不思議の国のM&A: 世界の常識日本の非常識
- 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版 (2007年8月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532352738
作品紹介・あらすじ
「値段がないまま企業を買う」「わざと損して持ち株を売る」-。そんな摩訶不思議がまかり通る日本のM&A。取材秘話を交えて、気鋭ジャーナリストが真実に迫る。渾身の経済ドキュメント。
感想・レビュー・書評
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これ読んでIBに入りたかった頃の自分を思い出しました。
M&Aは買い物なので、正しく値付けをしましょうね、という話ですかね。
M&Aを買収を訳すか、合併と訳すか、という文化の違いであります。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
M&Aにかかる法規制の動向なども抑えていて面白かった。
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米欧と違うから日本はおかしいという論調が強すぎるのは否めないけど、言ってることは論理的で至極全う。
海外、日本ともに事例がたくさん出てくるのもいいですな。
この人も書いてるけど、やっぱり村上さん逮捕は間違ってるよな〜。
日本の経営者にも株主に対する受託者責任の意識を持って欲しい。
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●目次
まえがき
1.三角合併アレルギー
2.価格を知らずに企業を売買
3.敵対的買収が成立しない
4.本物のM&Aへ
5.時間の整理
●筆者の主張
・日本のM&Aを点検すると「本当に日本は市場経済の国なのか」と疑問に思う。透明性が高く自由な市場は資本主義経済の要なのに。なぜ日本だけ三角合併禁止だったのか?と
・日本で、会社を株主のものと声高く言えないのは、「労働がコストでなく資源である」といった考えが、主流の日本では、株主のものと言い切りづらい。ただ、従来から株主を重視していた国(アメリカ)が、「株主ばかりを向いて経営できない」というならともかく、日本のような国で一般的になればどうなのだろうか?株主をないがしろにしたら、資本主義経済の土台がおかしくなる。
・AOLを筆頭に多くのM&Aの失敗があるが、M&Aにより富を創造した成功例も多い。グローバル時代にはM&Aは重要であり、普通の市場メカニズムが働くようにする必要がある。
・整理した時間を有効活用する。
●個人的感想
日本のM&Aマーケット、政府や受け入れ側の考え方、M&Aの方法論を批判。特に下記が印象に残った。
・日本では、M&Aの買収額を知らない。買収金額が開示されず合併比率だけが重視される。
・日本は持ち株会社大国である。アメリカでは、ファイヤーウォール等の事情で規制業種(金融、空港、電力)で見られるが。、一般的にはない。GEも持ち株会社ではなく、担当者がいうには、「持ち株会社だから事業ポートフォリオの組み換えが容易といった議論は理解に苦しむ。個人的には、持ち株会社が複雑で動きが遅く、組織的に優れているとは思えない。」といった意見もある。
・日本企業がM&Aで重視してきたのは、「四種の神器」(存続会社、社名、社長ポスト、本社所在地)である。
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H20.12.30
日本と欧米におけるM&Aの見方、考え方の違いをわかりやすく明示してくれている。
いかに日本の経営者、社会が株主を軽視しているか。 -
久しぶりに値段以上の価値を感じた本。
日本のM&Aの実態が解る良書です。M&Aに興味がある方は必読だと思う。
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07年秋ころ
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FACTA編集長のブログで推薦されていたので手に取った、元日経記者の本★三角合併に対して警戒感を露にした経団連は正しかったのか?という疑問はわかるが、筆者の書き方は、日本の経済が取り残されるという危機感を煽りすぎてる気がする。最近日経の記事の粗さが分るようになってきた。もう大人かも。
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「値段がないまま企業を買う」「わざと損をして持ち株を売る」-。そんな摩訶不思議がまかり通る日本のM&A。取材秘話を交えて、気鋭ジャーナリストが真実に迫る。
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今まで日経新聞などで書かれている買収・合併などの話について、漠然とイメージしていましたが、本書を読んでその裏に隠れた企業価値・株主利益などが具体的にイメージ出来るようになりました。株主至上主義的な捕らえ方での買収・合併・三角合併の意味が良く分かります。