コンビニからアジアを覗く

著者 :
制作 : 佐藤 寛  アジアコンビニ研究会 
  • 日本評論社
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感想 : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784535559530

作品紹介・あらすじ

その国の文化や社会に柔軟に適応しながら、アジア進出を続ける日本型コンビニ。コンビニから見えてくるアジアの新たな魅力とは?

感想・レビュー・書評

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  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/778727

  • コンビニからアジアの国々の魅力を探るという、ちょっと変わった視点から書かれた本。
    [NDC] 673[情報入手先] 所蔵[テーマ] 「けったいな」本

  • コンビニのない生活は考えられないくらい生活に密着している。そんなコンビニも日本国内にとどまらず、アジアでもコンビニのある生活が定着してきている。





    コンビニから見えるアジア、今の社会の姿を見ることができる。





    アジアのコンビニを観察する10のポイントを挙げている。


    1.標準化された店構え


    2.早朝深夜営業


    3.省スペース他品目陳列


    4.サービス、品質、清潔さ


    5.ドミナント戦略


    6.POSシステムによる商品・発注管理


    7.流通の「近代化」、共同配送


    8.「日本」の演出


    9.インターネット販売との協働


    10.公共サービスの補充




    10のポイントのうち、1から7については日本のビジネスモデルの進化していく中で生まれて、8と9はアジアで新たに見られる展開、10は将来の可能性を含んでいると著者は述べている。




    日本では考えられないコンビニの役割がある。例えば、台湾の親北市は「幸せを守るステーション(幸福保衛兵站)」という珍しい社会政策を実施している。親北市は台北市を取り囲むように広がっている台湾北部の大都市で、400万人近くいる。




    2018年の新北市のコンビニ店舗数は2148店と台湾全体で19.7%を占める。




    この幸せを守るステーションは、親北市で就学あるいは、親北市に戸籍を持っている18歳以下の児童・少年が緊急の理由で食事を取れない場合、大手コンビニチェーン4社の店舗で、無料で食事を提供するプログラムだ。





    このプログラムの裏の目的は、児童虐待や家庭内暴力がないかどうかチェックすることだった。




    このプログラムで救われた児童や少年もいる一方で、幸せを守るステーションには限界があり、主に小学生以上を想定していること、さらに他の自治体で広がりを見せていない。





    国や地域によってコンビニを利用する理由、売れる商品の違いなど興味深いなあ。

  • 【内容紹介】コンビニ激震地、アジア。各地の文化や社会に柔軟に適応しながら、進化し続けるコンビニ。急拡大するコンビニはアジアをどう変えるのか? カウンター越しに見える新しいアジア像。

    大阪府立大学図書館OPACへ↓
    https://opac.osakafu-u.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=2000956750

  • 2021年度第2回見計らい選定図書
    http://133.11.199.94/opac/opac_link/bibid/2003567748

  • 女子栄養大学図書館OPAC▼ https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000054122

  • ■:本文引用
    □:ポイント要約
    ●:自身の感想
    ◆:参考資料

    【序章:コンビニというメガネを通してアジアを覗く】

    □本書の目的
     アジア諸国にもコンビニが浸透するのか以下2つの視点で経営学的に考察
    ①日系コンビニ各社のアジア展開の現状を横並びに把握
    ②コンビニの現地化を通じてアジア各国の違いを理解

    □アジアのコンビニ観察の10のポイント
    ・過去の日本でのビジネスモデル進化の過程で生まれたポイント
    ①標準化された店構え
    ②早朝深夜営業
    ③省スペース・多目的陳列
    ④サービス、品質、清潔さ
    ⑤ドミナント戦略
    ⑥POSシステムによる商品・発注管理
    ⑦流通の「近代化」、共同配送

    ・アジアで新たにみられる展開
    ⑧「日本」の演出
    ⑨インターネット販売との協働

    ・将来の可能性
    ⑩公共サービスの補完

    <<第1部>>
    【第1章:アジアの経済・流通からみるコンビニエンスストア】
    □コンビニエンスストアシステムの3要素
    消費者欲求
     ↓
    ①小売業務:多品種少量在庫販売、年中無休、長時間営業
    ②商品供給:短リード小ロット、生産・販売結合、商品共同開発
    ③組織構造:情報ネットワーク、同盟関係、取引関係、FC制度

    □タイ 7elevenでFC加盟比率が低い理由
    ①事業を軌道に乗せるため、早期に一定の店舗網構築を必要とした
    ②創業時投資ブームがあり、直営店出店が将来の試算価値増大の目論見に合致
    ③相続税が事実上存在せす、好立地の所有者が所有権を手放したがらない

    □タイ 7elevenによる製造・物流内製化の3つの理由
    ①同様の仕組みを採用したSEIによるライセンス付与
    ②多品種少量在庫販売に適合する卸売業者が不在
    ③内製化によりメーカーより手数料、リベート、広告費等を徴収し本部として需要な営業外収益となる

    【第2章:アジアにおける日系コンビニの展開状況】
    ■:1人あたりGDPが3000ドルを超えるとコンビニ需要は一気に高まる(P45)
    ■:海外進出企業にとって、同じ商品や手法による標準化戦略(グローバル戦略)と
      現地市場の特性に合わせる適応化戦略(ローカル化戦略)との組み合わせについ
      て「進出当初こそ標準化と適応化のバランスを探るものの、思うような成果を出
      せず、次第に現地適応化の方に大きく傾いていくパターンが多い」

    <<第2部:タイのコンビニ>>
    【第3章:「タイのコンビニ」としてのセブン‐イレブン】
    ■セブン‐イレブンの業態はアメリカで生まれ、タイでは国内財閥が成長させた小売
     ビジネスであり、「アメリカとタイの文化が融合した店舗」運営を行うと認識。
     (P64)
    ■コンビニ産業は「標準的な品物とサービスを提供するアメリカ式の近代的小売店
     舗」を全面的に訴求。価格の安さよりも「利便性」を求める中間層や上層の消費
     者グループをターゲットにし、アメリカ発というストア・ブランド・イメージを
     売りにし、ストア・ブランドの認知度向上を図った。
    ■地方の消費者は、伝統的小売で経験していた不衛生、公平性を欠く価格設定、
     品質の悪さ等の問題を解決してくれる新しい小売形態としてコンビニを受け入れ。
    ■PPTとの戦略的提携
     タイ都市部では、効率的な大量輸送を可能とする公共交通機関が未発達。都市
     中間層にとっての重要な輸送手段は自家用車。世界最悪の渋滞ともいわれるほど
     車の利用者が多く、運転中のリフレッシュを図るため、ガソリンスタンドに立ち寄
     り、セブン‐イレブンで飲食を購入する行動が一般的。
     利便性が高く清潔感のある店舗は、移動ストレスを抱えるタイ都市部住民の憩いの
     場となり、老若男女問わず受け入れられたといえる。

    ●:ガソリン車➡EVへの移行時に上記店舗をどのように再配置するかがポイント?

    ■コンビニ利用者は、まずセブン‐イレブンの近くの屋台で食べ物を注文してから、
     セブン‐イレブン店内に入り、飲み物やスナック、新聞、タバコ、ビール等を購入
     その後、屋台に戻り注文しておいた料理を受け取り家で食事をする。
     タイのセブン‐イレブンは屋台文化と共存することにより、忙しい日常生活を
     支える「利便性の高い場所と時間」を提供する。

    ■タイでは欲しいときに新鮮な(または新しい)ものを欲しい数だけ買い求める購買
     選好があり、屋台文化やコンビニの小分け販売はそのような購買選好をうまく捉え
     人々の日常を支える場となっている。

    ■セブン‐イレブンのストア・ブランド・イメージを「コンビニエンスストア」から
     「フード・コンビニエンスストア」へ刷新することを目指し、伝統的な小売業者が
     扱う商品と異なるカテゴリーでの商品展開を図った。

    ■CPオールは食品製造を企業を有するCPグループの一事業会社であり、セブン‐イレ
     ブン向け食品開発やロジスティックスなどに強みをもち、安定的に食材を調達し、
     加工することが可能

    ■2009年より「お腹が空いたらセブン‐イレブンにくるだけ」というコンセプトの下
     5つの広告キャンペーン展開。1日7回の食事(朝食、間食、ランチ、間食、夕食
     夜勤用の夜食、深夜食)の提供を広く消費者にアピール。

    ■「コンビニエンスストア」から「フード・コンビニエンスストア」への転換を果た
     した要因としてサプライヤーとなる新興中小企業の成長がある。
     多様な利用客を抱えるセブン‐イレブンの店舗は中小サプライヤーにとってのテス
     ト・マーケティング機能を担い、ビジネス展開の機会創出に役立っている

    ■タイの食習慣を尊重しつつ、屋台文化や伝統的な小売業者とは異なるカテゴリーの
     商品力を強化し、共存共栄を図ろうとする経営方針はタイ社会からの需要を狙った
     セブン‐イレブン流の現地化戦略である。

    【第4章:「タイ化」する日本型コンビニとは何か】

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著者プロフィール

佐藤 寛(開発社会学舎主宰、みんなの外国人ネットワーク[MINNA]運営メンバー、国際開発学会第8期会長)

「2023年 『SDGsを問い直す』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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