公開会社法を問う

  • 日本経済新聞出版社
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レビュー : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532354275

作品紹介・あらすじ

動き始めた法制論議の論点を網羅。誰のための新たなルールなのか?会社法、経済学、資本市場研究の精鋭による切れ味鋭い問題提起。

感想・レビュー・書評

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  • 企業活動に影響を与える法制度のあり方を認識するうえで非常に役に立った。以下メモ用に文章の一部抜粋。
    「経営者の活動に一番影響を及ぼしているのは、マーケットである。マーケットには製品市場、株式市場等がある。まず製品市場について、その企業が作っている製品が売れるかどうか。要するに消費者や取引先の反応がある。それゆえ消費者の利益や嗜好を考えなければ生き残れない。また金融市場で銀行が資金を貸してくれなければショートしてしまう。株式市場で株価が上がるように行動しないと、経営者が交代させられてしまう。そうした企業活動の背景にあるさまざまな市場において高い評価を受けれるように働くのが経営者だと考えられるので、市場インフラにプラスするものとして会社法などの法的インフラがあって、それが経営者の様々なインセンティブに影響を及ぼしている。要は法制度だけで経営者の行動を縛ることは出来ないということだ。」
    「経営者のインセンティブにどう働くのか、マーケットはどう反応するのかということ慎重に予測した上で、少しづつ慎重に法制度を変えてい必要がある。グローバルスタンダード化は、取引所ルールベースで進めたらどうか。」
    「監査役は代表取締役の善管注意義務を理由に株主の利益を損なわないように違法性モニタリングのみならず効率性モニタリングもあるという出張もある。」
    「企業経営者はステークホルダーの利害を調整する。それは様々なステークホルダーが経営者に対して自分たちの利益のべクトル方向にプレッシャをかけて、経営者はその方向に向けて経営を行なっている。ここで法制度が役立っている点は、株主だけに議決権を与えている点である。そうすることで法制度が株主が経営者に対してかけるプレッシャーのベクトルの長さを伸ばしている。つまり交渉力を補強しているということが言える。法制度はそのように影響を伸ばしていくものである。」
    「公開会社の動機付け交渉ルールは全部プルーラル・バイである。必ず経営者を交渉の窓口にする。利害関係者に対してバイラテラルの交渉をする。」
    「株主だけが議決権を持つ理由。一株主だけが真の残用財産請求者であるため。企業価値を上げるインセンティブを持つのは株主だけであるから。二株主は脆弱な立場にあるため。債権者は国家権力によって守られた存在であるが、株主にはそのよのような救済手段はないため。」
    「親子上場と完全子会社の相違ーオートノミー、株式市場により評価によるインセンティブ付与、資金調達手段、レピュテーション効果」

  • 公開会社法という題材を契機として、会社法のあり方を冷静に議論しており納得感が高い。

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著者プロフィール

宍戸 善一(一橋大学大学院法学研究科教授)

「2018年 『会社法の到達点と展望』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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