「ポッキー」はなぜフランス人に愛されるのか?

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  • 日本実業出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784534052728

感想・レビュー・書評

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  • 少子化などで市場が飽和→縮小に向かうなか、海外進出に本腰を入れはじめたお菓子業界。いまではさまざまな商品が世界各国で人気を博している。
    日本人の味覚や好まれる食感が、そのまま各地で受け入れられるわけではもちろんない。その地ごとに異なる食事情もあれば、もともとのガリバー企業もある。そんななかで味を現地の人が好むように変えたりパッケージを工夫したりと、日本人らしい細やかさでシェアを伸ばしているのだ。
    驚く話、知らなかった話がふんだんに盛り込まれていて楽しめた。なかでももっともうならされたのが、
    「『オレオ』や『キットカット』、『m&m's』といったグローバルブランドが日本から誕生するとしたら、その1つはきっと『ハイチュウ』だろう」
    というもの。あの触感が真似しようのない高い技術で作られているからというのが最大の理由なのだけれど、過去に電化製品などで名高かった日本人の技術力や改良力が、今やお菓子の分野で存分に発揮されているということなのでしょう。

  • 桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/book/577469

  • 1.高品質、緻密なマーケティング以外の答えで、日本のお菓子産業が海外で人気の理由を知りたかったから

    2.日本の製菓企業がなぜ海外進出に成功しているのか、それには基本要素として3つあります。それは、適正な価格、現地の味に合わせること形態です。これらを設定しなければ、海外進出は不可能といっても過言ではありません。そのためにはどうすればいいのか、グローカルに展開するための方法たして、さまざまな企業の進出方法、マーケティング戦略が述べられています。

    3.お菓子は世界共通で食べられるので、どこにでもチャンスはあります。大切なのは、現地の味に合わせるということた、サプライチェーンを確立することです。本書で出てくるどら焼きの例でもわかるように、輸出することには相当なコストと技術が必要です。現地でこういう味を出したいから流通をこうするという逆算をしてこそ初めて輸出が成立します。まだまだお菓子産業には頑張ってもらわないと困るので、引き続き応援したいと思います。
    それに加え、余談ですが、輸出=悪という発想をしてくる人が早くいなくなってほしいと思います。

  • フランス文化を語った本かと思ってましたが、そうではなく、世界を席巻する「日本のお菓子」ビジネスを取材した読み物。海外展開で成功する日本のお菓子とメーカーの試みが多数紹介されています。
    株をやってる個人投資家にとっては良い投資指南書にもなると思います。


    ・フランスでは大人の味として売られている江崎グリコのポッキー(現地名はミカド)
    ・メジャーリーガーに受け入れられ、大ブレイク中の森永製菓ハイチュウ
    ・アメリカのヘルシー志向が追い風となって売れているカルビーの「ハーベストスナップス」
    ・ニューヨークには安いものから高級品まで、チョコレートの選択肢が豊富にあるが、「生チョコ」はいまのところロイズだけ
    ・白人には餡は受け入れられないが、オリエンタル系にターゲットを絞ってどら焼きのアメリカ進出に成功した丸京製菓
    ・インドネシアでは、焼きたてシュークリームの店、「ビアードパパ」が脚光を浴びている
    ・岩塚製菓のように、海外企業への技術供与という形でグローバル市場に進出している企業はほかにもある。

    ・日本の商品は個性がなくて退屈と言われていますが、お菓子市場に関しては、世界でもかなりのキワモノ。唯一無二のガラパゴス菓子だからこそ海外進出できる。

  • お菓子×海外進出。なんかピンとしない言葉の組合せですが、この本を読み日本の製菓メーカースゲー!となりました。おいしく楽しくわくわくし、ときにしょっぱい本。

  • 日本の製菓業界の海外での活動や普及に向けた努力をフリージャーナリストの著者が多くの取材をもとに書いた一冊。

    ポッキーやハイチュウなど自分たちの生活に馴染みのあるお菓子が海外でどのように受け入れられているのかということを本書で知ることができ、普段何気なく食べているお菓子の凄さや日本企業のレベルの高さに読んでいて舌を巻きました。
    味覚が大きく違うのでその国の仕様に作り変えているという話がよく出ており、現地の人に味の確認を行うなど緻密な戦略で国内での消費減少を補おうとしている各社の奮闘ぶりも読んでいて感じました。
    特に天然と人工の考え方の違いやフレーバーの好みなどは読んでいて特に印象に残りました。

    製菓メーカー各社のプライドを感じる場面が多くあり、今までの付随した事業として業者に依存していた体質から脱却し、自分たちのプライドをかけて戦略を練っていく姿に胸を打たれるものもありました。
    普段食べているお菓子に畏敬の念を抱かさせてくれた一冊でした。

  • 非常に多くの食品会社、スナック菓子(流通菓子)の海外進出の苦労、経緯、ノウハウを取材した本。なるほど、という内容が多かった。著者が言うように、日本の食品会社が作る菓子は、気配りというか、完成度というか品質というか、細かい努力とか工夫という意味では、世界の菓子に比べて圧倒的に優れているのだろう。国民性と言っていいのかどうかわからないが、他の分野でも日本人にはそういうところがあるのかも知れない。ま、では、とりあえず売れる、たくさん売るという目標だとして、それに向かっては努力を惜しまない、企画力、発想力、開発力などいろんな面で、柔軟性があるというか。一方で、一つのもの、やり方にこだわり続けるという頑固さ、すなわち柔軟性の反対にあるもの、っていうのも大事なんだろうとも、ちょっと考えさせられる。そういうものの強さ、というか。いずれにしても、品質、特に安全性については気を付けてもらいたい。ふだん口にすることが多いわけだから。長い目で見た安全性、ほんとに大丈夫なんだろうかと、気になる。

  • 日本で愛されるお菓子の海外ローカライズ・マーケティングをテーマにした一冊!
    これは面白い!

    どの企業も、予想以上に味のローカライズをしている。
    それこそ日本では到底企画が通らないだろう奇抜な強いフレーバーなどにも。

  • 日本のお菓子は味もパッケージもネーミングもクオリティが高くそれを海外も含めてどう販売してきたかよくわかる本であった。それを他の工業製品にどう置き換えて行ったらよいか記されていた。カルビー、亀田、不二家、グリコ、ハイチュウ、ポッキー、キットカット、Dorayaki,すべてに戦略と戦術が含まれていて興味深い。サプライチェーン、グローバル、ビッグデータ、Base of Pyramid、MOP、オンリーワン、独自性、海外現地の人に支持される設計、グローバルニッチ、ガラパゴス化等海外ビジネスの参考になるのでぜひいかしていきたい。

  • 海外での日本のお菓子という切り口から、さまざまなものが学べます。食文化や流通、宗教、一つ一つはそれほど深くないので、あっさり読めるのもいいところだと思います。

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