税で日本はよみがえる: 成長力を高める改革

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532356330

作品紹介・あらすじ

税制は国の未来を劇的に変える!改革すべきは法人税だけではない。個人の自立を促し、女性が働きやすい税制、資産・所得格差の縮小、マイナンバー制度の活用など、グローバル化、少子高齢化に対応し、経済成長を支える税制のあり方を、世界の先進事例、戦後の歴史を踏まえ、税の第一人者が明快に論じる。

感想・レビュー・書評

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  • これからの日本を考える上でトピックはやはり税。主張はシンプルで「我が国も税制を変えることで、経済や社会をよみがえらせることができる」(P.6)。

    具体的には「所得控除を減らして課税ベースを広げる。所得税を下げ、イメージ程には逆進性の高くない消費税を上げる。雇用と創業の意欲を高めるために国際的にも高い法人税を下げる。低所得者層への給付の充実。高所得者の所得を捕捉するために資産課税と相続税を強化。これらを実現する上でマイナンバーの有効活用は必須」。

    「課税ベースを広げる(課税対象者を増やす)上に消費税増税、法人税減税。出た、財務省(著者はOB)の弱者いじめ。しかもマイナンバーで国民背番号支配。ありえない」という結論は、本書を読む限り早計だと思う。実際、著者の主張は一貫して社会的弱者への就労機会の提供を通じた格差の縮小にある。

    所得控除ではなく税額控除、課税ベースの拡大、の一番分かりやすい例は配偶者控除や生活保護だろう。一定の所得を超えて働いてしまうと急に課税されて手取りが減ってしまうため、労働時間を調整している人は多い。これは弱者が働くインセンティブを奪い、貧困からの脱却を難しくしている上に社会保障額が膨らみ納税者の不公平感を高めている。

    税額控除は「税金は取るがその額を減らす、控除を使いきれないなら給付する」ことで、切れ目なく「働いた分だけ所得が増える」仕組みを構築する。そのためには一旦全員から税を取る(課税ベースを広げる)必要がある。税と社会保障の一体改革の重要性。

    おそらくここに書かれていることは日経新聞を日常的に読む程度の関心があれば聞いたことのある話ばかり。実際、OECD諸国を中心に社会実験的としてもほぼ答えが出ているようで、明快な統計が根拠として本書にも収められている。ここでやり遂げなかったら日本は本当に途上国になる(格差社会が回復困難なまでに進行する)だろう。あとは、「『希望の増税』にしていく努力」(P.324)が我々に達成可能かどうか。

    この誠実な本の主張が少しでもいきわたればよいのだが・・・

  • 「諸外国の法人税改革」「国際課税逃れ」「配偶者控除」「マイナンバー」について手軽に勉強することが出来る。つまみ読みも可能。

    社会保障を充実させたいのか、格差を小さくしたいのか、今検討されている案以外に有効な策があるのか。

  • 345.1||Mo

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著者プロフィール

東京財団政策研究所研究主幹、中央大学法科大学院特任教授。(一社)ジャパン・タックス・インスティチュート代表理事、法学博士(租税法)
1950年広島生まれ、73年京都大学法学部卒業、大蔵省入省。証券局調査室長、主税局調査課長、税制第2課長、主税局総務課長、東京税関長、財務総合政策研究所長などを歴任。中央大学法科大学院教授などをへて現職。

「2019年 『デジタル経済と税』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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