ゴールドマン・サックス 上・下2冊セット

制作 : 斎藤 聖美 
  • 日本経済新聞出版社
2.00
  • (0)
  • (0)
  • (0)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 7
レビュー : 1
  • Amazon.co.jp ・本
  • / ISBN・EAN: 9784532900014

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 貧しい牛飼いの息子として育った創業者のマーカス・ゴールドマン、
    同社のビジネスの基礎を作ったサム・サックスとヘンリー・ゴール
    ドマン、カリスマ性だけでのし上がり、世界恐慌時に過去最悪の損
    失を出したキャッチングス、そして同社を窮地から救った「ミスタ
    ー・ゴールドマン・サックス」ことシドニー・ワインバーグ、ブロ
    ック・トレーディングの寵児として知られるガス・レビー、同社の
    マネジメントの仕組みを作ったジョン・ホワイトヘッド…。

    個性あふれる登場人物とエピソードだけをとっても、優れたノンフ
    ィクションですが、ビジネスを発展させるためのヒントとしても、
    有用な記述が満載です。

    新参者がどうやって自社の競争優位を確立するか、サービスとはど
    うあるべきなのか、優れた組織を作るための規律とは…。

    刺激的なドラマあり、経営の要諦あり、投資の教訓あり。

    最近読んだ中では、圧倒的に読み応えのある一冊です。

    これを読まないのは、はっきり言ってもったいない。
    ぜひ今すぐ買って読んでみてください。


    不安に駆られた預金者が、銀行から貯金を引き出そうと長い行列を
    作った。彼(シドニー・ワインバーグ)はその列に並び、銀行のド
    アが近づくと、後からやってきた必死の預金者に彼の場所を売り、
    すぐさま、また列の後尾につき、ドア近くまで行くと同じことを繰
    り返した



    サム・サックスとヘンリー・ゴールドマンはもっとも重要な業務、
    CPのビジネスを築くことに注力を続けた。ヘンリーはのちに息子
    に訓戒している。「この得意分野を、けっしておろそかにしてはな
    らない」

    もし(引受業務の)市場がわずかでも扉を開けていたなら、ゴール
    ドマン・サックスはすでに最盛期を過ぎたビジネスでシェアを取ろ
    うとして何年も苦労し、長い長い衰退に巻き込まれていたことだろ
    う。いくつもの投資銀行が倒産していった

    キャッチングスのカリスマ的な楽観論、大胆な行動を好むスタイル
    のおかげで、ゴールドマン・サックスはその名を市場で知られるよ
    うになった。そして、途方もない失敗を世間にさらすことになる

    一九三一年には、ゴールドマン・サックス・トレーディングの損失
    はほかの投資信託の損失をはるかに上回っていた。投資信託大手一
    四社の損失合計は一億七二五〇万ドルであったが、ゴールドマン・
    サックス・トレーディングはその七割を占める一億二一四〇万ドル
    だった

    二流の会社を顧客にして仕事をすることを、ワインバーグは彼らし
    い言葉で表現している。「犬と寝りゃ、蚤で目が覚める」

    「ミスター・ワインバーグはマスコミに取り上げられることをとて
    も嫌っていた」とボブ・メンシェルは言う。「仲間内の競争をいや
    がり、何をしているかをメディアに話すことは厳禁だった。『もし
    それが仕事のプラスになると思うのだったら、それは考えが甘い。
    マスコミは知りたければ、なんでも探り出すものだ。自己満足のた
    めだったら、勝手にやってくれ。だが、忘れるんじゃない。君がう
    まくいっているときに称賛する同じメディアが、落ち目になると足
    蹴にするんだ』」

    ゴールドマン・サックスでは全員が朝七時には出社していた。みん
    な自分の意思でそうしていた。そうすることで、ほかの会社との違
    いを感じていた。違うんだ、と信じていた。ガスは毎日会社に一番
    乗りすることで社内に基準を作っていた

    リーダーは二つのことで判断される。採用して組織に受け入れる人
    材、そして究極の選択を迫られたときの信念、この二つである。人
    が何を信ずるかは、そうすることで犠牲を強いられることがわかっ
    ていても行動するかどうかで、初めてわかる

    売り手をつかんでいるという評判の会社は買い手を惹きつける。そ
    して買い手をつかんでいるという評判の会社は売り手を惹きつける

    「ウォール街には古くからの言い伝えがある。今でも通じることだ
    が、上手に買えば半分売れたも同然だってね。それが取引のコツさ」
    社内ではレビーはもっと露骨に表現した。「上手なトレーダーはカ
    ナリアのように食って象のように糞をする」

    皮肉なことに、シドニー・ワインバーグが投資銀行業務を築き上げ、
    弟子であるジョン・ホワイトヘッドがそれを陳腐化させた。二人は
    それぞれのやり方で、彼らの時代にゴールドマン・サックスを成功
    に導く牽引車となった


    ◆目次◆

    第1章 使い走り
    第2章 惨事
    第3章 ミスター・ウォール街
    第4章 フォードのIPO
    第5章 すごいボス!
    第6章 ガス・レビーの人脈
    第7章 ペン・セントラルの崩壊
    第8章 販売力の強化
    第9章 ブロック・トレーディング
    第10章 投資銀行の改革
    第11章 企業理念
    第12章 二人のジョン
    第13章 初期の債券ビジネス
    第14章 大金持ちを狙え!
    第15章 Jアロン 醜いアヒルの子
    第16章 買収防衛
    第17章 調査の利用と悪用
    第18章 ジョン・ワインバーグ
    第19章 海外音痴

    もう一度紹介しておくと、著者はあの『敗者のゲーム』を書いたチ
    ャールズ・エリス。

    ※参考:『敗者のゲーム』
    http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532350689/businessbookm-22/ref=nosim

    本書は、大手金融機関を顧客とするコンサルタントであり、ウォー
    ル街に幅広い人脈を持つ著者が、100人を超えるゴールドマン・サッ
    クスのパートナーに取材をして完成した超大作。

    創業期からの栄光が描かれた上巻と違って、下巻はどちらかという
    と同社の歯車が狂い始めた時期から現在までを追っています。

    BP引受で出した巨額の損失の話にはじまり、クライアントに対し、
    利益相反が起こるリスクのある資産運用業務の立ち上げ、ならずも
    のマクスウエルと取引したことによるスキャンダル、そして長年同
    社のパートナーが蓄積した富と秩序を市場に売り渡したIPO…。

    企業がどうやって崩れていくのか、変化に対応することがなぜ難し
    いのかを教えてくれる、生きた教科書になっています。

    上巻ほどの華やかさとワクワク感はありませんが、これはこれで、
    経営のヒントとなる内容だと思います。

    同じビジネスモデルが永遠に続くことはない。顧客は変わり、顧客
    のニーズも変わるから、仲介する組織も変わらざるを得ない

    ゴールドマン・サックスには、外部にはほとんど知られていないが
    重要な機関としてコミットメント委員会がある。その目的は、“致
    命的な賭け”を絶対にしないようにすることにある

    ゴールドマン・サックスは規模拡大にともなって、株の取次ぎをす
    る仲介業者から引受業者へ、値付け業務をするマーケットメーカー
    へ、代理業務を行うエージェントへ、運営管理の責任を負う業務の
    パートナーへ、そして盤石な資本で自らリスクを取るプリンシパル
    へと、段階を追って収益性を高めてきた

    「彼らはいつもいちばん賢い人間の意見を尊重した」。だが、頭の
    よさに頼ればいつも正しい方向にいくとは限らない。別のパートナ
    ーはこう言う。「スティーブとボブはとても合理的だったから、人
    間的な側面という同じくらい重要な要素を無視するところがあった」

    将来を見据えると、グローバリゼーションの波がゴールドマン・サ
    ックスに大きな収益機会をもたらすのは間違いないとしても、その
    ためには大胆な行動が必要だという点で、フリードマンとルービン
    の見方は一致した。さもなければ、最高のビジネスを他社に持って
    いかれてしまう

    株式公開すればシニア・パートナーたちが一躍大金持ちになること
    はわかっていた

    急成長していて社内での人材育成が追いつかなくなると、同業他社
    から採用するようになる。当然、失敗も犯す。間違った人材を採用
    したり昇進させたりする。すると、彼らは社内に敵ができる。ほか
    の人は助け船を出そうとせず、避けようとする。そいつを懲らしめ
    るために会社にマイナスとなるようなリスクを冒す者まで出てくる

    「科学が好きなのは、それがいちばん面白いからだ。最初聞いたと
    きはバカげて見えたものが、終わってみれば、当然のことのように
    思えてくる。そんなものに巡り合うのが醍醐味なのだ」。基本的な
    発見は、普通に考えられていることに挑戦して初めて出てくるとブ
    ラックは信じていた

    投資顧問が調査部のアイデアを使おうとすれば、明らかに利益相反
    が起こる。機関投資家を優先するか、投資顧問の客を先にするかを
    どうやって決めるのか?

    「他人の庭には入らない」という単純な方針は、資産運用業務がほ
    んとうは儲かるものだとウォール街が気づいたとたん、守ることが
    できなくなった。いかに儲かるかを最初に発見した人の中にガス・
    レビーがいた

    マクスウエルにとって、アメリカの会社の野心を利用することくら
    い簡単なことはなかった

    「みんながやっている」──現実から逃れるために、「今度は違う」
    に次いで多く使われるせりふだ

    評判を築くには、戦略よりも実践のほうがつねに重視される

    能力と向上心のある人がキャリアを賭けるとき、この会社は外部か
    ら人を引っ張ってきて上司に据えるようなことはせず、リスクから
    守ってくれると会社を信頼する必要がある


    ◆目次◆

    第20章 ロンドン攻略の先兵
    第21章 BP引受で巨額の損失
    第22章 トップ交代
    第23章 クオンツの先駆け
    第24章 よみがえる投信の悪夢
    第25章 死の舞踏会
    第26章 裁定は面白い!
    第27章 インサイダー取引の罠
    第28章 八人の国際アドバイザー
    第29章 「スティーブが辞める!」
    第30章 最高の人材 最高の会社
    第31章 コーザインの野心
    第32章 LTCM事件
    第33章 クーデター
    第34章 富と利益を最大にする法
    第35章 ポールソンの統治
    第36章 ブランクファインの道
    その後

全1件中 1 - 1件を表示

著者プロフィール

ホワイトヘッド財団理事長
1937年生まれ。資産運用分野における世界的重鎮。エール大学卒業。ハーバード・ビジネススクールで最優秀MBA、ニューヨーク大学でPhD取得。1972年にグリニッジ・アソシエーツを設立。以後、30年にわたり代表パートナーとして、金融会社、投資銀行などの経営・マーケティング戦略に関する調査、コンサルティングで活躍。2001年6月、代表パートナーを退任。この間、全米公認証券アナリスト協会会長などを歴任。

「2018年 『投資の大原則[第2版]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

チャールズ・エリスの作品

ゴールドマン・サックス 上・下2冊セットを本棚に登録しているひと

ツイートする