マネー動乱―市場を破壊する激流

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  • 日本経済新聞出版社
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レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (241ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532353353

作品紹介・あらすじ

忍び寄るさらなる激震!誰がこの怪物を生み出したのか?「日経ビジネス」ベテラン記者が、金融国家アメリカの断末魔を活写。

感想・レビュー・書評

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  • 近代経済•金融史を学んでいる大学生などに読んでほしい。学校から勧められたような、歴史教科書の延長で学ぶよりもよっぽど理解できると思う。
    その他、経済に興味のある人なら誰にでもとっつきやすい内容である。

  • よく事実を調べ、きちんとしたフィルターがある
    今回の混乱(リーマン・ショック)の一面が少し垣間見えた

    P50激しい資本移動は100年前から
    今の株式、商品市場などに激震を起こす投資マネーへの怒りは
    60年前のケインズがすでに示していた。
    第二次世界大戦前の世界は
    すでに激しい資本移動の時代となっていた。

    P204 M&Aバブルも2008年途中から結局は沈静化していった
    欧米同様に日本でもM&A案件に
    銀行の融資がつきにくくなっていったから。
    世界でバブルを膨らませていったレバレッジ経済の
    変調ともいうべき変化。
    レバレッジ縮小は欧米から日本にも達し、
    不動産会社や投資ファンドを苦境に陥れている。

  • 『序章 マネーが世界を揺るがす』
    ・今,グローバル経済は,モノの生産とサービスで利潤を生み出すといった実物経済と,マネーがそれ自体で富を生み出す金融経済の二つの世界に分かれている.そして,「しっぽが頭を振り回す時代」になっている.
    ・金融経済の肥大化をもたらしたもと.
    ①先進国経済の成熟化で蓄積された富が増殖の機会を求めて金融,資本市場に大量に流入した.
    ②規制緩和,ITの進化で,大量のマネーが世界を瞬間的に移動できる.
    ・しかし,世界が投資マネーの動きに翻弄され,揺り動かされるようになったのは,最近の出来事ではなかった.そして,その巨大マネーを巧みに捉え,世界最強の金融帝国に成長したのが米国だった.次章以降では,なぜ,どのように,これからどうなるか,世界をどう変えるか,を見ていく.

    『第2章 液状化 米国中心システムが崩れだした』
    ・企業買収ファンドの経営者の見通し.米国の7割を占める個人消費の停滞→景気後退・成長率低下→ドル安→外国通貨高→外国からの輸入減→世界的な景気後退→優良企業の価値低下.
    ・家計の保有資産に占める有価証券は32%,不動産やその他実物資産が39%.米国は紛れもなく投資国家.
    ・AIGは住宅関連証券化商品へ,自己資本に匹敵する775億ドルを投資.同時にデリバティブを売ることで,自己資本の5倍を越える証券化商品の元利金を保証していたと言われる.

    『第3章 マネーの世紀 どん欲な資本移動が世界を変えた』

    『第4章 金融国家 マネー帝国・米国の始まりと終わり』
    ・ドル大幅切り下げの一方で,米国はもう一つ重要な手を打っていた.日本やドイツ,フランスなどに金融・資本市場の規制撤廃を迫っていたのだ.これは米国の金融投資・進出につながる.また,日本の機関投資家の米国投資への規制撤廃を図る.さらに,プラザ合意の結果,急速な円高が起こる.これが強い円による米国への投資を進めるバネとなった.86~89年の日本経常黒字の92%が米国へ投資され,米国の経常赤字の52%は日本によってファイナンスされることとなった.
    ・米国は基軸通貨の特権もしっかり行使している.対外資産は17兆ドル,対外債務は20兆ドルだが,債務のドル建て比率は90%で,資産の比率は約50%.このおかげで,赤字が膨れ上がり,債務がつみあがっても,大幅なドル安になるたびに一部が棒引きとなる.

    『第5章 証券化 カネ余りが拡大し,バブルを生んだ』
    ・証券化という仕組み自体,ある意味でバブルを生みやすい側面ももっているのだろう.たとえば,米国のローン会社は,ローンはすぐに転売するか,証券化することで早期に資金回収する仕組みをビジネスモデルにしている.

    『第6章 逆回転 崩壊するドルバブル』
    ・米国が,貿易による巨額の経常赤字を海外からの投資マネーの流入で賄っていることは,本書で記述した通りだ.その貿易赤字の中身は,新興国との取引によるものが全体の70%を占める.実はこれが大きかった.アジアや中東などの新興国の多くは,自国通貨をドルにリンクしている.そのため,米国の経常赤字が拡大し,ドルが売られて自国通貨が上がる局面になると,ドルを買い,自国通貨を売る為替介入をしてドルリンクを保たなければならなくなる.この結果,「経常赤字の大きさほどにドルが急落しなくなる.さらに介入で得たドルも運用のために米国債に投じられて,米国に還流する.」から赤字の埋め合わせにもなる.

    『第7章 崩落 マネーの激流が市場の常識を壊す』

    『第8章 さらなる危機 クレジットと新興国バブルの終焉』
    ・もともと,ローンという融資市場と証券市場は別のものだった.それを証券化技術を使うことで一体化したところにサブプライムローン問題の原点がある.
    ・2つの新興国.資源国と資源消費国の違い.資源国は,ロシア,ブラジル,オーストラリア,南アフリカ,産油国などで,資源消費国は,中国,インド,ASEAN,東欧.資源国は,資源価格高騰で潤って活きたので富の蓄積があり,内需型に近く,輸出が落ちても影響はない.資源消費国は,国内に工業を興し,輸出で外貨を稼ぐ先進国フォロワー.つまり,先進国フォロワーは,「これから世界景気が後退すれば,その影響を受けて,新興国の中では最初に影響率が落ちていく」.対して,資源国は「最後に影響を受けるのでは」.

    ----------以下感想----------

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著者プロフィール

日経ビジネス主任編集委員/日経トップリーダー主任編集委員1981年大学卒業後、全国紙を経て88年に日経マグロウヒル(現・日経BP社)入社。日経レストラン、日経ビジネス、日経ベンチャー、日経ネットトレーディングなどの編集部を経て2002年から日経ビジネス編集委員、13年から同誌主任編集委員。15年から日経トップリーダー主任編集委員を兼務。税・財政、年金、企業財務、企業会計、マクロ経済などが専門分野。著書に『マネー動乱』(日本経済新聞出版社)、『日本電産 永守重信、世界一への方程式』(日経BP社)など

「2017年 『経済ニュースの「なぜ?」を読み解く11の転換点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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