敗者のゲーム 新版: なぜ資産運用に勝てないのか

  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532350680

作品紹介・あらすじ

投資家に読み継がれる運用哲学の古典!「投資界の常識」をくつがえしたエリスの法則とは。

感想・レビュー・書評

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  • 整理された事実には、反論しようもない。
    非常に優れた内容の本。

    市場は機関投資家がしのぎを削っており、個人投資家が勝つことは難しく、勝とうとすることすら無駄であることを綴っている。
    またインデックス・ファンドにアクティブ・ファンドが勝てない理由を理路整然と語られる。

    多くの投資ファンドが存在するが、長期的にインデックス・ファンドよりも高い利益を出すことがいかに難しく、不毛な努力になるかということを過去から現在に至る事実を突き付けている。
    すなわち、個人投資家は機関投資家を利用すること。現在は、市場の流れそのものが、機関投資家の集合体であり、そこに個人の考えを持ち込むことは、リスクが非常に高く、合理性に欠けるということだ。
    それは『平均に回帰する』という、結論へと導かれる。長期投資であればあるほど、その結論の正当性が示されているのである。当然である。
    しかし短期的には、目の前の世界は、常に非合理な動きを繰り返す為、プロでさえも振り回されてしまう。
    結果的には運の良し悪しに行き着いていることが多い。しかも世の中はそれに気づいていないのだ。

    全てのケースでそうとは限らない?その通り。
    インデックス・ファンドに勝ってきた投資家は存在する。それが、ウォーレンバフェットやピーターリンチ等の著名な投資家たちだ。
    しかし、彼らでも常に勝ってきたわけではない。むしろ、近年は市場平均を下回っていることが多かった。
    時代は変わったことを象徴しているのかもしれない。

    超長期で見るとインデックス投資に勝るものは存在しない。自らの考えで個別株へ投資している者としては、悲しいが受け入れるべき事実である。

    読了。

  • 「敗者のゲーム」の最新版は、2022年に発行された原著第8版だが、本書は2003年に発行された原著第4版である。

    投資は、敗者のミスによって勝負が決まる「敗者のゲーム」である。投資でミスをしない方法は、コストの低いインデックスファンドを長期保有し続けることだけである。

    つまり、短期的な利益を追い求めたり、欲を出さないことが大切である。マーケットは短期的には大きく変動するが、長期的な変動は穏やかである。短期的なマーケットの変動に惑わされず、投資家にとって最大の武器である時間を十二分に活用しなければならない。


    本書は、このことの重要性を過去のデータを用いて説明している。機関投資家に向けての発言も多く、個人投資家にとっては該当しない部分も多い。その為、全体として決して読みやすい本とは言えないが、個人投資家に該当する箇所だけでも、読む価値は十分にある。

    私も約20年投資をしているが、相場によっては短期的に利益を出せるのではないかと思う局面が時々ある。しかし、長い目で見れば、短期売買は得ではないことは理論上明らかである。本書を何度も繰り返し読めば、短期的に市場に勝とうとは思わなくなるに違いない。ミスター・マーケットに惑わされて売買したくなったら、その都度読み返したい本である。

  • 随分前に読んだので忘れましたが、投資関連の本で有名だと思われましたので読みました。
    投資を始めて間もない頃に読んだのでなかなか理解が追いつかない部分もあったので、もう少し時間をおいて再読しても良いのかなと思います。

  • 2014/09/14予約2012/11/23登録"

  •  インデックスファンドが経済学的に何故いいか、微に入り咲いを穿ち、データで延々と説明。
     結論がわかっているので、途中で切り上げ。

  • 日経マネーの推薦図書だったので手に取りました。,総じて、,「マーケットは現在は機関投資家が形成しているもの」,「機関投資家に個人投資家が勝てるわけがない」,「機関投資家に乗るインデックスファンドが最強」,の論調のようです.,,長期的投資方針策定は、投資家が責務を負うもの。,相続税として課税されるものは、寄付せよ。,など、目を引く記述もあります。,,しかし、長期投資+福利効果による資産形成が最上のものであるという考え方は、カツマーとは同質ですが、小宮先生とは一線を画するのではないでしょうか。,小宮先生は個別株の値上がりでしか大きくは儲けられないとも言われています。,,図書館で借りました。

  • 良書であることに違いないが、私は「ウォール街のランダム・ウォーカー」を読んだ直後に本書を読んだためページ数や実証研究数的にも物足りないように感じた。
    時間を十分に空けてから再度読み直そうと思います。

  • 勝ったり負けたりの結果トントンだったアクティブ運用に疲れたので、この本を参考にパッシブに切り替えました。サラリーマンの片手間運用がいかに勝てないか、というかプロでも負けているという事実が書いてあります。でも、うまい話が好きな人には効き目ないかも。負けるのが嫌いな人にはオススメ。

  • えらい久しぶりの更新です。本をまともに読んでませんでした。まだ、今年に入って3冊目です。本書も自炊してもらって、iphoneで読みました。

    ここ最近の株価上昇に伴い、自分の資産も含み益を抱えています。ポーロフォリオを見てみたら、+7%くらいでした。一時の-20%を思うと、大いなる飛躍です。しかし、本書でも挙げられていますように、あまり一喜一憂するつもりはありません。下がれば「いずれ上がるだろう」、上がれば「いずれ下がるだろう」くらいな気持ちで望んでいます。

    現状のポートフォリオは、日本株式29.74、先進国株式44.78、新興国株式17.48、国内債券2.99、外国債券5、で運用しています。これが正しいのか正直よくわかりません。本書でも「終了時期の設定こそが決定的な影響力を持つ」とありましたので、運用に際しては「いつまでにいくら必要なのか」を決めることが重要なのでしょう。

    現状の目標は、定年までに5000万。現状のポートフォリオで届くのでしょうか。一度算出してみる必要がありそうです。

  • 敗者のゲーム

    長期投資家にとっての毎日のダウ平均の変動は何の意味も持たない。

    ミスターマーケットのトリッキーな仕掛けを無視し、現在の市場価値に気を取られなくなって初めて、真の意味での企業への投資に集中できる そして、その成長する企業収益と配当額に

    長期総合収益の一番大きな部分は、市場ファンドもしくはインデックスファンドを買うこと。
    簡単な運用方法が、長期的には、名だたるプロの運用機関より良い成果をあげている

    マーケットリスクの管理が資産運用の主要な目的である。
    どのようなマーケットリスクの水準を選択するか?
    その水準をどう維持するか?
    マーケットリスク水準の変更は、基本的な長期運用方針を意図的に変更する時にのみなされるべきである。

    市場リスク管理が資産運用の主要な目的である

    短期における最大のリスクは、実はたまたま株式市場が低迷している時に、投資家が資金の必要上株式を売却しなければならない事態が生じることである。このことからいえるのは、長期においては株式のリスクは種々の投資商品の中で最も低いが、短期においては逆にリスクが最も高い、ということである。

    投資家にとって、短中期のマーケットリスクに対する最適な対策とは、それらのリスクを一切無視して長期投資家になりきることである。

    収益率とは、高い収益率を求めて悪戦苦闘した結果得られるものではなく、リスク自体が生み出すものだという認識は、運用方針の概念を変えるものである。

    市場よりマーケットリスクが20%高いポートフォリオの追加期待収益率は、長期投資の平均値でみると年1.4%となろう

    個々の債券のリスクは分散させることで本質的には排除できる。その信用度が中レベルより低い債券は、デフォルトによる損失を埋めた後でも、高い信用度のものに比べ収益率が高くなる。したがって、運用機関はそうした信用度が中レベル以下の債券に集中することにより、リスク調整後の収益率を増加させることができる。

    債券は…
    長期においては必ず損失が発生し、収益を相殺する
    収益を決めるのは、どの債券に投資するかではなく、そもそも債券に投資するのかどうか、投資するとすればいくらなのか、といった点である

    長期運用に成功する上で大切なのは、何よりも巨額のロスを避けることである。

    支出の決定は運用成果によってのみ支配されるべきものであり、その運用成果は運用方針によって決まるのである。

    債券は元本、利息が安全だとか、リスクが少ないと聞いて、債券に投資してはいけない。債券価格はほとんど株式と同様に変動するし、さらに債券は、長期運用にとって真のリスクであるインフレに弱い。

    運用の「時期」と「方法」とを明確に分けて考えなければならない。もし、長期運用方針を具体化する上で、相場が過熱していて現在は適切な時期でなさそうであれば、当面マネーマーケットファンドに避難させておき、相場が妥当な水準に戻った時に長期運用に転換すればよい。

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著者プロフィール

1937年生まれ。イェール大学卒業後、ハーバード・ビジネス・スクールで最優秀のMBA、ニューヨーク大学でPh.D.取得。ロックフェラー基金、ドナルドソン・ラフキン・ジェンレットを経て、1972年グリニッジ・アソシエイツを設立。以後、30年にわたり代表パートナーとして、投資顧問会社や投資銀行などの経営・マーケティング戦略に関する調査、コンサルティングに腕を振るう。2001年6月代表パートナーを退任。現在、ホワイトヘッド財団理事長。この間、イェール大学財団基金投資委員会委員長、米国公認証券アナリスト協会会長、バンガード取締役などを歴任。『キャピタル』『チャールズ・エリスが選ぶ大投資家の名言』『イノベーターは死なず』『ゴールドマン・サックス(上・下)』『投資の大原則』(共著)など多数の著作がある。

「2022年 『敗者のゲーム[原著第8版]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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