解剖 アベノミクス

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  • 日本経済新聞出版社
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レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532355630

作品紹介・あらすじ

「三本の矢」は日本を救えるか?異次元緩和の効果と副作用は?リフレ派きっての論客が集中講義。

感想・レビュー・書評

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  • アベノミクスの効果や副作用など。本書を読む前に、マクロ経済学の基礎の本を読んでアベノミクスの仕組みをよく理解しておくといいと思います。

  • も少し分かりやすい本かと思ったけど・・・
    引用が多すぎて読みづらかった。

  • リフレ派経済学者。アベノミクスを肯定的に解説している。前半の経済学の解説は分かり易い。

  • いわゆる"リフレ派"の論客であり、10年以上に渡り提言を続けてきた経済学者が、昨今の「アベノミクス」と呼ばれる経済政策パッケージについて解説し、見解を述べる本です。

    経済政策の基本的なポイントを軸に、丁寧な説明がなされていますので、個々の政策についての理解を深めるには良い本です。

    もっとも、一連の「アベノミクス」は"リフレ派"が主導して実現された政策ですので、本書の内容は、「アベノミクス」について概ね肯定的なトーンとなっています。

    私見ですが、「アベノミクス」の賛否を問う際の最大の論点は、長期金利上昇および国債価格下落のリスクと思います。
    本書では「第2章②長期金利は上がるか(P.79~)」および「国債金利は急上昇するのか(P.113~)」において議論されており、「上がるかもしれないが、上がったとしても影響は軽微。また急上昇する見込みは薄い」という結論となっています。

    以下にその理由をまとめてみました。

    1)短期の場合のフィッシャー方程式の解釈は、「実質金利=名目金利-予想物価上昇率」が成り立つため、名目金利は予想物価上昇率が上がっても、その分だけ上がるわけではない。
    2)日銀の見方によれば、2%程度の上昇では、金融システム全体には問題がなさそうである。
    3)インフレ・ヘッジをするための方法はいくつか存在する
    4)大不況や昭和恐慌といった過去のデフレ不況の経験からすれば、名目金利が急上昇することはないといえる。ただし現在においても同じようにあてはまるかどうかはわからない。議論の分かれるとことである。

    上記2)や4)は、「絶対にない」と断言してはいないため、主張として弱いとみることもできますが、このような姿勢であるからこそ、私は著者の議論は信頼に足ると思います。

    ただし引っかかった点は上記1)の「実質金利=名目金利-予想物価上昇率」が成り立つ、という前提です。これが成り立たなければ、インフレ期待を引き起こせたとしても、実質金利に影響が出ず、リフレ派の言う好循環は起こらないものと考えます。より深く突っ込んだ解説をあたる必要がありそうです。

    (2015/10/03)

  • リフレを支持する立場で、アベノミクスの解説をしています。
    感情論に流されない良書だと思います。

    レベル的には、日常的に経済ニュースに親しんでいる方にとっては物足りないかもしれませんが、かといって経済学の知識が全く無い方にとっては、ところどころわからない経済用語が出てきて難しく感じるかもしれません。

    リフレに関する解説はそれほど難しくありません。わかりやすく、リズムよく読み進められると思います。

    個人的には、成長戦略に関する記述のいくつかから、未来への希望を感じることができました。ぜひ3本目の矢を効果的に放って欲しいと思います。

    リスクを取ることが報われる時代……近い将来、ぜひ、そうなってもらいたいものです。政治任せでなく、国民一人一人の意識と行動で、日本の元気が取り戻せるといいですね。

  • 本書は、リフレ派の経済学者である筆者による、学術的視点からのアベノミクス肯定論とその課題をまとめたもの。

    【経済政策の3つの目標】
    ① 経済成長:余力を上げる
    ※オークンの法則:経済成長が高い方が、失業率が低い
    ※イースタリンの逆説:一定の所得水準を超えると幸福度とGDPには相関関係がない
    ※失業者の方が幸福度が低い
     ⇒政策トレンド:規制緩和、民営化、競争開放政策(規制、国営、産業政策路線は概ねうまくいかない)

    ② 景気安定化:不況からできる限り速やかに脱出すること、行き過ぎた好況を是正すること
    ⇒政策トレンド:財政政策から金融政策へ
     ※マンデル=フレミング効果:資本移動の自由&変動相場制の世界では、金融政策は有効だが財政政策は無効

    ③ 所得再分配:貧困の解消(最低限の所得保障)と格差の是正
     ⇒政策トレンド:各国によって異なるが、教育の重視は共通

    【アベノミクス】
    ① 第一の矢:大胆な金融緩和+2%のインフレ目標(デフレ脱却のリフレーション政策)
    ・ 過去10年の実質GDP成長率は、他の先進国に見劣りするが、人口一人当たりではほぼ同程度、生産年齢人口一人当たりの実質GDP成長率は、日本が最も高い
    ・ 貨幣数量理論:貨幣の総供給量↑⇒貨幣の価値↓&財・サービスの価値↑。現在の物価水準は現在の名目貨幣供給量のみならず、将来の貨幣供給プロセスにも左右される。
    ・ 流動性の罠(クルーグマン):デフレ⇒名目金利ゼロ⇒実質利子率(資本コスト)<自然利子率(資本の期待収益率)⇒マネーへの超過需要⇒金融緩和は景気に対して効果なく、インフレ目標が有用。その補助手段として財政政策(具体的には投資減税)が有用。
    ・ フィリップス曲線:縦軸に物価上昇率、横軸に失業率⇒日本はきれいな右肩下がり(⇘)。これに対して生産性が低下した結果、賃金が低下し失業率が上昇したとする考えも。
    ・ リフレ政策の批判に対して
    1)長期金利が上がる
      ※ フィッシャー方程式:名目金利=実質金利+予想物価上昇率⇒予想インフレ率が上昇すれば、実質金利は低下する
    2)賃金が上がらない
      ※ 物価と賃金には正の相関関係があるが、因果関係は判別しがたい
    3)資金需要がないので投資は増えない
      ※ 開業率と景気循環に連動。また、実質金利が低下すれば、インセンティブになる。
    4)通貨安競争(通貨戦争)が起きる
      ※ 為替介入ではなく、金融緩和による通貨戦争は好ましい(量的緩和⇒デフレ解消⇒資産価格↑⇒景気回復が早まる)。1930年代の大恐慌の解決策の一つは、競争的な通貨の切り下げであった( アイケングリーン)

    ②第二の矢:機動的な財政運営(13兆1千億円の緊急経済対策)
     ※ 財政政策の目的:①資源配分機能:公共財の供給、②所得再分配機能、③景気安定機能
     ※ 財政再建は支出削減7割、増税3割ならば成功し、好況になる
     ※ クルーグマン、サマーズ:ケインズ効果は大きい。名目金利ゼロに近づいた時、裁量的財政政策のもつ乗数効果は大きくなる
     ※ 日本の場合、公共事業の乗数効果は90年代以降低下しており、1に近づいている。環境等への投資・減税は景気浮揚効果を高める可能性(飯田泰之)
     ※ 財政再建に必要なのは、①名目GDPを増やす、②社会保障関係予算を制御すること
     ※  政治的には「上げ潮派」(デフレ脱却を重視)、「増税による財政再建派」(現状を長期均衡とみなす)
     ※ 長期の税収弾性値は1.1(経済成長率1%↑⇒税収1.1%↑)
     ※ ドーマー条件(国債発行が国債残高比率を発散させない条件):長期国債名目利子率<名目GDPの成長率 ⇒ 名目成長率4%以上の場合、ドーマー条件の成立可能性が高い

    ③第三の矢:成長戦略
     ※ ルーカス:経済成長は「奇跡」
     ※ 経済学の知見:
    (1) 経済成長にイノベーションは不可欠。ただしイノベーションは難しい
    ※ 成長会計:労働投入の成長率への寄与度は小さくなっているが、全要素生産性(イノベーション)が成長に大きな役割
    ※ イノベーションは、予測不可能、不確実性、偶然の要素に左右され、試行錯誤によってしか生み出されない
    (2) 産業政策(ターゲットポリシー)の効果は疑わしい
    ※ かつてですら日本経済の発展に産業政策は寄与しなかった(三輪・ラムザイヤー)
    ※ むしろ、従来の日本型政策モデルが最もよく当てはまるのは日本の失敗産業である(竹内弘高)
    ※ 中小企業保護は効果なし。ベンチャー・キャピタルは考えられるが、必ずしも政府金融で支援する必要はない。
    (3) 望ましい政策は、「人事を尽くして天命を待つこと」
    ※ 成長政策の4+5要素:①(知的)所有権の保護、②金融の発展、③教育のある労働力、④マクロ経済の安定性、(先進国の場合さらに)⑤市場競争と参入、⑥高等教育、⑦株式市場を通じた資金調達、⑧民主主義、⑨分権化された企業組織
    ※ オーツの分権化定理:便益が費用を上回るかどうかの選択をその地方に住む人に委ねるならば公共財の配分はより効率的になりえる(分権化の利点)
    ※ TPPの要点は、市場の拡大と市場のインフラ作り(加盟国の関税の原則撤廃、各国共通の広範なルール作り)

    【アベノミクスの課題】
    1) 所得再分配への配慮
     ①生活保護:個々人の生活水準を基準とした「個人再分配」と子供の貧困対策
     ②教育政策:就学時前(3~5歳)児童教育の無償化、3歳までの保育所の充実
    2) 第一の矢:インフレ目標で十分か-名目GDP成長率目標の設定を
    3) 第二の矢:消費増税と国土強靭化-公共事業の政策効果と現在のインフラを維持することの吟味を
    4) 第三の矢:政策イノベーションを導入できるか-内外の規制を比較する国際先端テストを
    5) 政治リスク:4つの思想グループの「同床異夢」-①リフレ派、②財政拡張派、③産業政策派、④増税財政再建派

  • 配置場所:摂枚普通図書
    請求記号:332.107||W
    資料ID:95130490

  • 第一の矢は評価できる。他の矢には不安や曖昧な点が残るが、きちんと機能すれば、政策パッケージとしては真っ当である。

    理論、データ、国際比較、歴史との比較で論じられますが、おおもとがわかってないので、なかなか理解には至りませんでした。現実はそれだけ難しいともいえるでしょうけど。

  • 風邪のせいかよく分からないところも多かった気がする。ただたんに自分がこういう経済学の分野に詳しくないだけかもしれないけど。
    最近は株価や円が乱高下してる日本経済だけどこれからはどうなるだろうか

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著者プロフィール

若田部 昌澄
早稲田大学政治経済学術院教授.早稲田大学大学院経済学研究科,トロント大学経済学大学院博士課程満期退学.著書に『経済学者たちの闘い』(東洋経済新報社)『危機の経済政策』(日本評論社)などがある.監訳書にマーク・ブライス『「緊縮」という病』(NTT出版)などがある.

「2018年 『ルールなき省察』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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