地域分散型エネルギー・システム 集中型からの移行をどう進めるか

  • 日本評論社
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  • Amazon.co.jp ・本
  • / ISBN・EAN: 9784535558113

感想・レビュー・書評

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  • 再生可能エネルギー、省エネの徹底、熱利用コジェネの活用、水素(これはちょっとわからないが)など、「原発」「旧来の電力会社」に依存しない、地域とその住民によるエネルギーのあり方を、テーマごとのリーディングスとして編集している。
    可能な範囲で再生可能エネルギーを使い、化石燃料でCO2を出さないようにするのは当たり前。ただ、それだけで100億人の社会のエネルギーが賄えるというのは、空想主義と言わざるをえない。日本国土に降り注ぐ太陽エネルギーのどれだけが実際に人間のために利用可能なのか冷静に評価してみるべき。世界には根源的には「太陽エネルギー」か原子力しか存在しない(地熱はあるが、それは本質的には再エネとは呼ばないと思う。地球を蕩尽するということだ)。太陽エネルギーは、土地と海を温め、空気と水蒸気を循環させ、風を起こし、木々を育て、農作物と海の生物を育むためのものがベースであって、それを超えて人間社会の営みのためにエネルギーを産み出させることは、すなわち自然からの搾取以外の何者でもない。つまり、化石燃料を大々的に使い出す前の状態を維持するのが太陽エネルギーに許された定常的な収支であるはず。それを超えて、風力発電所のマシンを造り、太陽光発電パネルを造り、局地的な冷暖房で熱勾配を作ってエントロピーを下げる・・などは、しょせん、今以上の自然破壊なしでは実現しない。「再エネ」を絶対善として特殊扱いするスタンスには賛成できない。

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著者プロフィール

京都大学名誉教授。日本における環境経済学の草分け的存在。専門は環境経済学、財政学。政策分野でも、震災復興構想会議検討部会委員、総合資源エネルギー調査会基本政策分科会委員などを歴任。
著書に『緑のエネルギー原論』(岩波書店、2013年)、『環境経済学への招待』(丸善、1998年)、『環境経済学』(岩波書店、1996年)、『廃棄物とリサイクルの経済学――大量廃棄社会は変えられるか』(有斐閣、1992年)、訳書に『国連大学 包括的「富」報告書』(明石書店、2014年、山口臨太郎との共訳)等。

「2018年 『グローバル環境ガバナンス事典』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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