- Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532351830
作品紹介・あらすじ
量的緩和解除はどうなる?デフレは克服できたのか?--。日銀審議委員として戦後最大の経済危機に立ち向かった著者が、「時間軸政策」など経済の下支えを狙ったデフレ対策の効果を検証。日銀の出口政策を読み解く必読書。
感想・レビュー・書評
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ご多分に洩れず、植田さんが日銀の総裁になるニュースを聞いたのち、本屋に並んでいたので経済のお勉強を兼ね、今後の投資戦略の参考になればと思い購入。
結局三ヶ月くらい積読状態だったが私にしてみれば短い期間で枕頭の書になった。
200ページにも満たない薄い単行本であるが、およそ二十年前に植田さんが日銀審議委員を辞めた直後に、その時代の日銀の金利政策の分析と解説をしているのが本書である。
前書きを読むと、非常に論理的にステップを踏んでの解説になっているようだが、専門用語がよく理解できずに読み進めるのにかなり苦労した。
正直難しすぎるので、星2つになった感じである。
当時の植田さんは、量的緩和の解除には慎重な立場をとっていたようであるが、それは、今の総裁になってからの植田さんに重なる部分もあるように思う。
もっとも今の日銀の状況は当時と比べ物にならないほど厳しく、量的緩和解除をしたくても、その副作用が大きくて出来ない状況のようにも思えるが。
植田さんの頭の中には、出口戦略の道筋が果たして出来ているのだろうか。普通に考えるとある程度の目算があるから、総裁職を引き受けたのだと思うので、何とかうまく舵取りをしてくれるのを切に願うばかりである。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
次の日銀総裁、植田さんの金融政策関連書籍。
アベクロ緩和の前までなので、「今」の複雑怪奇な金融政策からの出口をどう考えているかは分からないけど、日銀のゼロ金利政策の総括を200ページでわかりやすくまとめているので、少なくとも「わかりやすい説明」ができる人、加えて、黒田さんと違って「論理的に」説明できる人であることは、よくわかった。
その辺を見越して、円金利は落ち着いて推移して、無茶苦茶な出口による円金利上昇がないから、円安がまた進んでいるのかなぁ?とも思う。 -
次期の日銀総裁、植田和男氏の書籍。本投稿の時点でAmazonで3万円以上で取り引きされている。
実は株式投資に役立つのでは、と考え読んでみた。
しかし、内容は知らない専門用語を当たり前のように使って書かれており、門外漢には全く歯が立たなかった。
他の方々のレビューを読んで勉強しよう(笑)
結論として、これからの株式投資には全く役に立たない本となってしまった。 -
銀行の不良債権処理により金融緩和を行なったにもかかわらず効果は限定的だった
巻末にビハインドカーブでも問題ないなどの記載あり -
0618
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第3章
1998年から2005年までの日銀(およびFED)の金融政策
ゼロ金利政策までの道 42
ゼロ金利解除から量的緩和へ 45
第5章
1 クルーグマンの量的緩和論 76
インフレ期待を引き起こす政策 76
第8章
失われた10年のマクロ経済学
2 なぜデフレーションは問題なのか 147
第9章
構造問題と金融性悪 169
出口論をめぐって 189
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日銀、マイナス金利解除へ 17年ぶり利上げ、19日決定
2024 3/15(金) 20:58 配信 共同通信
日銀の植田和男総裁
日銀が18、19日に開く金融政策決定会合で、
大規模な金融緩和策の柱である
マイナス金利政策の解除を決める見通しとなったことが
15日分かった。
決定すれば
2007年以来17年ぶりの利上げで、
金融政策の正常化を開始する転換点となる。
連合が同日公表した今春闘の平均賃上げ率は5.28%と33年ぶりの高さで、
日銀は
賃金と物価がそろって上昇する好循環が実現する確度が十分に高まったとみている。
日銀は
マイナス金利政策を解除した後も
緩和的な金融環境を維持する方針で、
事実上のゼロ金利政策に移行することを想定している。
金融機関が短期金利に連動する
変動型の住宅ローンや企業の借り入れなどの金利を上げるかどうかが焦点となる。
植田和男総裁は、経済の好循環の実現が見通せる状況になれば、
マイナス金利の解除などを検討する意向を示している。
日銀は
物価上昇率を2%に安定させる目標を掲げ、
黒田東彦氏が総裁だった13年4月に大規模緩和を始めた。
2016年にはマイナス金利政策を導入した。 -
研究界で挙げられている短期金利ゼロ金利下での金融緩和の手法:
1.時間軸政策
2.非伝統的資産の購入
3.(物価目標達成のために)必要以上の流動性供給
時間軸政策は、金融緩和の前借りであり、短期金利を上げても良い状況になった未来においても低金利(ゼロ金利)の継続を約束するもの。したがって、当該未来までの期間を含む現在の長期国債の金利が低下し、それが緩和効果を生むことになる。
短期金利を上げても良い状況になると、中央銀行としては利上げする誘因が生じるが、ここで金利を引き上げると、市場から信認されなくなり、次回以降この政策が使えなくなるというデメリットがある。
一方でそうした状況において利上げをしないと、必要以上のインフレが生じるリスクがあるが、そうしたリスクをとって初めて時間軸政策の効果が出ることになる。
本著は2005年に執筆されたものであるが、現在(2023年)の異次元金融緩和の考え方にも通ずるものがある。仮に足元の物価上昇で利上げ(緩和を弱める)することは、時間軸政策の効果が失われることを意味することになるため、やはり物価上昇が安定的・持続的であることを確認できるまで(日本経済が利上げに耐えられる状況になると判断されるまで)は、市場へのコミットメントの通り、強力な金融緩和を続ける必要がある、というのが植田氏の基本的な考え方のようである。 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/39072