敗者のゲーム―金融危機を超えて<原著第5版>

制作 : 鹿毛 雄二 
  • 日本経済新聞出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532354398

感想・レビュー・書評

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  • 敗者のゲーム

    如何に勝ちに行くかではなく、如何に負けないかが投資では大事である、だからこそパッシブなインデックスファンドがベストな選択し。何故なら手数料が安く市場平均に落ち着くから。
    何故投資するのかに基づく運用方針を決め、マーケットのブレに惑わされず着々とやり続けるのが大事。

    ◯投資の鉄則は敗者にならないゲームをすること。
    ・勝者のゲームは得点を勝ち取るのに対し、敗者のゲームはミスにより得点を失う。
    ・敗者のゲームである投資の世界では、運用機関は市場に勝てない。手数料分考慮すると、ネガティヴサムゲーム。
    面白おかしくも無いパッシブのインデックスファンドに投資すべし

    ◯ミスターマーケット(日々の値動き)とミスターバリュー(企業収益と配当)
    ・株価は四半期に一度見れば十分、売り買い判断を年一以上していたら多すぎる

    ◯インデックスファンド
    ・運用報酬は年率0.2%以下
    ・1日ごとに見るとデタラメでも、長期で見れば予測可能なパターンに従っている
    ・最も重要な資産配分は、株式:債権=6:4(5年、8:2(10)、9:1(15年)
    ・資産運用において大事なのは収益率の管理ではなく、マーケットリスクの管理、収益率はリスク自体が生み出すもの。
    ・債権も変動するし、長期運用を考えるとインフレに弱い

    ◯運用基本方針
    ・112

    ◯株式投資のリターン計算
    ・基本的リターン: 企業収益の伸び率+配当率
    ・投機的リターン: PER(一株の価格/利益)の増減

    ◯インフレ調整後の長期平均年間収益率
    ・株式: 4.5%
    ・債権: 1.5%
    ・十年以上運用する資産は全て株式に投資
    ・2,3年以内は現金またはマネーマーケット資産

  • 【みきまるさん株式投資本オールタイムベスト2017年版第14位】

    著者のチャールズ・エリスは、資産運用を「敗者のゲーム」に例える。

    テニスを引き合いに出すとわかりやすい。
    プロのテニスプレーヤーは勝者のウイニングショットによって勝負が決まる
    「勝者のゲーム」だが、
    アマチュアのテニスは敗者のミスによって勝負が決まる「敗者のゲーム」であると。
    つまりマーケットでも、そこで勝ち残る秘訣は、
    競争相手よりも失点をできるだけ少なくしなければならないということだ。

    とはいえ多くのプロがプレーするマーケットでは勝つことは非常に困難であるから、
    マーケットを忠実に反映し、マーケットに負けることはあり得ない
    インデックス・ファンドへの投資を推奨する。

    「インデックス・ファンドは、面白くもおかしくもないが、とにかくワークする。」

    同じインデックス・ファンドへの投資を奨める
    マルキールの「ウォール街のランダムウォーカー」よりも格段に読みやすく、
    文章も洗練されている。
    ランダムウォーカーを読むくらいなら、本書の方が圧倒的にオススメだ。

    以下、大トロ部分の抜粋。

    「そもそも投資とはゼロ・サムゲーム以下の、
    全体としてはマイナスとなるネガティブサム・ゲームだということを強調しておきたい」

    「運用の歴史を見ると、市場が大底から回復する最初の一週間に、
    株式リターンのかなりの部分が獲得できることは明らかである」

    「投資家は、稲妻が輝く瞬間に市場に居合わせなければならないということだ。
    相場のタイミングにかける投資は間違っており、決して考えてはならない」

    「投資がエキサイティングになってきたら、何かが変だと思う必要がある。
    ほとんどの投資家にとって、面白そうに見えるものは無視する方が良い」
    →ビットコインバブル(2017〜)

    「投資で成功するうえでの最大の課題は、頭を使うことではなく、
    感情をコントロールすることである」

    「インデックス・ファンドの議論は英米・日本の大型株市場など
    最も効率的な市場でよりあてはまるものである」

    「言い換えれば、効率性の落ちる市場においては
    逆にアクティブ運用が勝てる可能性も出てくる」

    「普通株の短期保有は投資ではなく、投機でしかない」

    「長期のおいては株式のリスクは種々の投資商品の中で最も低いが、
    短期においては逆にリスクが最も高い」

    「投資家にとって、短期のマーケット・リスクに対する最適な対策とは、
    足元の価格変動を一切無視して長期投資家になりきることである」

    「運用における誤った行動は、ほとんどの場合、投資家自身の目的がはっきりせず、
    証券市場や投資そのものについての理解が不十分であることから引き起こされる」

    「株式相場の下落は、安く買うための第一歩」

    「投資家はミスター・マーケットのもたらす魅力的な株価のダンスを
    全く無視するべきなのだ」

    「高齢のパイロットや、向こう見ずなパイロットはいるが、
    向こう見ずなのに長生きしたパイロットはいない」

    個人投資家のための十戒

    1.貯蓄すること。そして貯蓄したものを、将来の幸せと安定、
    子供のために投資すること。

    2.相場の先行きに賭けてはいけない。もしも相場を見ながら売買をしようというなら、
    あなたはプロを相手にしていることを自覚すべきだ。

    5.商品取引は考えものだ。

    6.証券会社の担当の人に気をつけなさい。

    7.いわゆる新金融商品に投資してはならない。

    8.債券は、長期運用にとって真のリスクであるインフレに弱い。

    9.長期の投資目的と投資方針、資産計画を文書にして書き出し、
    それに沿って行動すること。

    10.直感を信じて投資してはいけない。

    「2008年の金融危機を引き起こした原因を考えるとき、『リスクは今やコントロール下にあり、今回は違うのだから心配しなくてよい』と多くの人が考えるようになったことが最大のリスク要因だったと言ってよいだろう」


    「2008年の金融危機は本当に悔しい。
    とはいえ、本書の基本的メッセージを改めて考え直してみたとき、
    ベンジャミン・グレアムとデビッド・ドットが古典的名著『証券分析』
    の中で指摘している、
    『長期投資家は、直近の経験から影響を受けすぎないように注意すべきだ』
    という思想に突き当たる」

    「世界最高の資産家の二人は、子供にはあまり残さないと決めている。
    ウォーレン・バフェットは言う。『子供に残す理想的な金額は、それでしたいと思うことをなんでもできる額であり、何もしなくてもよい、と思わせてはいけない』」
    「バフェットの友人、ビル・ゲイツも同意見だ。『私が財産を社会にお返しし、
    子供にはその一部しか残すべきでないと考える理由の一つは、
    それが子供たちにとってよいことだと思うからだ。
    彼らだって働きに出て、社会に貢献すべきなのだ。
    それが充実した人生を送る重要な要素だと思う』」
    →リバモアはこれができなかった。それが破滅につながった。

    ■終章 敗者のゲームに勝つために

    「アクティブ運用に勝つ唯一の方法は、他の投資家のミスに、
    相手よりも素早く乗じることである。投資とは敗者のゲームなのである」

    「幸いなことに、個人投資家はプロの投資家に勝つ必要はない。
    マーケットに勝たなくとも、投資に成功することはできる。
    マーケットに勝つことばかりに気を取られていては、
    自分自身に最適な長期投資を行うという、
    もっとも重要な目的がおろそかになってしまう」

    「投資は単純である。しかし、単純なことを実行するのが難しい」(バフェット)
    ※医学界において最先端を走る私の二人の友人は、医学におけるこれまでの最大の発見はペニシリンと、まめに手を洗うことだと言っている。優れたアドバイスは必ずしも複雑である必要はない。

    投資家としての責任を果たすうえで、必要な資質は次の三つである。

    ・自分自身の長期的な目的や利益を掘り下げて理解しようとする意欲。

    ・ミスター・マーケットの誘惑などを含めた、資本市場と投資に関する基本的な理解

    ・自分の投資目的に見合った投資政策を決定し、それを堅持する自己規律の精神である。

    これこそが本書の主張である。

  • 実はこの本を読むのは2回目です。最初に読んだのは10年以上前だと思いますが、将来に備えてお金の運用をまじめに考え始め、いろいろと勉強していく中でインデックス投資というのを知り、その一環で読んだものです。初心者にはいろいろな事例をあげて、いかにインデックス投資の方が優位にあるかということを書いていて、そういうものかと思いました。その後さらにいろいろな本を読んで改めてこの本を読んでみましたが、今読み返すともう少し具体的な数値データを示して説明されていればより説得力が増すのではないかと思いました。

  • ウォール街のランダム・ウォーカーと同じことが書いてある。ランダム・ウォーカーの方が事細かに書いてあるので、そのサマリー版のような感じ。基本方針は長期投資、これに尽きるなと思う。

  • 個人投資家が資産形成するためにどう行動すれば良いのか、というテーマを主題に書いてあります。インデックスファンドの有効性と資産配分の重要性を分かり易く説いています。これからは自分のことは自分で責任をとる時代です。こういった知識は必須となっていくと思います。興味関心を問わず若い世代の方は一読することをおススメします。

  • 投資は地味なゲームで、その勝敗を決するのは敗者のミスによる、との観点からパッシブ投資を勧めるインデックス派の教典。

    橘玲"臆病者のための株入門"や、藤沢数希"投資のプロはなぜサルに負けるのか"で示される考え方の源流です。

    同じくパッシブ運用の教典である、マルキール"ウォール街のランダムウォーカー"よりあっさりと読めます。

    本文より。

    ○投資は娯楽ではない。責任である。投資は本来「エキサイティング」なものでもない。むしろそれは原油の精製やクッキー、ICなどの製造工程のように、じっくりと腰を据えて取り組むべき作業である。投資がエキサイティングになってきたら、何かが変だと思う必要がある。ほとんどの投資家にとって、生還できることが成功の秘訣と言えるだろう。

    ○どのような投資家にも得意分野があり、また「冷静でいられる投資範囲」がある。この両者が交わる範囲でポジションを取るべきである。何が起きても、「冷静でいられる範囲」を逸脱してはならない。感情的になっては投資での成功はありえないからだ。

  • 実際的な手法と心得の両方が載っており,どちらもためになる稀な本だと思います。
    株式をものすごく押していたり,インフレの罠について説いていたりしますが,ずっとゼロ金利な日本では役に立たず。
    ただし,こういう考えがあるということを知っておくのは重要だと感じます。

  • 第一段階
    自分の長期運用目的の確認と達成のための資産配分の策定
    第二段階
    株式ポートフォリオの構成の決定
    第三段階
    アクティブ対パッシブ比率の決定
    ※パッシブがオススメ
    第四段階
    個別ファンドの選択
    ※ここに時間かけすぎ
    第五段階
    アクティブな運用

  • 投資は長期的な視点が大切。プロががんばっている世界では素人はそうそう勝てない。最近の株高につられそうになるが、冷静にね。そんな風に自分を覚ますためにはよかったなぁ。

  • 株取引において、負けるパターンと考え方を解説した本。バフェットの本と言ってることはそれほど変わらない。ランダムウォーカーを読んだ後ならわざわざ読むことはないと思う。復習のためなら○

著者プロフィール

ホワイトヘッド財団理事長
1937年生まれ。資産運用分野における世界的重鎮。エール大学卒業。ハーバード・ビジネススクールで最優秀MBA、ニューヨーク大学でPhD取得。1972年にグリニッジ・アソシエーツを設立。以後、30年にわたり代表パートナーとして、金融会社、投資銀行などの経営・マーケティング戦略に関する調査、コンサルティングで活躍。2001年6月、代表パートナーを退任。この間、全米公認証券アナリスト協会会長などを歴任。

「2018年 『投資の大原則[第2版]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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