絲的ココロエ―――「気の持ちよう」では治せない

著者 :
  • 日本評論社
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本棚登録 : 167
レビュー : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784535563766

作品紹介・あらすじ

双極性障害(躁うつ病)に翻弄されず、受け入れて粛々とコントロールする。
この病との理想的なつきあい方を実践する作家の極上の文章は、この病に関わる
すべての人への最高の贈り物です。
――加藤忠史(理化学研究所脳神経科学研究センター)


双極性障害Ⅰ型発症から20年。
長年この病とどうつきあってきたか、服薬ゼロになった現在からみた心得を綴る
貴重なエッセイ。
加齢、発達障害、依存、女性性、ハラスメントなどの話題も。

感想・レビュー・書評

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  • 病と向き合うということは、病を含めての自分を認めてそれと付き合っていくこと。さらに〈自分のキャパシティー〉はどれくらいなのか…というのを自分で知ることが大切なのだと思った。どこまでならOKで、ここまでいったら危ないとか、身体が出す些細なサインを見逃さずに気がつくことという基本的なことが大事になってくるのではないかと読んでいて感じた。

    私の場合はストレスなんじゃそれ…から始まって、人間生活の基本的なことを軽くスルー⇒自分をおそろかにする⇒なんとなく体調が優れない⇒無視をする⇒それが溜まって積み重なる⇒ショートしてしまう⇒一気に悪化、、、というパターンが多い。この歳になってから自分の悪癖がわかってきて、自分を知ることが出来るようになってきた。(おいおい…汗)
    家族の健康は大切だけど、それ以上にきちんと自分のメンテナンスをすること。

    医師との相性、症状の説明の仕方、休み方、体の休ませ方、腹式呼吸(順腹式、逆腹式)、定型発達と発達障害、数の問題、蓄積疲労、依存性、承認要求、感情労働…ほか気になることが多かった。

    双極性障害に限らず自分の取り扱い方だと思った。タスクを列挙してのTODOリスト化、優先事項を視覚化(見える化)させて管理していく方法とか、絲山さんの考え方と合っている部分が多く読んでいて少しホッとした。

    文庫化されたら買いたい本。絲山さんにこんなに詳しく書いてくれて、「ありがとう」ってお礼を言いたいです。

  • 生きるとは歪みを抱え込むことだ。
    個性とは美しい歪みのことだ。
    戦わずしてやり過ごすのが大事。
    心身相関。
    勝ったり負けたりの精神。
    バイオリズムってのは意外とある。
    書き残すことが大事。
    以上のメモは不肖私のもの。

    パニックアタック以来11年ほど神経との付き合い方を体験的に学んできたが、似た体験を本にしてくれている、しかも絲山秋子が!
    11年前に読んでも判らなかったかもしれない、それだけ視野が狭まっていたから。
    読むべきときに読むべくして出会えた嬉しい本だ。

    「あけぼのソックス」安永知澄との出会いもありがたかった。

  • 小説家・絲山秋子さんによるエッセイ。
    著者が双極性障害(躁うつ病)を発症したときのことや、病をかかえる暮らしのなかで得たココロエが、主に書かれています。

    サブタイトルに「『気の持ちよう』では治せない」とありますが、躁うつ病についても書かれているとは、タイトルからは想像しにくくはあります。
    表紙の絵とタイトルのレタリングがかわいらしく、ほのぼのとしているので、ちょこんと本棚に置いただけでも癒されます。

    内容は躁うつ病のついてが8割くらい、あとは心がからむ内容のエッセイという感じです。
    「私もそう思う」と大きくうなずけるところもあれば、ピンとこなかったところもあり、比率は半々だった気がします。
    なので、プラスマイナス0ということで☆3つにしました。

    躁うつ病の本人が読むならば、回復期に入ってから読まれることをオススメします。
    症状がまだ強いうちは、おそらく本書の文章が「雑音」のように感じ、理解できないからです。
    字は大きめですが、淡々とした書き方なので、書き方だけでつらく感じる方もいるかもしれません。
    ただ読めなくてもそれは「まだ休養を優先したほうがいいよ」ということなだけなので、いずれ読めます。大丈夫です。

    内容的には闘病よりも、再発予防に役立ちそうな内容の方に目が止まりました。
    ルーティンワークの得意不得意部分をあらかじめ分類しておき、簡単にできるレベルのことが苦しくなってきたら休むことを考えること(2章参照)は、苦しい時期にはできない方法ですが、病状が寛解に近くなってきたら有効な方法だと思いました。

    こうした自分自身のものさしを作っておくと具合が悪くなったとき「いや、まだできる」と無理しようとしている自分を、自分自身で「休もうよ」と止められるな、と感じました。

    また、うつっぽい気分になったときの著者の試みと、内面変化を考察したもの(6章参照)も「なるほど」と思いました。

    本人の身近にいる人へお願いしたいことも少し書かれているので、躁うつ病にすこしでも関心がある方は、躁うつ病についての基本知識を別の本で学んだあとに、読まれると参考になるでしょう。

  • 双極性障害を抱えながら小説を書いてるのか…との興味で手にした。直前に『薄情』を読み終えてからのタイミング。
    2016年4月からは服薬はせず寛解の状態とある。
    しかしながら20年間も病と付き合いながら数々の傑作を書かれてきたかと思うと、もうほんと感嘆しか出来ない。
    副タイトルでもあり1章の内容でもある『「気の持ちよう」では治せない』に深く肯首。これは周囲の人に対するものでもあり、病を抱えている本人に向けた言葉でもある。私はパニック障害と診断が出た時はひたすら焦った。処方されたSSRIが効いて服薬1年ちょっとで寛解となっているけれど、今でも安定剤は必ず所持している。だから1、2章は丸々、5、6章も参考になる。ココロエとのタイトルながら、病との付き合い方の実践を記している。
    途中、自身が定型発達障害との話も織り込み、9章くらいから絲山さん自身の経験を絡めながら社会的な問題にも踏み込んでいく。
    この1冊で絲山作品に惹かれる理由のひとつが分かった気がする。読み返す1冊となりました。

  • 『精神疾患を患った時に周囲に望むことは慰めでも共感でもなく理解だ』

  • 心の病について冷静にかつ冷たくならず訥々とした筆致で描かれる有り様は、心療内科に通う人間として悲観的にも過度に膝打つ内容に成らずただ落ち着いて読めた。これは小説家だからこそ書ける抑えてかつ血の温かみを感じさせる表現力の妙とも言える内容。絲山さん自身が病を経験し、どうして?を考えながらの体験となっており、小説家としての女史の書作を感じさせる人間味とも相待って、エッセイとも学術書とも、ましてやこの類だとなりがちなよくある啓発書の類とも違うのは、独りよがりにならない視点と見事な筆致ゆえ。
    #絲山秋子

  • 双極性障害が少しわかる

  • 以前読んだ小説の鬱発症時の描写にとてもリアリティを感じたのが、同じ著書のこの本を読むきっかけだった。
    著者は双極性障害患い発達障害の気もあるが、とても理路整然としていて感心した。別の著書もまた読みたくなった。

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著者プロフィール

1966年東京生まれ。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。住宅設備機器メーカーに入社し、営業職として福岡、名古屋、高崎などに赴任。2001年退職。03年に「イッツ・オンリー・トーク」で文學界新人賞、04年に「袋小路の男」で川端康成文学賞、05年に『海の仙人』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、06年に「沖で待つ」で芥川賞、16年に『薄情』で谷崎潤一郎賞をそれぞれ受賞。他の著書に、小説『逃亡くそたわけ』『エスケイプ/アブセント』『妻の超然』『末裔』『不愉快な本の続編』『離陸』『忘れられたワルツ』『夢も見ずに眠った。』、エッセイ『絲的メイソウ』『絲的サバイバル』『絲的ココロエ 「気持ちの持ちよう」では治せない』などがある。群馬県高崎市在住。

「2020年 『御社のチャラ男』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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