デフレーション: “日本の慢性病”の全貌を解明する
- 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版 (2013年1月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532355487
作品紹介・あらすじ
マネーサプライで日本のデフレ現象は解明できるのか?なぜ日本だけが?その「答え」が本書にある。
感想・レビュー・書評
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デフレ論争。
デフレ20年の記録。
リカードの貨幣数量説。
マーシャルはマネーサプライより、実物的な要因によって生み出される、とした。
M=kPy kはマーシャルのk。yが増大すれば、Mが変わらなければ、物価Pは減少する。しかし、yの増大にともなってMが増えれば、Pは減少しないはず。しかし、yが増大してMが変わらなければ、金利は上昇するはず。しかし実態はかわらなかった。これをギブソン・パラドックスという。
ケインズの時代は、Mが増大したが、Pは減少した。
ブラウン=オズガによると、交易条件によって物価水準がきまる。
貨幣数量説は正しいか。ミルトン・フリードマンなど。絶対価格の変化か相対価格の変化か。
テーラールール=金利水準を決定するルール。カーター大統領とボルガー議長の時代
マネーサプライだけでは、インフレデフレは制御できない。
ポール・クルーグマンモデル=金利がゼロ水準で流動性のわなに陥っている状態でも、現在のマネーサプライを増やせば、将来の物価上昇の期待を通じて、デフレを解消できる。
しかし、個人の集合を代表的な個人で代表することはできず、実社会では、異時点間の消費の代替の弾力性はないに等しい。
価格の決定の論理=社会的に正義にかなうか否か。フェアなことは通用する(仕方ないと社会が思う)が、アンフェアな価格付けは社会が拒否するので通用しない。
2部門アプローチ=一次産品は需要によって価格がきまるが、二次産品はコストによって価格が決まる。一次産品は、需要と供給によって価格が決定するが、二次産品は、価格は一定で、需要がない場合は供給が減ることで調整が完了する。
日本だけがデフレだったのは、賃金の下落があったから。雇用が賃金か、と選択を迫られたときに雇用をとった。
賃金は非伸縮性が高いが、非正規雇用の増加によって、全体として伸縮性が実現した。
貨幣数量説の弱点は、均衡点と均衡点を比較すれば成立するが
その過程を説明できないこと
目の前でデフレが進行している時、インフレ期待は生じないだろう。しかし、合理的個人、で代表させて説明しようとする合理的期待モデルでは、経済主体が合理的であれば、変数をいじることで、インフレ期待が生じることになる。-
2022/09/08
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失われた20年のデフレの原因は、マネーサプライの減少でも労働人口の減少でも説明がつかない。名目賃金の減少こそが原因という。経済学のあり方にも批判。ミクロを積み上げてもマクロにはならない。
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日本のデフレの原因は名目賃金の低下、つまり労働分配率の下げすぎが主因。非正規雇用の増加だけでなく、賃金におけるボーナスという仕組みも一因。
賃金支払いのしくみとして考えたときに、ボーナスって大きかったんだということを、再認識させられました。 -
<内容>
筆者は日本経済が金融政策の失敗によるデフレではなく、20年間に渡るイノベーションの不在であると説明する。クルーグマンの主張するような非伝統的金融緩和は説得力のないものとしてリフレ派を否定している。
<感想>
リフレ派が根拠としているミクロ基礎的マクロ思想?(ミクロ経済的基礎からマクロ経済を説明する)が否定されているが、これはゾンビ経済学の本でも同様の説明がなされていた。本書の特徴はデフレ論における先行研究を丁寧にレクチャーした上で分析して、イノベーションというオリジナリティを主張している点だろう。もっとも、イノベーションをどうするのか…?という点が難しいのだが。 -
よほど腹に据えかねているんでしょうねえ。
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文字が大きいので、それほど分量はないのですが、読むのに時間がかかってしまいました。
内容は、結構わかりやすかったです。デフレの原因もなんとなく納得できました。 モデル式の詳細は読み飛ばしましたが。
ただ、デフレ対策について、何らかの指摘があるのかと思って読んだのですが、それについては「イノベーション」という結論だったので、がっかりしました。
しかし、タイトルを見かえせば、「全貌を解明する」本であって、デフレ克服の示唆を示す本ではなかったですね。 -
リプレーション政策の批判がメイン。ただ、それをとても細かく説明してあり、また、文体が軽いので読みやすい。ただ、リフレの是非はこの本を読んでもよくわからない部分がある。言っていることと実際に起きていることが違うから。あと、後半のリアルビジネスサイクルに対する批判はデフレとは関係ない気がする。