財政金融政策の成功と失敗―激動する日本経済

著者 :
  • 日本評論社
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レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (202ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784535554498

作品紹介・あらすじ

フロート制への移行からゼロ金利政策、量的緩和まで-。政策決定・通貨外交の最前線で長く活躍した著者による、日本経済30年の「エピソード分析」。

感想・レビュー・書評

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  • 簡潔で分かりやすく議論する対象がピックアップされているので財政・金融政策の歴史について詳しくない人にもお勧めできる本だと思います。章の構成とインプリケーションのまとめ方は自分でまとめる際にも参考にしたいです。黒田氏が日銀総裁に就任する頃にたくさん書店に並んでいたのですが、就任以前の業務経験が語られているいることもあって、現在の金融政策のバックグラウンドとなった根拠を推察するような楽しみ方もできそうな気がします。

  • 現日銀総裁の黒田さんが2005年に書いた本。

    2005年より前の約30年くらいの間の財政と金融の政策について振り返り、どういったところが良かったのか、もしくは悪かったのかといったところが書かれている本。

    この本を読んだ限りでは、黒田さんはバランスの良い人に思えます。

    その時どきにあった方法で日銀の一番の目的である「物価の安定」をやってくれそうです。

    為替相場は一気にドル高になってまた少しドル安になって今はそれなりに落ち着いたようにみえます。

    今後ともちゃんと仕事してほしいなあと思います。

    (以上、ブログ全文です。)

    ブログはこちら。
    http://blog.livedoor.jp/oda1979/archives/4486578.html

  • 現日銀総裁が過去に出版したマクロ経済政策に関する本。
    著者が大蔵・財務省にいた30年をほぼ対象にしている。

    読んだ印象としては、財務官経験者だけあって為替に関する話が多い。また、期待に働きかける等今の異次元緩和に通じる考え方が散見される。

    為替にやや偏ったマクロ経済の見方は、実は日本経済の構造を端的に現しているとも言える。つまり、財政政策や金融政策といろいろ言っても、結局円安が景気浮揚に一番効果的ということ。日銀は所掌外ということもあって、これまで為替と明示的に向き合うのを避けていたように思える。そのことが、結果的にリフレ派と呼ばれる人達に攻撃材料を提供することになったのではないか。

  • 黒田日銀総裁が、アジア開発銀行総裁だったころ、過去の日本の財政・金融政策を振り返りその反省点等を分析したもの。
    ニクソンショックあとからの歴史をいくつかの時代に区切って分析しており、歴史の読み物としても面白い。
    また、筆者は元財務官だけど、財政政策も批判的な視点で分析している。
    日銀に対しては手厳しい。

     異次元の緩和として採用されている政策、マネタリベース倍増・2%のインフレターゲット・国債購入年限の長期化・株式や資産担保証券購入等が既にこの中でデフレ脱却の施策として示されているのには驚かされた。
    有効とされているもので使われていないのは、非不胎化介入くらいかな。

    ついつい本を読む手を止めて、これから日本経済はどうなるのかな、とか考えてしまった。時代との同時性を感じられて今読むと良い本だと思う。

  • 黒田東彦の本書は、元財務省の官僚だっただけに、「バブル」崩壊のときの旧大蔵省の採用した不動産取引の総量規制についてほとんど記していない。バブル崩壊と経済書は騒ぐものが多いが、あれは本当にバブル経済だったのか、どうかの検証が未だ見当たらない。というのも、一般物価の上昇はほとんど無く、3パーセント程度である。また失業率も2パーセント台であった。賃金だってぐんぐんと上昇していた。国の税収も増え、国債の発行もゼロであった。国民経済は云われるほど、成長率にも不都合は無かったのである。株と不動産の資産価格の異常な上昇はあったが、不動産価格の上昇は、地価税を挙げるとかすれば今から思えばすんだはずである。そこで、住居として考えるときあまりも上昇してしまうも考えものだとするなら、政策的反省賀されるこことがあってもいい。ミルトン・フリードマンが金融政策に対して述べているようにに何らかの税制のルール化が必要になるのではなかろうか。地価が、2年前の2倍にも上昇したとき、そこで地価抑制のための税を掛けるとかの裁量によらないルールの設定を考えててもいい。住宅を購入するには、実質の年収の3倍以下に設定するとかの購入税を採用するとかである。
     さて本書の印象批評ではあるが、1971年から2004年までの日本経済の状態をCPI、成長率、ベースマネー、マネーサプライ、などを通じて分析して、どこに原因があったかを、分析している。失業率が採り上げられたいていないのは、総需要の不足という認識が欠落しているからだろうか。こうした通史の試みは、中々一般書ではないので、振り返ってみるときの参考にはなる。が、先ほども述べたように、財務省側の失政を取り上げてはいない点で、どうも欠落感を持ってしまうのではなかろうか。日銀の金融政策も記してあるが、金融政策に対しての構え方、フリードマンのベースマネーの量のルール化などの「基準」が明確ではないため、経済の眺め方も「裁量」的であることが否めない。つまり、恣意的であるように思える。それであれば、たったい今現在の「現在」の経済に対する政策提言は、どうしても、裁量的にならざるを得ないだろう。
     「期待」の概念を使っているが、それがどうも腑に落ちないのが、それはこちらの勉強不足か?
     繰り返しになるが、経済通史としては、当時の政権がどのようにもインフレとデフレに対してもがき過ちを繰り返したが分る良書。田中角栄政権時代に福田武夫によるスタグフレーションに対する対策が打たれたがが、原油高、資源高によるスタグフレーションが囁かれる今日本書は「対策」の参考にはなるのではないか。
     バブルを発生させた主因を日銀の緩和政策に求めるのは、当時の経済状況を考えても無理がある。日銀が物価についての判断から緩和か、緊縮かを判断することを最優先にするとするなら、物価上昇の機運はほとんど無かった。バブルを発生させたことに主因があるのではなく、バブル崩壊を加速させた「政策」にこそ過ちを認めるべきである。資産デフレが始まっていたにもかかわらす、これをさらに加速させる誤った政策を採ったのは、大蔵省である。大蔵省の不動産総量規制、地価税の設定、銀行への窓口規制、また、日銀総裁三重野の超緊縮政策金利の設定、そして、マスコミの三重野総裁のバブル退治への礼賛に大きな原因を求めるべきである。資産デフレは、資産に対する需要が供給に対して不足しているのだから、住宅、マンション、事務所、などの不動産の供給を絞れば、直ちに価格が下落していくのは当然である。政府と日銀バブル崩壊を食い止めるのではなく、加速促進するという破壊的である資産デフレ「期待」に働きかける愚かな政策が、今日の根強いデフレ「不況」を招いた大きな原因である。大きな過ちは、そこにあったの、だ。

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