マンガ人類学講義 ボルネオの森の民には、なぜ感謝も反省も所有もないのか
- 日本実業出版社 (2020年10月15日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784534058102
感想・レビュー・書評
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人類学、面白い!
自分のバカ狭い世界は、たくさんあるうちのたったひとつの世界だと教えてくれる。
これがほんとの「多様性」だ!と、思った。
ボルネオの民の社会では、私は生きてけるかな…。
本書はマンガで、理解しやすいんだけれど、最後の解説が私には難しかったかな。
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ボルネオ島の森の民、プナンの人びとの話。固定観念が壊される。
いろいろな世界観があるんだな、と改めて実感。そうすると、やはり日本人の世界観は日本人として大切にしたいと思う。
最後の解説もちょっと面白い。確かにマンガであることは、人類学を表現するのにとても合う方法なのかもしれない。
筆者のマニアックさもなんとなく醸し出されている。 -
【蔵書検索詳細へのリンク】*所在・請求記号はこちらから確認できます
https://opac.hama-med.ac.jp/opac/volume/478143 -
人類学について漫画でとても読みやすく、そしてためになります。
教授が生徒に教えていくシーンで、読者である私たちも教授から直接教えを受けている気持ちになれます。
ボルネオの森に住むプナンの人たちの文化を紹介しているのですが、縄文人の考え方に似ていると思いました。
彼らの考え方で面白かったのは、たとえば人間は肉体、魂、名前でできているとされること。
そのため赤ん坊はまだ完全な人間ではないし、名前を変えると別人になるとされます。
これは言霊としても心理学的にもあることなので、それを真理として伝えていることに興味を持ちました。
他の民族の文化を知ることはとても楽しく、そしてためになります。
そして、文字だけでは伝わらない、もっと人に知ってほしいとあえて漫画で出版した思いごと、しっかり受け取りたいと感じました。 -
日本社会の制約や規範に生きづらさを感じ、別の社会にもっと生きやすい最適解を求めて読んでいたことに気づいた。
しかし、別の社会にはそこに固有の別の制約や規範、生きづらさがあるだけであると気づいた。そしてどの時代のどの社会に生きるかは、多くの場合選べないし、選べるとしても限られた範囲内でのことだ。
一方、他の社会を知ることは、自らの属する社会を相対化する助けになるし、別の豊かさを知ることでもある。
プナンの人々は
「何かのために」生きてない。ただ生きるために食べる。
この言葉が心に残った。 -
立教大学異文化コミュニケーション学部教授で、人類学者の奥田克巳と、漫画家のMOSAによる、文化人類学をテーマとした漫画と解説。インドネシア・マレーシア・ブルネイにまたがるボルネオ島に住む、プナンという民族の生活を漫画で描いていて、そこにある自然や動物の様子やその人たちの姿などを親しみを持って読むことができる。いろんな描写を通して、プナンの生活において、動物やモノの中にも自分たちと同じ人間性を共通して見いだす考え方や、人に物をあげることを良しとするがゆえに平等な社会ができあがっていることなど、今日本などの社会の一般的通念が絶対ではないのだと思わされる示唆をしている。
プナンの生活それ自体も面白かったのだが、その生活や考え方の違いがどうして起きたのだろうか、という考察を奥田さんがしているところも面白いと思った。分け与える者が偉い社会なので、あげても「ありがとう」がないし、貸しても壊して返ってくるが、それが故に、貧富の差が小さく、本当に人望のある有能な人がリーダーとなり、また有能で無くなればリーダーではなくなる。こういう社会の考え方がどうして起こったのか、について、例えば農耕社会と狩猟採集社会が分かれたことに起因するかもしれないなど分析している。 -
文化人類学を学んだはじめての本。全く違う文化を知ることで、自分を見つめ直すことが容易になる。自分のこだわりとか、固定観念が中立になる。たまたま手に取ったんですが、入門書としてアタリだと思いました。
プナンの民は仏教徒ではないようですが、共通する部分があって、仏陀が少しだけ登場します。理解が進みました。 -
マンガのまとまりがないのでモヤモヤしていたところ、解説を読んで納得。2人の著者による思考の過程が透けて見えるマンガなのだと理解した。結論ありきの物語や論考が逆に危ういものに思えるようになった。
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画は生理的にアレだが内容にもボルネオにも好意的
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マンガで描かれた文化人類学の読みやすい本というので購入。結果、読んでよかったと思う。
読みながら思うのは、マンガや写真のような視覚によるサポートがなければ、想像でその言葉の表すものを実際にその通りに思い浮かべるのはかなり困難だろうということ。
本書に書かれるボルネオの民プナンは、あまりにも文化が違いすぎて想像の域を超えている。そこがおもしろいのだが、文字だけでの表現では興味深く読み進められるかといわれると、うーん、難しい気がすると言わざるを得ない。
本書を読んで今までより一層文化人類学に興味が湧いた。やはり人間にとって一番面白いのは、人間そのものなのだと思う。