良き社会のための経済学

  • 日本経済新聞出版
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (616ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532357825

作品紹介・あらすじ

★ノーベル経済学賞が複数受賞可能なら何本受賞してもおかしくない、質量とも世界最高峰の業績を誇るティロール先生が、初めて一般向けに書き下ろした経済書! 良い社会をつくるために経済学はどう役立つのか、現実感覚に富んだスーパー経済学者が万人向けにわかりやすく解説します。

★なぜ、経済学が社会の問題を解決するのに活用できるのか、というそもそも論から、社会の制度、環境や雇用・失業、金融危機などのマクロ的な経済問題、競争政策や産業政策、イノベーション、規制など、幅広いテーマを取り上げます。ティロール先生がこれまで積み重ねてきた知見が凝縮されている本であり、自らの学者としての生活を交え、一般の読者向けに解説します。数式は一切なく、経済学を知らない人でも読みこなせる。質が高く、広く長く読まれる良書です。

★ティロール経済学の特色は、完全市場や完全情報などを前提とする従来の経済学とは異なり、不完全市場や経済的インセンティブだけで人は動かないなど、より現実的な前提をおいて、企業や個人、政府の行動を説明し、望ましい行動を促すための制度設計を提案する点にあります。「現実に使える経済学」「社会を良くするための経済学」です。

★ジャン・ティロール教授は2014年ノーベル経済学賞を受賞した、「スターの中のスター」といわれる「知の巨人」。ゲーム理論を応用した産業組織論、金融論、バブル論など、広範なフィールドにわたってきわめて優れた研究を相次いで発表。ノーベル経済学賞は「市場支配力と規制」に関するテーマで受賞したが、他の分野での受賞も取り沙汰されたほど研究領域は多岐にわたります。また、優れた理論家であると同時に現実感覚に秀でた研究者と評されています。

柳川範之・東京大学教授推薦。北村行伸・一橋大学経済研究所教授が解説を執筆。

感想・レビュー・書評

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  • いろいろな社会課題を解決するための手法について検討されている。

  • フランス視点を交えながら今時の経済学が学べる。
    大著でボリュームが大きくサクッと読むというわけにはいかない内容。
    部分的に興味のある分野をかいつまんで読みたいところ。

  • 広範囲にわたる経済政策のトピックについて、経済学者はどう考えるのかを論じた対策で、読みごたえがある。フランス国内向けに書かれたのか、金融危機を除いてフランスの国内制度についての論考が大半だが、制度そのものというより、問題へのアプローチに主眼があるので、参考にはなる。ただ、一般向けの著作ということになっているが、この大部はちょっと厳しい気がする。すごくやる気のある学部生むけ?

  • ●デジタル経済
    無人の自動運転車の前に小さなボールが転がってきたとしよう。このボール自体は、自動車にとっては何ら危険ではない。したがって、急ブレーキをかける理由は無い。何か人間が運転していたら、小さなボールのすぐ後から小さな子供が飛び出してくると予想して、急ブレーキをかけるだろう。

  • 強く興味を惹かれた1〜5章のみ読んだ。
    ノーベル経済学賞を受賞した大家による、一般向けの大著。

    経済学者の仕事に興味があり、そのテーマに関連の深いところだけを読んだが、経済学がどういう学問か、経済学者に何が求められているか、わかりやすく書かれていた。
    「経済学者がどんなふうに仕事をしているか」について書かれた本はそう多くないと思うので、そういった点でも面白い本。

    ・経済学者に求められるのは政策提言。
    ・経済学は変貌しつつある。今後さらに進歩するためには、他の社会科学や人文科学との再統合を進める必要がある。
    ・我々が十分に賢くないが故に、経済学者は数学を用いる。
    ・経済学者にできるのは、現時点での知識でわかっていることを述べるだけで、ある選択肢が他よりマシだというのがせいぜい。
    ・学者は謙虚であることと決断することの難しいバランスを取らなければならない。

    こうした内容が印象的だった。


    全編通して読むと、著者の知の広さと深淵さをもっと感じるのだろうな、と思ったり。


    【2020.3.1 追記】
    金融に関する第11、12章も読んだ。
    金融の役割や問題点、さらには複雑を極めつつあるバーゼル規制について、驚くほど分かりやすく書いてあり、勉強になった。

  • 【良き社会のための経済学】
    普段アメリカ発の本読んでると、本全体からそこはかとなくマッチョな雰囲気伝わってきて、好きなんだけどちょっと分かり合えないような気持ちになる。意見そのものは別として。
    国際的な経済学者としては稀有な?フランスで活躍するノーベル賞受賞者による著作。
    フランスどうにかしないといけないわ感が節々から伝わってきて、日本と通じ合うところがあるんじゃないかと思いながら読めた。
    幅広いテーマを取扱う内容だったから物足りないところもあったけど、俯瞰も良いかなと。産業政策特にインフラ整備に関する経済学の貢献については、興味持って読めた。
    経済学ができることとは。
    #読書 #経済学

  • 2019年4月14日図書館から借り出し。
    結局読みきれずに返却。

  • ブックハンティング選定図書

  • 経済学者として産業組織論や電力・通信・鉄道等のインフラ産業における規制政策論、ゲーム理論など広範な経済学に関する業績が認められて2014年度のノーベル経済学賞を受賞したジャン・ティロールが、日常生活において経済学とさほど関わりを持たない一般人向けに、経済学の意義を解説する一冊。タイトルが示す通り、本書は経済学という学問を「人々が良い社会を創出しようとする”共通善”の実現にどのように貢献できるか」という基本思想に基づき、様々な社会課題とそれに対する経済学の方法論がまとめられている。

    驚くべきことに扱われるテーマは、ほぼ現在の経済学が取り扱う全ての領域といって良いほど広範であり、どのテーマから読み進めても、経済学という学問が明らかにしようとしている社会への課題認識とその解決の方向性にハッとさせられる。

    ・現代社会における経済学の意義
    ・経済学者の研究生活の実態と政策提言との良い関わり方
    ・市場主義経済の行き過ぎを是正するための国家の意味合いとそのバランスの取り方
    ・気候変動、失業、ギリシャ危機を踏まえた今後の欧州統合の在り方、金融政策等のマクロ経済的トピック
    ・競争政策、デジタル技術/プラットフォーマーがもたらす社会課題、イノベーション、インフラ産業における望ましい規制政策等のミクロ経済的トピック

    個人的には、今年を締め括るにふさわしい一級の知的刺激を得られた一冊。500ページを超える大著であるが、経済学に縁のない人でも読めるような語り口であり、すらすらと読めてしまう。年末年始のお供にぜひお勧めできる一冊。

  • 週刊東洋経済20181110掲載

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著者プロフィール

2014年度ノーベル経済学賞受賞。フランス・ツゥールーズ大学スクール・オブ・エコノミクス(TSE)運営評議会議長、トゥールーズ高等研究所(IAST)チェアマン、トゥールーズ第1大学産業経済研究所(IDEI)学術担当所長、およびマサチューセッツ工科大学(MIT)客員教授。
世界で最も影響力のある経済学者の一人。産業組織論、規制政策、組織論、ゲーム理論、ファイナンス、マクロ経済学、経済と心理学などの分野でそれぞれ第一級の研究を行い、「知の巨人」と評される。1953年フランス生まれ。フランスのエコール・ポリテクニークなどで工学の学位、パリ第9大学で数学博士号、MITで経済学Ph.D.を取得。MIT教授などを経て現職。

「2018年 『良き社会のための経済学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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