株式市場は現在進行形: 相場局面の変化が読める
- 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版 (2008年5月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532353056
感想・レビュー・書評
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★市場に素直に向き合う★著者は中小型株の著名ファンドマネジャー。2か月に1度のウェブ連載を10年に渡りまとめた。企業分析の視点の優劣は私には判断がつかないが、資本市場に対する不正に対する憤りは鮮明で分かりやすい。既存株主を痛めつけるMSCBへの批難、上場している意味のない企業への退場勧告はその通り。
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マーケットで何度でも同じことが起こるのは何故だ???
と思っていたので、過去の経過を丁寧に解説してくれるこの本は非常に有益だった。
市場参加者はどんどん入れ替わっており、圧倒的多数は素人や若いプロなのだということを頭に叩き込むべし。
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近年の株式市場の現状を分析された本。ライブドアで話題になったMSCBを発行した企業がその後どのような末路をむかえたなど、話題のフォローアップもされており大変勉強になった。感想として、株式市場は日々試行錯誤しており、問題を抱えたまま取引されている。おいしい話にはくれぐれも注意したい。
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【本書概要】
本書は、アナリストの立場からインターネットバブルから福田内閣成立までの中小株の株式市場に対するその時々のコメントを一冊の本にした随筆形式の作品になっている。また、主張は一貫して、投資家側の目線で書かれている。
【本書内容】
本書の構成について考えていく。本書は七章構成でできており、各年代の特徴的な出来事ごとに分けられている。各章ごとには、さまざま時代において筆者が感じた取引所、証券会社、企業、経営者、投資家等の株式市場を取り巻くステークスホルダーに対するさまざまなメッセージが織り込まれている。また、これらの章を通して、本書は主に二つの主張によって貫かれている。一つは投資家の基本姿勢(安いときに会、高いときに売る)に対する警告、もうひとつは投資家を受け止める証券会社、企業、取引所に対する不安と警告、そして改善提案という部分である。
【評価】
全体として、エッセイ集ということもあり、大変読みやすい本となっており、株式投資初心者にとっては市場に対する見解を持つ入門書となっている。また、過去の株式市場の動きをリアルタイムに起こっているように感じることができるため、投資家にとってはこの後の株式投資においてよいマイルストーンとなる。そして、本書を読むことにより、株式投資に対して一般投資家ではないアナリストとしての立場の視点を垣間見ることができる。しかし、三点疑問が浮かんできた。一点目としては、読者層のぶれである。エッセイ集のためか、本としての読者が定まっていないように感じられる。ある部分では、個人投資家を読者のように記述し、また、ある部分ではファンドマネージャーが読者のように記述するなどさまざまな読者を想定している。本として出版する以上、読者をある程度絞って書いてくれれば、筆者、読者とも有益な情報を得ることがもっと効率的にできたのではないかと疑問に思う。二点目は、「長期投資」という記述に関してである。筆者は一章では「与党についていかず、野党に回れ」という記述をして長期投資の優位をほのめかしているのに対し、後半の章になるにつれて、「投資は期間を考えることが大切だ」という主張に変わっている。実際の株式市場が乱高下した時期の作品であるためこのような記述になったのだろうが、その点についてもっと明確なスタンスを出してくれればよかったと思う。
三点目は、初心者に読みやすい分、基礎を知らずに読むと怖いという部分である。本書はエッセイ形式ということもあり、大変読みやすい。しかし、筆者の個人的な見解を主に載せているためこれが株式市場だと思ってしまう危険がある。何かこの本以外にもファンダメンタルに関する本を一冊読むなどして、常に疑いの目を持ち、本書を読んでいかなければならないと思う。