宇沢弘文の経済学 社会的共通資本の論理

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  • 日本経済新聞出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532356354

感想・レビュー・書評

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  • 経済学者の権威である宇沢弘文氏が自身の提唱する社会的共通資本について自身の出自とともに書かれた一冊。

    経済学に傾倒していくなかで影響を受けたアダム・スミスやジョン・スチュアート・ミルやソースティン・ヴェブレンなどの話から社会的共通資本について概略や環境面、学校教育や医療などの各項目についてまで氏の考えがふんだんに書かれており、非常に勉強になりました。
    人々の生活基盤を構築し、基本的人権を尊重すべく公平に普及されなければならない社会的共通資本に対する氏の危惧する思いが本書の随所から伝わってきました。
    特に自動車に関する見解は交通手段として欠かせないものとなっている現在において深く考えさせられるものでした。

    また、学校教育の私立学校の理論は今まで考えてこなかった部分だったり、景観についての理論も勉強になりました。

    誰もが公平に社会的共通資本が提供するものを享受できることが理想であり、そのなかで供給側がきちんとその質にあった利益を享受できる関係が理想であり、そのなかで環境に配慮した取り組みを行っていくべきであるということが大事であると読んで感じました。
    21世紀で文明が発達するにつれて自分たちが立ち返るべきことを経済学の観点から書かれた一冊だと感じました。

  • 181208 中央図書館

  • 人類の歴史を振り返ってみるに、所謂、産業革命以後の経済活動以前から、大なり小なり商業資本主義の活動は営々と継続されてきたわけである。その中で、金融も経済活動の潤滑油として機能してきた。

    そして、そのような経済活動はその民族の歴史・文化・自然条件・立地条件、宗教などなど、先人が培ってきた様々な制度を遵守しながら継続してきたわけである。

    とりわけ、宇沢先生の提唱する社会的共通資本については、経済活動における「聖域」として、みんなで守り育ててきたものなのだろう。

    都市におけるみんなが利用する社会的インフラも自然社会におけるコモンズ、入会権のように都市システムに参画する多様なステークホルダーで管理するようなことになっている。

    いずれにしても、社会的共通資本を守り育てていくには、フィデュシアリー(fiduciary)という価値観を有することが根底になければならない。

    この価値観については、岩井克人も「資本主義から市民主義へ」という著作で力説している。

    宇沢弘文、岩井克人、日本の経済学の権威が言う『フィデュシアリー(fiduciary)』、日本人の根底に脈々と流れる価値観のはずなのですが・・・

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784532356354

  • 【書誌情報】 
     定価(本体2,500円 +税) 
     四六判 310 ページ 
     ISBN:978-4-532-35635-4 
     2015年3月16日発売予定

    “宇沢弘文の出発点は、社会的弱者への思いだった―。「自動車の社会的費用」「ヴェブレン論」「地球温暖化問題」などの幅広い論考を、到達点である社会的共通資本に即して総括したウザワ・ワールド凝縮の一冊。”
    http://www.nikkeibook.com/book_detail/35635/


    【目次】
     第I部 リベラリズムの経済学と社会的共通資本
    第1章 アダム・スミスからジョン・スチュアート・ミルへ
    第2章 ジョン・スチュアート・ミルと木村健康先生
    第3章 ソースティン・ヴェブレン
    第4章 制度主義の考え方
    第5章 社会的共通資本の考え方

     第II部 自動車の社会的費用と社会的共通資本
    第6章 自動車の社会的費用
    第7章 水俣病問題とむつ小川原の悲劇
    第8章 「コモンズの悲劇」論争

     第III部 自然・都市・制度資本
    第9章 コモンズと都市
    第10章 地球温暖化の経済分析
    第11章 社会的共通資本としての学校教育
    第12章 社会的共通資本としての医療
    第13章 社会的共通資本としての金融制度
    第14章 社会的共通資本としての都市

    解説――凝縮されたウザワ・ワールド(小島寛之)

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著者プロフィール

元東京大学名誉教授
1928年生まれ。51年東京大学理学部数学科卒業、56年スタンフォード大学経済学部研究員、58年同助手、59年同助教授、60年カリフォルニア大学バークレー校経済学部助教授、61年スタンフォード大学経済学部準教授、64年シカゴ大学経済学部教授、68年東京大学経済学部助教授、69年同教授、89年東京大学を定年退官、新潟大学経済学部教授、中央大学経済学部教授、同志社大学社会的共通資本研究センター所長などを経て、2014年死去

「2017年 『経済と人間の旅』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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