生命・人間・経済学 科学者の疑義

  • 日本経済新聞出版社
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レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532357214

作品紹介・あらすじ

「経済学にとって生と死とは」「ガルブレイスは、釘の打ち方も鉋の使い方も知らない大工」「経済学者があいまいにしている問題を論理的に突き詰めている点でフリードマンの知的姿勢は評価できる」「胎児には人権があるのか」――。
経済性優先、科学と人間、人間性、国家の役割、科学と社会、弱者、新しい科学に我々はどう臨めば良いのか? 経済学の権威と生命科学の権威が経済社会の問題点を縦横無尽に語り合った幻の対談『科学者の疑義--生命科学と経済学の対話』(1977年、朝日出版社刊)を復刻します。
格差、高齢化社会、ビッグデータ、遺伝子組み換えなど、21世紀の日本人が直面している問題をいち早く指摘し、警鐘を鳴らしています。40年前に刊行された書ですが問題意識は新鮮で、議論の内容は全く古びていません。
対談の基本構造は、渡辺氏が聞き手、問題提起者となっています。素朴な問いかけに宇沢氏が悩みながらていねいに答えることによって、宇沢氏の既刊書とは違う発見があります。

感想・レビュー・書評

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  • これが40年前の対談とは思えない

  • (宇沢)現実には経済理論からいわば一つの思想が生まれていって、その思想が実際の政策の方向づけをしていくのですが、問題はいま近代経済学からその思想のところが欠落していることで、しかも理論そのものにも大きな欠陥がある。そういう現状で経済学者が政策的な提言をすることが果たして可能であるかという疑問をもたざるをえません。
     経済学はいまの経済社会の、さまざまな矛盾を生み出しているメカニズムを正当化するような理論体系をつくり、その理論体系を使って現在のメカニズムが望ましいものであることが証明されたと主張しようとしている。一種のトートロジーですよ。最初に渡辺さんから出された経済学に対する不信感というのは、おそらくそういうところに根ざしているのではないでしょうか。(pp.65-66)

    (渡辺)道義的とか人間的とか言うのは、極論すれば実は社会的便宜性じゃないのかな。それによって社会が安定するといった意味での便宜性。だから経済的な効率性とある程度似た問題だろうと思うんですよ。それは生物本来の性質ではなくて、社会生活のなかで半強制的につくられたものじゃないかと思う。(p.129)

    (宇沢)「科学」という言葉が、自然科学のほうで言うときと社会科学のほうで言うときとで、違った意味にとられていますね。「科学的社会主義」なんて言い方に表れているのですが、往々にして「科学」というのは本質から人びとの目をそらす面を持っていたと思うのです。(p.216)

    (宇沢)結局GNP主義というのは、コストがかかればかかるほど、いい生活をしてるような幻想をみんなに与えてきたわけですね。それは単なるイリュージョンではなくて、実際に産業に対する需要になっていたわけですが。それに対しても費用はかからなくて、しかも文化的に豊かな生活を営めるような社会が望ましいという自明なことを再確認しておきたいと思います。(p.256)

  • 請求記号 404/U 99

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著者プロフィール

元東京大学名誉教授
1928年生まれ。51年東京大学理学部数学科卒業、56年スタンフォード大学経済学部研究員、58年同助手、59年同助教授、60年カリフォルニア大学バークレー校経済学部助教授、61年スタンフォード大学経済学部準教授、64年シカゴ大学経済学部教授、68年東京大学経済学部助教授、69年同教授、89年東京大学を定年退官、新潟大学経済学部教授、中央大学経済学部教授、同志社大学社会的共通資本研究センター所長などを経て、2014年死去

「2017年 『経済と人間の旅』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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