道具としてのベイズ統計

著者 :
  • 日本実業出版社
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本棚登録 : 301
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784534046475

作品紹介・あらすじ

"柔軟"に対応する事前確率を使うことで、ベイズ統計は、"あいまい"な人間の経験則や感性を取り込み、現実で使える情報を導き出す。ビジネスはもちろん、幅広い分野で活用が期待されるベイズ統計-。その基本と活用法を統計の基礎知識がなくてもわかるようにやさしく解説。

感想・レビュー・書評

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  • amazonのコメント掲載の追記を中止しているので、こちらにレビューさせて頂きます。

    『頻度主義統計学の終焉』
    本書の最も大きな問題点は、機械学習成果の欠落だけでなくて、ベイズ確率を客観確率の一つとして取り扱っている点です。これが顕著に表れるのが「モンティーホール問題」です。P61の数式展開をみてください。この問題の困難さは、扉を開ける順序が決まっているので、逆確率が使えないところにあります。
    本書は、このルールを全く無視して数式を展開しています。この問題は、条件付き確率を得るために、注意深く工夫して事前確率を得なければならないのですが、客観確率に固執するあまり、ルール上ありえない確率(Aの扉の後に、Cの扉を開ける確率やBの扉の後に、Cの扉を開ける確率)が組み込まれています。
    実際には得られないこの P(D|A) や P(D|B) が更に酷いことに、本書では1/2と1の確率として表されています。これは、Aの扉が当たってからCの扉が開く確率とBの扉が当たってからCの扉が開く確率が異なることを示しています。このような矛盾は、もう悲惨という以外に言葉がありません。実は、さらに悲惨なことに、このようなルール無視によっても予定している結論を満たせないので、同じ変数に異なる値を代入して事後確率を得ている部分です。P61の第2式の分母を注意深くみてださい。誤植にしては、あまりにも不注意ではないでしょうか。数学の根本的なルールを甚だしく逸脱して、ベイズ確率に結果を合わせた頻度主義統計学の断末魔のようにすら思えます。
    こうした顕著な間違いは他の問題にも同様に表れています。従って、これではベイズ確率の理解が困難になり、混乱や困惑をもたらすばかりです。

    本書でただ一つ評価できる点としては、ベイズ確率を積極的に認めて頻度主義統計学に取り込もうとしている点です。しかし、執筆数も多い著名な統計学者も、頻度主義に学んだ研究者も、本質的にベイズ確率を理解していないので、盲目的に他の統計学者の説明を信じ込み、間違いに気付きもせず、指摘も出来ないのです。
    しかし、もし本当は気づいていたのならば、彼らは生き残るための方便をこの十数年、ただ連綿と続けてきたことになります。

  • ■一橋大学所在情報(HERMES-catalogへのリンク)
    【書籍】
    https://opac.lib.hit-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/1000864649

  • ベイズ統計の理論を一から教えてくれる.

    R統計が主流になってる現代においては,エクセル統計のページ(結構ページ数割かれてる)は役に立たんなぁってのと,MCMC法の説明は少し雑.

  • パラメータを扱うベイズ統計学の中身に割と早く入ってくれている。事後確率ではなくて,事後確率分布を扱う実用上の入門としてはこれがいいと思う。

  • 読んで良かった。べいず、べいず、べいう、って一時期結構流行りましたよね。googleのおかげで。

  • 説明不十分な感じはあるが、実用的にベイズ統計がどのように使えばよいのか参考になる点が多々ある。購入して参考書とする価値ありそう。

  • 話題のベイズ統計とは何ぞやと勢いで買ってしまったが、思ったよりも実用的な本だった。
    私のような初心者向けにベイズ統計とは何ぞやから始まり、途中までは高校の数学の授業を受けている感じ、しかし最後は確率分布やMCMC法など言葉では聞いた事があるがブラックボックスだった知識をエクセルを用いて詳しく解説、ギブス法とメトロポリス法の下りがよくわからなかったがMCMC法をおぼろげながら感じることができた。
    ベータ分布やガンマ分布など何のためにあるのかと思っていたが、ベイズ統計のためにあったとは。
    事前確率を見つけたら是非使って見ようと思う。

  • ベイズ統計の解説書は、(1)自然共役事前分布の導入の説明が疎か(初学者からみて分かりづらい)、(2)計算例が殆ど記述されておらず、直感的な理解が困難(本のみによる独学が難しい)、(3)MCMCやギブス法に至るまでの説明が長く、見通しが立ちにくい、等の課題があると思う。本書は、そうした欠点が克服された良書で、理解が確実に深まった。数学上の技術上の細目にあまり立ち入っていないので、数学が苦手な人も、苦なく読みとおすことが可能だと思う。

    ところで、著者の名前に見覚えがあると思っていたら、高校の時の、3つ隣のクラスの担任でした。オリジナルプリントを用いて独自の授業を展開されており、当時は僕も彼から数学を習いたいと思っていました。本書の痒いところに行き届いた説明は、日頃からの授業研究の研鑽の成果なのだろうと思いました。

  • 確率論は難しいが、概要をうまくまとめてあった。
    ベイズ推論のように確率を修正していくものこそが正しい!

  • ベイズ統計の基礎について学ぶ本。入門書といっても、必要な概念を一通り学ぶことができるように設計されている。

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著者プロフィール

涌井 良幸(わくい よしゆき)
1950年、東京生まれ。東京教育大学(現、筑波大学)理学部数学科を卒業後、教職に就く。現在はコンピュータを活用した教育法や統計学の研究を行なっている。
著書に『「数学」の公式・定理・決まりごとがまとめてわかる事典』『高校生からわかるフーリエ解析』『高校生からわかるベクトル解析』『高校生からわかる複素解析』『高校生からわかる統計解析』(以上、ベレ出版)、『統計学図鑑』『身につくベイズ統計学』(以上、技術評論社)、『統計力クイズ』(実務教育出版)、『道具としてのベイズ統計』『Excelでスッキリわかるベイズ統計入門』(以上、日本実業出版社)などがある。

「2023年 『数学教師が教える やさしい論理学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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