資本コスト

    内在価値=予測期間のFCFの現在価値の合計+予測期間以降のFCFの現在価値の合計+非事業資産価値ー負債・負債同等物ーハイブリッド証券・少数株主持分

    バフェットの投資基準
    1.理解できる事業であること
    2.経済性が長期的に良好であること
    3.経営者が有能で信頼できること
    4.価格が納得できる水準であること

    一株当たりの内在価値を高める方法
    1.多くの子会社の収益力を持続的に改善する
    2.追加的な買収により利益をさらに拡大する
    3.投資先の成長性から利益を得る
    4.株価が内在価値よりも大幅に割安であれば自社株買いをする
    5.時に大規模な買収を行う

    事業は、
    1.真に偉大な事業、、、売上高成長率は重視しない。営業利益率、追加投資比率を重視。
    2.良い事業
    3.悪い事業
    の3つに分ける。

    ROICはROAよりも本業の稼ぐ力を把握するのに適している。

    ROICとWACCのスプレッドに投下資本を掛け合わせて算出するEconomic profitも、絶対額で企業価値創造の水準を測定するのに有効。

    有形資産に対して高い利益を生み出す真に偉大なる事業は、長期にわたり利益の多くを高水準のリターンを社内において再投資する事ができない。


    成長性は必ずしも企業価値を高めるわけではない。成長の為に投資された1ドルが1ドル以上の長期的な市場価値を生む場合だけ。ROICがWACCを上回る場合のみ売上高成長率は企業価値にプラスとなる。

    高成長を長期間に渡り維持する事は不可能。

    2000-2003年に売上高成長率15%を実現した企業のうち、2010-2013年にも同じく15%を上回ったのは26%だけ。37%の企業は5%未満となった。売上高成長率を事業バリュードライバーとできる期間は有限。

    2000-2003年にROIC25%以上の企業のうち、2010-2013年に同じ25%を上回ったのは83%。持続性という意味ではROICの方がバリュードライバーとして使いやすい。

    投資は短期的には利益を減少させるが、将来の競争優位性の構築の為に継続的に行わなければならない。短期と長期の利益が対立する事があれば、長期を優先する事。短期の収益目標を達成する為に誤った決断をすると、コスト、顧客満足、ブランド力で後れをとる事になり、その後どんなに素晴らしい対応をしてもダメージを補う事はできない。

    四半期決算や年次決算を気にかける企業は、長期的な価値を創造する上でどれほど賢明な投資であったとしても、初期コストが原因となり、当社(BH社)と同様な投資は避ける事になる。

    設備投資額を減価償却費よりも抑えながら当社の事業の競争力を維持できればと願っているが、51年間にわたり実行する方法は見いだせない。

    トヨタは2017年3月期に営業利益の前年度比4割超の減益を見込んでいるが、研究開発費は過去最高の前年度比1.5%増、設備投資はリーマンショック後最高水準である前年度比3.9%増を計画している。経営を預かる際、20-30年のコミットが必要。

    β信者はリスクを評価する際に、会社が何を作り、競合が何をし、借入額がどの程度なのかを検証する事はない。会社名すら知りたがらない。

    地球が太陽の周りを回るペースは、投資のアイデアや経営判断が実を結ぶのに必要となる時間と合致する事はない。

    ほとんど経営者は、株主が決算結果の変動を好まないと思い込んでいる。

    株価マルティプルと株主総利回りに関して、業績予想開示の有無が株価に影響する事はない。業績予測開示は報われない。

    EPSも企業の利益創出力を把握するのには適さない。

    営業利益が一般的には企業の業績に関する適切な指標。中計で数値目標を提示する必要があるならば売上高と営業利益率がよい。

    財務上の持久力を高める為の3方法
    1.多額な収益が安定的に絶え間なく続く事
    2.莫大な流動資産を持つ事
    3.多額な短期債務を持たない事

    BH社は2015年末時点で、手元資金は700億ドル。直近5年平均で総資産の11%。

    BSの負債側の行動は資産側の行動とは独立してとるべき時もある。

    株式発行を行う企業は、自社株が割高である事を暗に認めているようなもの。

    素晴らしい企業の株式をほどほどの企業の所有権と交換するのは取り返しのつかないほど価値を破壊する事になる。

    超長期といわれる10年以上の社債の発行額は、2016年1-8月の発行額7,650億円と前年同期比3倍弱。

    財務レバレッジが高まるとβが上昇し、株主資本コストも高まる。

    持続可能成長率=ROE×内部留保率=ROE×(1-配当性向)

    株主資本コストを上回るROEを生み出せるのであれば内部留保すべき。できないなら投資家に資本を還元すべき。BHは1967年以降無配。

    BH社の買収基準
    1.規模が大きい事。最低7,500億ドルの税前利益
    2.持続的な収益力を保有する事。
    3.ROEは高水準であるが、負債が極めて少ない事。
    4.経営者がいる事。
    5.シンプルな事業である事。
    6.提示価格。

    バフェット流M&Aの秘訣
    1.一株当たりの内在価値を高める事が目的(会計上の目的にしない)
    2.M&A戦略・投資枠・投資部門を持たない
    3.買収価格以外の要因で勝負する

    経済的な実態よりも会計上の見た目を重視する経営者は、最終的にはどちらも実現できない事が多い。

    買収して三年後に必ず客観的に検討する。他企業では、勝利は自画自賛されるが、失敗は追求されないか、もしくは正当化される。

    当社の優位性の中で最も重要なのは、戦略計画を持たない事。なので、計画通りに進む必要性を感じない。単に当社の株主にとって何が良いかを決める事ができる。M&Aが目的化されれば、企業価値が破壊されるだけ。

    買収先のオーナーが会社に対して感情的な愛着がある事は、事業に重要な要素が存在する兆候。逆も然り。

    企業は利益の全額を内部留保し、株主は株式を売却して現金化する方が配当よりも両者にメリットがある。

    社外取締役比率や女性取締役の有無を確認する等のチェックリストアプローチは形式的に良く見せようとする企業を見つけるだけ。

    社外取締役のみで構成する会議体であるエグゼクティブセッションの推奨。

    社外取締役を商売とする人材を排除し、大株主を取締役に選任する。

    取締役の数は10名以内にとどめ、そのほとんどを社外取締役する事。社外取締役がCEOの業績基準を設定する事。

    会計上報告されるべきもの
    1.会社の価値はおよそどの程度なのか?
    2.将来の債務を満たす確率はどの程度なのか?
    3.経営環境を考慮した上で、経営者のパフォーマンスはどうか?

    会計の質が悪い企業には注意せよ。ストックオプションを計上していなかったり、年金会計の想定が気まぐれであれば注意が必要。経営者が目に見える部分で恥ずべき事をしていれば、見えないとことでも同様な行動を取っている可能性が高い。キッチンにゴキブリが一匹しかいないということはない。

    注釈が理解できない場合、経営者が信頼できない事が一般的。

    利益予想や期待成長率を吹聴する企業は注意すべき。事業は、安定したサプライズのない環境で経営される事は殆どない。利益が安定的に拡大する事はない。

    質の高い株主構成を構築する為には、まずはターゲットを決める事。次に、実際の経営や情報開示を通じて、ターゲットによる自社の理解を高める事。

    業績を測定する合理的でかつ操作不可能な基準を事前に持つ事。これにより、業績という矢が刺さった場所を確認した後に、その周辺に標的を描こうとする衝動を抑える事ができる。

    株式発行は、売り出し規模をオープンエンドにする事で、短期的な価格上昇を伺う典型定期なIPO投資家を近づけなくする。

    業績予測を開示しなければ、株価予想する投資家は当社に近づけない。四半期決算で大騒ぎする投資家が欲しがる情報は開示しない事。

    選定する業績指標は、短期的な財務指標ではなく、長期的な企業価値創造に資するバリュードライバーを設定する事。

    株主還元政策は、それにしか関心を持たない投資家を引き寄せる。

    情報開示は、決算結果の詳細な説明と、長期的な見通しを二本柱にする事が適切。

    M&Aはスキルを高める事だけでなく、買い手としての評判を築く事。

    ROEではなく、ROICの改善にフォーカスする
    売上高の一定水準を投資に資本配分する
    運転資金に着目する
    会計数値に加えてバリュードライバーで目標値を設定する
    成長は目的化しない
    事業ポートフォリオの見直しを定期的に行う
    株価は正しいと考える
    資本構成は時間をかけて調整する
    M&Aは高値づかみをするより諦めるほうが正解
    M&A枠は設定しない
    社外取締役にはアナリストや投資家経験者を選任する
    業績連動型報酬制度が一般化されると会計監査は一層重要となる
    アクティビストの視点で経営を見つめ直し、自律型ガバナンスを強化する
    エンゲージメントの相手を選別する

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著者プロフィール

小樽商科大学准教授
慶應義塾大学商学部卒。米ピッツバーグ大学経営大学院MBA。
1996年、アクセンチュア入社。2001年、日産自動車入社。財務部、IR部を経て、2009年に独立し、インサイトフィナンシャル株式会社設立、代表取締役就任。2015年4月より、小樽商科大学准教授。
著書に『ROEが奪う競争力』『まだ「ファイナンス理論」を使いますか?』(日本経済新聞出版社)、『グロービッシュ実践勉強法』(日本実業出版社)。

「2016年 『株主に文句を言わせない! バフェットに学ぶ価値創造経営』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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