人材育成で悩む方や、経営計画や戦略を作っても実行できず悩む経営者、経営幹部の方が、その解決のヒントを得られそうな1冊です。
せっかく専門家などを交えて経営計画、戦略を作ってみたものの、経営がなかなか改善しない、という会社も多いようです。
その理由を掘り下げてみると、計画や戦略そのものに問題がなくても、それを実践できる体制がないことが原因であったりします。
計画や戦略の実践は経営者や経営幹部だけではできず、スタッフの総力が必要ですが、そのためにはスタッフが動く必要があります。
計画・戦略の実行のために動くために必要なアクションプランの作成、それを評価する制度の作成が大事であることを教えてくれます。
【特に覚えておきたいと感じた内容の覚え書き】
「戦略で失敗する原因の本質は、①戦略で成果を出すポイントを間違っている、②戦略を成果に導く体制が整っていない、③戦略のゴールがない、の3つで、戦略そのものが原因ではない。特に、体制がないことは高いハードルになる。」
「中小企業の生産性(社員1人あたり粗利益額)が低い要因は、社長が1人でマネジメントしキャパを超えている、社長がゴールを定めず無計画に課題の優先順位を決めている、の2つ。仕組みで組織をマネジメントし、全ての経営課題に全社員が常時取り組む体制が必要。」
「人材の成長を基盤として組織が成長し、自社と関わる人達を豊かな未来へ導くことが必要。これからは、自社の社会への貢献度の量と質を大きくしていくことができる企業しか発展できない時代。その豊かな未来づくりの起点となるのが『経営計画』。」
→計画、戦略はとても重要です。ただ、作っただけでは意味はなく、それをどう行動に落とし込めるかです。社長1人だけでは実現できません。誰にどう動いてほしいのか、その仕組みづくりが大事になりますが、人材育成・評価がその大きな役割を果たすようです。
【もう少し詳しい内容の覚え書き】
・戦略で失敗する原因の本質は、①戦略で成果を出すポイントを間違っている、②戦略を成果に導く体制が整っていない、③戦略のゴールがない、の3つで、戦略そのものが原因ではない。特に、体制がないことは高いハードルになる。
○なぜ今、中小企業に戦略が必要なのか
・中小企業の生産性(社員1人あたり粗利益額)が低い要因は、社長が1人でマネジメントしキャパを超えている、社長がゴールを定めず無計画に課題の優先順位を決めている、の2つ。仕組みで組織をマネジメントし、全ての経営課題に全社員が常時取り組む体制が必要。
・戦略とは、目標達成のために実行すべき打ち手(仕掛け、取組)と考える。戦略の役割は、組織のベクトルを合わせること、リーダーを教育すること、の2つ。戦略のPDCAをリーダーがまわしていくことで組織マネジメント力を身につけられる。
・人材の成長を基盤として組織が成長し、自社と関わる人達を豊かな未来へ導くことが必要。これからは、自社の社会への貢献度の量と質を大きくしていくことができる企業しか発展できない時代。その豊かな未来づくりの起点となるのが「経営計画」。
○稼ぐ力を高める戦略
・自社にしかない商品・サービスがあれば、そのカテゴリーの中で唯一自社しか存在しないという状態を作ることができる。差別化でなく独自化、商品・サービスの課題解決力を高くして高付加価値化、商品・サービスそのもの以外の価値を加える、の3つがポイント。
・客層、地域、商品、金額、品質などの切り口で市場を小さく区分し、すでにNo.1がそれに近い分野を探して、そこで圧倒的No.1を目指す。市場を自分で定めるという視点で取り組めば、オリジナル市場となって独自性も高まり、競合も狙いがわからないという効果もある。
・独自化戦略が成功し、完全オリジナルで開発した独自商品・サービスを顧客や見込客にアピールし、指示してくれる顧客が一定数できれば、そこは自社だけで作り出した市場となる。競争が必要なくなる、自社で値決めができるという2つの価値を自社にもたらす。
・作り出した市場を、顧客情報管理・活用の仕組み、顧客育成の仕組みづくり、営業プロセス標準化、営業ツール整備・活用、広告・プロモーション促進、自社デザイン化推進、商品・サービス開発、商品分析・ランク付け、生産体制確立、人事評価制度構築・運用、戦略的採用推進、計画的教育・研修推進、会議・コミュニケーションルールの仕組みづくり、マニュアル・手順書の整備・活用、HP・SNS活用、社内システム整備、目標達成状況把握・分析という17の個別戦略で広げていく。
○戦略を「アクションプラン」で実行
・アクションプランのPDCAをリーダーがまわすことで、マネジメント力を身につけ、社長が行っていた組織マネジメントをリーダーに任せることができる。「目標」→「戦略」→「アクションプラン」と落とし込み、プランごとに推進責任者とスケジュールを決め、実行、検証する。
・次のステップで、さらにリーダーから社員に、「アクションプラン」→社会全員の役割に落とし込む。この場合、PDCAをまわすのは社員本人だが、検証・評価のステップはリーダーが上司としてかかわる。それができれば、リーダーが戦略推進マネジメントをできるようになる。
○「評価制度」が「戦略」で成果を出せる人材を育てる
・社員の戦略実行力を高めるため、「評価制度」で人材育成に取り組む。中小企業では本格的な戦略やアクションプランへの取組を経験する社員がほとんどなので、必要な実力が十分なレベルまで達していない。
・「理想の人材」を育てるため、「経営計画」から、「10カ年事業計画」、戦略、人材育成目標(10年後の社員人材像、ギャップを埋めるために必要な課題)、行動理念、の4つの視点を「評価基準」に落とし込んで作成、運用し、社員を「経営計画」に沿って行動するよう導く。
・会社が実行すべき「戦略」を具体的な行動レベルに落とし込み、評価基準で全社員に示し、「成果評価項目」として評価基準を作成する。「経営理念」を実現するために全社員の実践が必要な「行動理念」に直結する仕事上での役割、行動を「情意評価項目」として定める。
・「評価制度」の運用は、①評価実施(必ず本人、直属の上司、その上の上司の3者)、②育成会議(評価者の上司同士のバラツキ統一)、③育成面談(評価の納得と成長目標の共有)、④成長目標設定(チャレンジ目標、到達レベル、推進手順)、⑤チャレンジ面談、の順で行う。