夜回り先生の卒業証書―冬来たりなば春遠からじ

著者 :
  • 日本評論社
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本棚登録 : 201
レビュー : 28
  • Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784535584273

作品紹介・あらすじ

長い教員生活に別れを告げ、人生の大きな岐路に立つ"夜回り先生"、いま熱き想いのすべてをあなたに語る、「子どもたちの深い哀しみを知ってください、優しさと愛をもって側にいてあげてください」。

感想・レビュー・書評

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  • 夜の世界、そして家に閉じこもって苦しむ子供たちに寄りそう著者。その姿にイエス・キリストを見る思いがした。子供を愛するがあまりに大人(の構築した世界)に対して厳しい目を向けるが、イエスも貧しい者や小さな者に「肩入れ」をしていた。

    著者はカトリックの背景があるとのこと。カトリックには、理屈を振りかざすことなく、素朴にイエスの香りを放つ人たちがいる。現代の「聖人」と言えるだろうか。

  • 367.6

  • 夜回り先生こと水谷修先生の本です。
    自ら癌を患いながらも、年間300本以上の講演を行い、その合間にメールや電話で子どもたちから相談を受け続ける水谷先生。
    暴力を否定して子どもたちに無償の愛を与え続ける水谷先生はまさにキリスト教ヒューマニズムを受け継ぐ人だと思う。尊敬する。
    高校で講演が聞けたことは本当に貴重な経験だったと改めて思います。

  •  二冊巡ってきた夜回り先生の二冊目。始めのものよりも、もう少しいろいろな角度から書かれていて、先生も自分に対して客観的に書かれている様子。先生はとても素晴らしい、私心はなく、使命感を持ち、子供のためにも死のうとしている。しかし、少し引っかかる違和感は、大人に冷たいところだ。もちろん尾崎のようにすべての大人が、と言っているわけではないが、子供を傷つけ、だまし、食いものにしようとする大人に対しては、冷徹なほどに裁く。憎い、とも言っている。大人も子供だった。傷ついた子供が、幼く弱い大人になるのではないか。もう一つは、夜と昼の世界を完全に分けてしまっている。私もクリスチャンなのでいわゆる闇の世界はなくなるべきだと思っているが、昼の世界とそこにはもっと複雑な二分できないものがあるように思う。どちらかを憎み、どちらかを肯定する、ことだけでは解決できないものがあると思う。

    しかし、先生はそんなことは言われないでも分かっているかもしれない。そのうえで、自分の使命を極限的に突き詰めている気もする。しかし、先生の文章からはいつも寂しさが漂っている。

    13/8/19

  • 水谷氏が教員生活を辞めるまでに、毎日新聞社のWEBサイトに連載していた「夜回り日記」をまとめたものと、講演を収録したもの。

    講演では、薬物の専門家として、また、明日の日本の教育を考える学者的な幅広い専門知識と、広い視点を持たれているということがひしひしと分かりました。
    18歳未満の男女が性的な関係を持つことは犯罪、って知っていましたか?
    薬は医師の言われたとおりに摂取しなければ、自殺行為に等しいことであること、他人に渡せば、薬事法違反であること、知っていましたか?


    現在では、水谷氏は神奈川県で青少年問題研究所を持っているが、先日先生の大学の同期の教授から、水谷氏は学生時代から「実際に行動の人」であったということを聞いて、それは、現在に至るまで氏を貫いてきた姿勢であるということを強く感じました。

    「ただし、嫌われる人には嫌われるだろうタイプの人だったかもしれないね。」
    常に子供の側に立ってきた水谷氏は、横浜市から嫌われ講演を禁止されたそうです。

  • 何度も何度も繰り返し読みました。
    辛い時に他罰的なることがあって、
    そんな時に「自分病」と言う言葉が当てはまり
    周りに優しさを配っているか、綺麗な物を見たのか
    と自分に何度も問いました。
    今の日本は子どもも大人もストレスにさらされて
    負の無限ループが続いていると感じます。
    一つの小さな優しさや気配りで、人が明日へ生きる
    力を得て、地盤が出来ていくのだと大人になってからも
    常々考えさせられます。

  • 水谷先生の本を読むと毎回自分の在り方を考えさせられる。
    教育者として今から何を学ぶべきで、そして教育者になるまで
    にどのようなことを経験して、それを子どもたちに共有するのかを。

    教育者は生徒に教えるっていう上下関係の概念にすごく疑問を持っていたんだけど、この本を読んでやはりそうある必要はないのかなと。

    どんな人であれ、例えそれが自分よりも年齢が下の人だとしても
    その人から学ぶべきことはたくさんある。
    その「いいね!」アンテナを張り巡らして今から尚更それをフル活用して人のいいとこ見つけてこっ。

  • 「夜回り先生」に引き続き、昼の世界と夜の世界の話は心にざわめきを呼びました。

    あと「自分病」って言葉。若者だけではく中年の私にもあてはまる気がします。

    答えのでないことを悩むより、明日できることがあるのでは、周りに優しさをふりまく、他の人の役にたつことを考える。。。まさしくそうだと思いました。

  • 日記をまとめた本のようで、教員を辞める直前の筆者の心情や活動について書かれている。
    今の日本社会を「攻撃型社会」と呼び、そのあり方に疑問を呈しているが
    筆者自身が子どもの立場に立ちすぎている感じも否めず、矛盾を感じる。
    大人への怒りが活動の原動力であるかのような表現が随所に見られるため
    まるで筆者が子どもに代わって悪い大人に復讐しているかのように見えてしまう。
    わたしからすると、そういう大人たちも「腐らされたかつての子どもたち」に見えるから
    救われないまま大人になってしまったというだけで、それは自己責任だと
    「今の子どもたち」のためにその人の「悪」を押しつけられているように思えて、かなしい。
    ここでは、いわゆる非行に走る「夜の街の子どもたち」と
    ひとり自傷行為などをくり返す「夜眠れない子どもたち」が取り上げられているが
    筆者の専門が薬物依存ということもあってか、前者に比重が置かれている。
    筆者の子どもの置かれる過酷な状況の悲惨さや、環境を選べない子どもの悲しみ、
    その社会のあり方にはわたしたち全員が責任を負っているという考え方は
    忘れてはならない視点だと思うが、もう少し感情的でない文章でないと
    本書の対象である「大人」の反発を招くだけではないかとも思った。

  •  「夜回り先生」こと水谷先生が、ご自身の教員生活を終えるにあたって書かれた日記、講演記録です。基本的なメッセージはいつも同じですが、教師を辞めることで、ご自身がこれからどのように子どもたちと関わってくのか、その戸惑いや不安も率直に書かれています。

     「時代が悪い」「社会が悪い」「行政は何をやってるんだ」…
    そう言うことは簡単だけれど、じゃあ、自分は子どものために何をしているのか?それを大人一人一人が自分に問いかけなければいけないのではないかと思わされます。

     もちろんみんなが「夜回り先生」になることはできませんが、今自分の立場で一人でも多くの子どもが笑顔で一日を過ごせるようにできることは何か、考えていけたらいいなと思います。そして小さなことから実行できたらと思います。
     とりあえず私はあいさつをしよう! 無視されても「変な人」と思われても、子どもたちに「おはよう」と言おう! まずはそこからかな。

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