- Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
- / ISBN・EAN: 9784534037343
感想・レビュー・書評
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リストが豊富で、労作。
かなりずけずけ書かれていますが、ポイントを突いていて、すごく面白い。
恋の駆け引きでわかる人物キャラクター。
衣食住でわかる光源氏がいた時代。
土地や建物にまつわる伝説、風習。
物語をリアルにする影の主役たち。
趣味や特技に託されたメッセージ。
物語を支配する闇の力「物の怪」といった章立て。
源氏は色恋のことばかりで政治が書かれていないという人は多いが、それは違う。というのは私も思ってました。
帝の最大の仕事は後継ぎを作ることで、貴族達の活動もそれに関わってくる。
帝に自分の娘か一族の女性を送り込むこと、出来れば生まれた子が次の帝になれば~それが最大の権力となるのですから。
栄華を極めることイコール幸福とも限らないという描き方がまた深いんですけどね。
千年も残る作品というのは、当時の絶対的な政治体系を批判するほどのパワーを秘めている、と。
光源氏のモデルとなった人々や、時代の選び方。
当時理想とされていたのはちょっと前の時代、それは藤原家全盛ではなく天皇親政の時代だったそう。ちょうど紫式部の先祖が優位にあった時代でもあったとか。
紫式部は藤原道長の召人(妾)だったというのが最近の定説だそう。どうなんでしょうねえ。
道長に一矢報いるかのような内容ですけどね。
光と女性達が何歳のときにどう関わったかという年表も。
口説き文句、身分や背格好のリスト。
女性達の衣装の色にも、それぞれ深い意味がある。
邸宅の中の東西南北は陰陽五行説に習っていて、それが女性達の性格にも合うようになっているそう。
光源氏の収入が具体的に述べられていて、それは桁外れのすごさ。
召使いの一覧表や、動向なども。
当時、食事について語るのは品がないと思われていたため、食事のシーンが出てくるのはあまり良くない場面に限られているとか。
当時、その土地にはそれぞれのイメージがあり、宇治には、古事記の兄弟が出てくる話のイメージもあったとか。
興味は尽きません。 -
一番最初に平安の資料として買った資料本。思い入れがあるので登録
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『源氏物語』の現代語訳を手掛けた作家さんで、『源氏物語』にまつわる副読本的な著作が多いのは瀬戸内寂聴さん、田辺聖子さん、そしてこの本の著者である大塚ひかりさんだろう。御三方の『源氏』ものエッセイは、それぞれに特徴があって面白く、瀬戸内寂聴さんは女性的な視線で、田辺聖子さんはコミカルな視点で書かれているのに対して、大塚ひかりさんの作品は週刊誌的な読みやすさを感じる。このように分類すると、大塚ひかりさんの作品が三面記事的な面白さであるかのように思われるだろうが、その背景には学術的な視点もシッカリと備わっているのだ。
『源氏物語』という古典を読んで得たことがらだけではなく、『源氏物語』研究というジャンルに分け入って吸収したことや感じたことを踏まえて書かれているところが大塚ひかりさんの著作の特徴だろう。それを結晶化させたのが、この本の4年後に出された『大塚ひかり全訳 源氏物語』である。ならば『大塚ひかり全訳 源氏物語』を読めば、大塚ひかりさんの他の著作は読まなくていいというものではなく、それぞれが違った切り口で書かれていて別々の味わいを持っている。
この作品の場合は、『源氏物語』が書かれた時代背景を衣食住や、さまざまな風習と照らし合わせながら分析されている。たとえば『源氏物語』に描かれた時代設定、帝のモデルは誰か、光源氏のモデルは誰か、光源氏の好みのタイプ、口説き文句、登場人物のフトコロ事情、脇役の重要度などなど、さまざまな視点からスポットを当てている。それらは現代語訳を読んでいると見逃してしまいそうな細々としたことがらではあるのだが、知っていたほうが物語をうんと楽しめるというものだ。
『源氏物語』のガイドブックや副読本には学者さんの手によるものも少なくないが、見掛け倒しでお茶を濁したような作品も少なくない。しかし、大塚ひかりさんの場合は、学者さん並み、あるいはそれ以上に研究された作品ばかりで、その深さと熱心さに驚かされる。そこで、この人の研究スタイルも気になったりするのだが、その手の内をすべて明かすことはない。巻末に主な参考書籍を挙げてはあるのだが、あたりさわりのない内容になっている。白鳥の水面下の足の動きが見えないのと同様に、「必死になって研究してます」ってところは隠しておきたいのだろう。また、すべてのネタを明かさないのが、売れる秘訣でもあるのだけれど。 -
源氏物語の周辺知識を得るのに上出来。
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源氏物語は古典だし、ちょっと読みにくいし、人物関係図がよくわかんない・・・ケド、興味があるっ。って人にオススメ。
めっちゃわかりやすくて、源氏物語のことがよくわかります