考える力を伸ばす教科書: ダイアローグと論理で思考力を高める

  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
3.12
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  • Amazon.co.jp ・本 (249ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532491086

感想・レビュー・書評

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  • ◆総合評価
    「考える力」を育もう!それは教育者からマスコミ、政治家から親まで誰でも言う言葉だが、一体だれが、その意味を突き詰めてきただろうか。この本はお母さんでも「考える力」とは何なのか、どうすれば育めるかを、わかりやすく、しかし学術的なレベルを落とさずに知ることのできる、格好の一冊である。
    わたし個人としては、『イシュードリブン』と合わせて読んでもらいたい。
    ◆要約
    <まえがき>
    ・日本の初等教育からは「哲学」が消えている。「なぜ動物は死ぬのか」「なぜ働くのか」といったことが欧米の学校教育ではなされ、現実に根ざした思考の訓練が組み込まれている。
    ・正解ではなく、妥当性を求め、それを説明すること。
    <なせ考える力が必要か>
    ・PISAの結果。
    ・ハーバードへの留学生数の減少
    →語学力、人的ネットワークの構築、グローバルな視点で問題解決できる思考力の育成。
    ・「考える力」=「抽象的な理念ではなく、現状を打開し、発展するための具体的で妥当性の高い目標と、そのための方策を見出し、実行する原動力」=「クリティカル・シンキング」=創造力と類似=新たな視点で多角的に物事を分析し、新たな解決策を複数創造すること。=分析力、推理力、想像力、問題解決力の総合。=知恵のある人=自分単独ではなく、共に考えあう態度を持つこと。自己の思考と他者の思考を往復させる能力
    ・クリティカル・シンキングは、医学、看護学、法律学で早くから注目された。

    <考える力と教育>
    ・今企業が求める人材とは・・・①志と心②行動力③知力=①自律的に思考し、合理的、客観的に問題解決する能力、②対等に議論し、矛盾や対立を許容し、新しい知を生む能力。
    →どのようにやるか→ケースメソッド教育=対話型教育。
    ・考える力には知識が必要。しかし子どもの内に自発的に興味関心がわいてくるのを待っている、というのはダメ。訓育(Discipline)が必要。
    ・「守・破・離」が教育の原点

    <考える力の原点>
    ・思考力は「態度」の問題でもある。
    態度・・①後天的に学習を通じて形成される、反応への準備状態。②態度に基づく反応は常に価値、あるいは好悪の感情を伴う。③いったん形成されると長期にわたって持続する。
    ・思考対象・・外部的環境、自分自身、対人環境
    ・思考力の源・・真実を見つけることへの関心
    ・対話による思考力の研磨が教育の源泉。
    →たとえば、職人は見て盗むとよく言われるが、それは間違いではないか。熱心な弟子にはとことん教え込むのが普通。
    ・モチベーションには、誘因と動因が必要。

    <考える力を高める>
    ・disciplineが考える力の学習基盤
    →体系化された知識、技術、規範などを段階的・実践的に学習する必要。生涯学習し続けること。
    ・謙虚さ、好奇心、挑戦心
    ・読む技術を高める。①速読・・検索読み、斜め読み。②精読・・記憶する、熟読する。③味読
    ・ノートをとる。記憶するためのメモ、キーワード、関連した項目・資料を自分で調べて書く、自分の考えを記述する、要約する、これらを行う。単に記憶するためだけのものではない。
    ・思考の出発点はテシス、テーゼ。論じる内容のフレームから結論までを想定できるもの。つまり「~に関して」とかはだめ。
    ・質問力・・相手から学ぶ態度、共に考えあう、相手に対して誠実、日ごろから自分と異なる考え方をする人と付き合える、相手の立場に立てる、自分の限界を知って、他者に援助を求める謙虚さを持つ、といった態度の問題。
    ・考える方法と考える態度の融合。考える態度に反するものとして、常に懐疑的、知らないことはいいことだ、なんでもいいんじゃない、感情に支配されること、議論ではなく口論をしたがる(議論は真理にたどりつくため、口論は他人を批判するため)、コモンセンスを無視する

    <考える力の原点としてのダイアローグ>
    ・ダイアローグ「他の人のために何かを行うことではなく、他の人と一緒に行い、人々と一緒に思考し内省する方法であり、流れてやまない探求の経験」ウィリアム・アイザック博士。
    ・コミュニケーションは、すでに知っているアイデアや情報を他者に正確に把握させることだが、ダイアローグは、それだけではなく、目標に向かって人々の間で共有できる新しいことを一緒に創造すること。
    ・ダイアローグの際には、相手が単語をどのような意味で使っているのかを把握することが必要。また、聞く力、質問する力、観察する力、プロセスを観察する力が必要。

    <分析する技術と問題解決する技術>
    ・問題解決へのプロセス→①問題把握②問題分析③問題解決
    ・PDCAサイクル
    ・意志決定プロセス→空、雨、傘
    ・問題とは、あるべき姿と現状のギャップ。
    ・ゼロベース思考
    ・問題分析とは:もれなくだぶりなく、事実を基本に、Why soとSo whatが相互に矛盾のない分析であり、分析目的から常に外れないこと。
    ・ロジックツリーを使い、テシスを分解していく。その際のフレームワークとしては、3C、7S、4Pなど。
    ・問題解決:イシュー・ツリーを使う。こちらはHow。5W1Hがフレームワークとして有効。仮説思考やシナリオ・プランニングもできる。
    ・解決策は複数用意する。


    ○思慮深い市民、相互信頼、問題意識を持って柔軟な思考、成長、グローバルな視野、社会的な責任を自覚、考え抜く力、前に踏み出す力、チャレンジ、古典のを読むことで忍耐力が涵養され、現在の社会が求めている考え抜く力の訓練に通じるし、古典から学んだ思考力は問題可決の基本になる。古典に書かれている、種々の経験則はなぜを考えることで問題解決の参考になるだろう。古典は時空を超えて対話することであり、非常に幸せなこと。

  • 図書館で借りた。
    考える力が弱いから鍛えてるがなかなか伸びない

  • 論理的思考の重要性についての記述ばかりで、具体的な思考法や問題解決法に関しての突っ込んだ内容がなく、大変物足りない

  • 個人または集団での論理的思考力の伸ばし方を教えてくれる本。
    大学教授2人が共同執筆しているからか、扱う分野が幅広い。論理的思考力の重要性の説明から始まり、個人での論理的思考力の高め方や集団での高め方、問題解決の具体的な手法などをアカデミックな文体で書かれている。またたびたび言葉の定義がなされ、読書の正確な理解を促したり、章末問題が出でくるさまはまさに教科書だ。
    ダイアローグの方法も記載されているものの、この本だけで誰もが実践できるレベルではなさそうだ。
    そもそもダイアローグのファシリテーターはビジネスリーダーが行うものらしい。とはいえ本書を熟読し、態度と方法を学び、それを実践すれば論理的思考力は高まって行く様に感じられた。
    会議でモヤっとする人にオススメです。

  • クリティカル・シンキングについての実践的なメソッドが豊富に書かれており、難しい内容のはずが、非常に読みやすい好著でした。私たちが考えているコミュニケーションは実はダイアローグであり、お互いに話し合いながら、自らを振り返り、自分の考えと比較検討し、新たな視点で自分の思考を発展させることが考えを深めていくことがリフレクティブだ、という考え方が大変よく理解できました。そしてダイアローグは自分自身とも行っていくものなのですね。この著者が書いているビジネスマンにとっての考える力とは「抽象的な理念ではなく、現状を打開し、発展するための具体的で妥当性の高い目標と、そのための方策を見出し、実行する原動力」ということは私自身の反省としても鋭い言葉です。

  • 多くの気づきがあった。ビジネスに応用できる!

  • 思ってたのと違う。
    ほんとに教科書、
    これからを担う子どもたちを教える先生にぜひとも一読頂きたい。

  • 夏の暑い日、ジョナサンのドリンクバーで長居しながら読み、ずいぶん読み進んだ。
    さておき、論理思考の本として新しい視点で書かれている判りやすい本だと思う。 何冊が論理思考の本を読んで、いずれにも、その方法論、so what, why so やいくつかのフレームワークが書かれているが、それはこの本では漏らさない代わりに、サラッと概略が触れられていて、詳しく解説はしていない。 
    この本の特徴は、その前に論理思考をするに当たっての態度や、ダイアローグについての解説があることだと思う。 論理思考を解説する他の本とあわせてこの本を読むと、テクニックだけにとらわれない論理思考の大枠が何となく、ストンと自分の中にはまり込んだような気がした。  判りやすい、読みやすい良い本だと思う。

  • 思考関係の理論やメソッドについて、整理するにはいい

  • 「(ビジネスパーソンにとっての)考える力とは何ぞや」を説いた本。
    この本では考える力は伸びません。

    一体誰が読めば得をするのか今一つ分からない本。
    そもそも「考える力」とは何か、なぜ日本人に「考える力」が足りないのか、「考える力」の原点とはそもそも何か・・・。
    本書の前半では、系統立てて「考える力」について根本から説明されている。

    後半は、ダイアローグ、クリティカル・シンキング、ロジカル・シンキング、ファシリテーションなど、多くの類書で紹介されるスキルやフレームワークの簡略な紹介に留まっており、これ一冊で実践に資するものではない。

    確かに本書一冊で「考える力」について、現在の流れをよくよく整理しているなあ、と感心はする。
    でも役に立たない。

    古今東西の「考える力」に関する書籍の概略をよく整理してあるだけなので、俯瞰するのには持って来いだが、俯瞰する必要性をあまり感じなかった。
    それより本書の参考文献に挙げられているような本に直接あたったほうが効用は高かろう。

    役に立つ部分があるとしたら、各章末の参考文献リストくらいかしら。

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著者プロフィール

岸本 光永(キシモト コウエイ)
前立教大学大学院教授
東京大学大学院修了。ソニー、アーンスト&ヤングコンサルティングを経て、大阪経済大学大学院、立教大学大学院教授を歴任。現在、ファイナンシャル・アナリスト。

「2013年 『キャッシュマネジメント入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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