「Gゼロ」後の世界: 主導国なき時代の勝者はだれか

  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532355227

作品紹介・あらすじ

アメリカ主導の体制が終わったいま、次に訪れるのは、米中のG2体制か、第二の冷戦の勃発か。そのとき日本は-。気鋭の政治学者が、ポストGゼロ時代の展開を予測する。

感想・レビュー・書評

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  • アメリカのパワーが相対的に弱まっていき、主導者なき時代がやってきた。筆者のイアン・ブレマーは、そのような状態を「Gゼロ」と表現し、その現状と問題点、そして予想される未来について論じる。

    自分がこの本を手にとったのが、2020年5月。初版の発行年は2012年。本書の内容の先見性には驚くばかりだった。

    例えば、Gゼロの世界では、感染症が発生しても情報は秘匿され、世界的な流感となってしまうだろうという見立て。

    2020年現在、covid-19が世界的に猛威を振るっている。中国の武漢から広がったとされるこの感染症。中国やWHOの初動には、Gゼロ的な欠陥を見いださずにはいられない。

    さらに米中の軋轢に関しても、この本が2012年の時点でかなり正確な予測を立てている。

    また、日本がどう見られているのかを再確認することもできる。少なくとも、イアン・ブレマーから見て、世界の中における日本の立ち位置について学ぶことができた。

    文量は250ページほど。決して分厚くは無い。それでも、読了までに1ヶ月かけてしまった。それほどに多くの情報量を含み、大変学びの多い一冊だった。

    参考文献や共同調査はあったにせよ、たった1人の研究者がここまで広範に世界の趨勢を説くとは…。あらゆる人々にオススメできる1冊。

    (詳細な引用と抜粋については、書評ブログの方を宜しくお願いします)
    https://www.everyday-book-reviews.com/entry/%E4%B8%BB%E5%B0%8E%E8%80%85%E3%81%AA%E3%81%8D%E6%99%82%E4%BB%A3%E3%81%AE%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%AE%E8%A1%8C%E3%81%8F%E6%9C%AB_G%E3%82%BC%E3%83%AD%E5%BE%8C%E3%81%AE%E4%B8%96%E7%95%8C_%E3%82%A4%E3%82%A2

  •  アメリカ一強の時代は終わり、今世紀の世界情勢は多極化する。そんなメッセージが本書から伝わってくる。著者はG7ならぬ、G0の時代、すなわち世界を主導する国家が、存在しない時代が到来すると予測する。その根拠を、各国の政治、経済事情をもとに分析する。興味深いことに、著者は今世紀の国際情勢において、ピボット国家が有利な立ち位置になると主張する。これは、一言でいうと、どの国家にも過度に依存することなく、多数の国々との利益関係を構築できる国を指す。昨今の情勢の場合、たとえば、インドのように、アメリカとロシアどちらか一方に肩入れするわけでなく、適切な距離をとって、自国の利益を確保する。このような国家が、多極化する世界情勢において重要である。その意味で、自国の資源を十分に持つ国、つまり実体経済が強い国は有利だと思われる。実際、著者によると、人口増加や工業化の進展に伴い、食糧生産、またその為に必要な水が一層重視される。このことから、今世紀は水源の確保が生死にかかわる、といっても過言ではない。本書は10年以上前に出版された本だが、近年の世界情勢、とりわけアメリカの動向に注目すると、あながち間違っていないかもしれない。

  • 国際的な関係について、アメリカの立場の変化を見ながら述べられている。

  • 今まさに社会で進んでいることと関係しているように感じた。
    国際社会や国際政治などに興味があれば、読んでいて面白いと思う。

  • 「気候変動」「テロ」「食料不足」といった国境なき問題に現在、世界は直面している。しかしながら、国家間の調整が出来るリーダー的存在

  • 8年前の本だが、ここでの内容がまさに現在進行形というか
    各国が互いに加速しあってる感じ。
    背に腹は代えられない状態まで世界が追い詰められた時、
    果たして現状は打破できるのか?それとも…

  • 著者のイアン・ブレマーさん、1970年生まれなのにかなりすごい人だ。
    知識、分析力はすばらしいが、アメリカが今後、リーダーシップを取り続けることができるかどうか、またできない場合はどのような可能性があるか、ということが話の軸となっている。
    中国とアジア諸国、ロシアの動向により左右される。

  • ・社会保障(アメリカの年金制度)、メディケア(高齢者医療保障制度)、メディケード(低所得者のための医療保障制度)といった福祉受給金制度(エンタイトルメント・プログラム)は、現在、アメリカの連邦予算の約40%を占めるまでに増大している
    ・中国は、外国企業を有益な提携先としてではなく、国内市場のシェアを争う競争相手として見るようになっている。そのため、外国企業には不利になるが、国内企業には有利に働くような投資上のルールや規制をつくりだそうとしている。要するに中国は、国家資本主義、つまり、国家が政治利益のために国内の市場活動を支配するシステムを採用しているのだ
    ・社会全体を再構成するような根本的改革、強力な国家同士の摩擦、世界でも最も不安定な地域での競争の激化、食料と水の不足、国家の中枢神経へ仕掛けられる破滅的なサイバー攻撃、こうしたもの一切が、協調的なリーダーシップが生まれるまたとない好機を損ねる恐怖を生み出す

  • なんか、難しい。

  • 2012年の本だけど、かなり読みが当たってると思う。
    去年のブレクジット、トランプ当選なんかの後もよくインタビューが出てるしかなり洞察力がすごいのは間違いない。
    この本の内容で言えば孤立に向かうアメリカと覇権を拡大する中国が冷戦2.0に突入しつつあるという所だろうか。
    あとブラジルがリーダーとるってのは残念ながら外れてるかな

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著者プロフィール

ユーラシア・グループのプレジデント及び創業者。
スタンフォード大学にて博士号(旧ソ連研究)、フーバー研究所ナショナル・フェロー。コロンビア大学、東西研究所、ローレンス・リバモア国立研究所を経て、ニューヨーク大学教授。現在はコロンビア大学国際公共政策大学院にて教鞭を執る。1998年、地政学リスク・コンサルティング会社、ユーラシア・グループをニューヨークに設立。毎年発表される「世界10大リスク」でも定評がある。 主な著書に『「Gゼロ」後の世界』『対立の世紀』がある。

「2022年 『危機の地政学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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