量的・質的金融緩和 政策の効果とリスクを検証する

  • 日本経済新聞出版社
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532356002

感想・レビュー・書評

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  • 浅学の自分にとっては、金融緩和がどういった影響を持つものなのかイメージがつかめる本でした。

  • ある有名な通販サイトの本書の書評に、まったく本書の内容に触れずただ一言「代案も示さないでQQEを批判するのはおかしい」というものがあった。世の中にはどうやら「検証」の対象とされただけで批判されたような気分になる何やら後ろ暗い心持ちの方がおられるようだが、確かにQQEは他の伝統的な金融政策が全て奏効しなかった後のlast refugeなので、議論は代案がどうのというレベルにはもはやない(残されたオプションはもうマイナス金利くらい。「マイナス金利を批判するなら代案を示せ」などと言える市井人がどれほどいるのか見ものではある)。ただ副作用のほうが効果より大きいと判ったら直ぐに止めなければならない程の劇薬なので、心電図と脳波は常にチェックしておく必要がある。次にQQEは「異次元」の呼び名に違わず史上初めての試みなので、誰もその長期的な効用を経験していない。だとすれば政策の遂行と同時平行する形で各方面からのフィードバックを定量的に検証する、いわば「走りながら自分の体をモニタリングする」本書のような試みは当然なされるべきだ。

    本書の特徴はQQEの長期金利と資産価格への効果の検証を回帰分析的手法が多く用いられている点。例えば、長期金利低下策を①短期金利低下と②タームプレミアムの低下に分解し、それぞれのパーツに対するQQEの効果を分析する第2章では、②によるポートフォリオリバランスにより株式等の資産価格上昇は顕著に見られる一方、金利に関するフォワードガイダンスがないため①が発現せず、市中銀行の貸出は殆ど増加していないことがデータマイニングを用いて示されている。実体経済とは関係の薄い「資産バブル」が強く連想される結果だが、次章ではさらに同様の分析により長期金利低下策自体もこれを奇貨とする財政サイドの長期国債発行増加により効果が弱められている可能性を指摘している。後半は統計的手法はやや影を潜めるが、用いられているデータに我田引水的なところは少なく信頼がおける。

    最後の新興国への影響の分析が踏み込み不足の感はあるが、全般的には読み応えあり。QQEが成功裡に終わるか否かに関わらず、著者グループには今後も継続してこのような形での検証結果の公表を期待したい。

  • 338.3||Iw

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著者プロフィール

日本経済研究センター理事長
1946年生まれ。70年東京大学教養学部卒業、経済企画庁入庁。西ドイツ留学、OECD出向、経済企画庁経済研究所主任研究員、東京大学教養学部教授、日本銀行副総裁などを歴任。

「2021年 『カーボンニュートラルの経済学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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